日本カー・オブ・ザ・イヤー記録

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第41回 2020 – 2021 パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー

2020 - 2021 パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー

BMW ALPINA B3

ニコル・オートモビルズ合同会社

青山 尚暉

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

BMWの3シリーズセダンをベースに、感動に値する圧巻かつシルキーな動的性能、アルピナマジックと呼ばれるウルトラスムーズな乗り味など、玄人向けではあるものの、ハイパフォーマンスコンパクトセダンとしてこれ以上望めない完成度を誇る。特別なオーナーだけが得られる究極の満足感を評価した。

安東 弘樹

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 7点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 2点
ランドローバー ディフェンダー 1点

BMW ALPINA B3の圧倒的なパフォーマンスに異論を唱える者はいないのではないでしょうか? 実用的なセダンでありながら、462PS/700Nmという途方もないスペックを「涼しい顔で」発揮できる稀有なクルマ。諸元に記載されている最高「巡行」速度303km/hという表記は自信の表れであると理解できます。しかも燃費も悪くないことに脱帽です。ただし、日本で合法的にスペックを解放させることは不可能であるのが欠点といえば欠点。しかもサーキットをシャカリキになって攻めるクルマではないだけに、ドイツのアウトバーンでしか真価を発揮させられないのが残念です。(個別に採点できませんでしたが)GRヤリスはギリギリ時代に間に合った、久しぶりかつ恐らく「最後の内燃機関ホットハッチ」になると思われます。そして、その称号にふさわしいパフォーマンスを272PS/370Nmを発揮する1.6Lの3気筒ターボエンジンとスポーツ4WDで具現化したメーカーの気概を素直に喜びたいと思います。シンクロレブ付きの6MTも運転していて笑顔になれるものでした。ディフェンダーは圧倒的なオフロードパフォーマンスに対しての評価とさせていただきます。

飯田 裕子

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 5点
アルピナ BMW ALPINA B3 5点

ドライビングパフォーマンスに優れると感じた2台を選びました。ヤリスといってもGRヤリスのパフォーマンスはやはり特別。走り出した瞬間から“ワクワクが止まらない自分を自ら面白がる”ほどに運転が楽しい。1.6L直列3気筒エンジンと4WD、6速iMT(シフトダウン時に回転を合わせてくれるブリッピング機能付き)、専用設計が施されたボディ、サスペンションにタイヤ。GRヤリスのパフォーマンスはこれらのトータル性能によるもので高性能。ところがアベレージドライバーとの距離が近い。そんなところにも共感を抱くことができました。そして、BMW ALPINA B3。BMWの3シリーズをベースに、M社がMモデル用に開発した高性能エンジンを搭載。このクルマの限界性能をのぞいてみたくなるほど優れた性能を与えられながら、日常はアルピナ専用の高品質なインテリアとともに最高に快適なドライブが可能。パフォーマンスの懐の深さと高品質、高性能ぶりを伝統的ともいえるドイツ車テイストで楽しめる唯一無二のブランドの中にあって、最新のB3は近年のBMW ALPINAのラインナップの中でも最も印象の強いモデルでした。

石井 昌道

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

マツダのスカイアクティブテクノロジーやトヨタのTNGA、スバルのSGPなどによって、ここ数年で日本車も走りの実力が大いに上がってきているが、それでもまだ欧州車に乗ると「なぜそんなにいいのか、理解できない」と思わさせられることも少なくはない。その際たるものがBMW ALPINAにはぐっと詰まっているのだ。それなりに高価ではあるものの、じゃあコストさえかければ日本車でも実現可能なのかと問われれば「Yes」と断言できる自信はない。ボディ剛性? 高価なショックアブソーバー? それだけじゃ、きっとない。ホイールやハブ周辺などまで含めた剛性や重量のバランスなど、秘密のレシピがあるはずだ。そうでなければ、大きなタイヤ&ホイールを履きながら、荒れたワインディングの路面をあんなにもヒタヒタとなめるように走ることなどできないだろう。日本の自動車技術は世界に誇れるものだと確信しつつも、まだ到達しえぬ世界があることを、BMW ALPINAは思い知らせてくれるのである。舌の肥えたクルマ好きにほど、響くモデルでもある。

石川 真禧照

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 7点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 3点

単にパワーユニットのチューンだけではなく、タイヤとのマッチングというレーシングカー並みのマシンチューンを行うクルマ創りへのこだわりがパフォーマンスカーの原点であることを体感させてくれた。

石川 芳雄

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 8点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 2点

ハイパフォーマンス追求しながらも、乗り心地など快適性をけっして疎かにしないBMW ALPINA B3のクルマづくり。新しいB3ではかなり「走りに振った」と聞いていましたが、路面への当たりが優しく、しなやかさを極めたフットワークはやはり健在でした。タービンなどを専用品として独自の仕上げとした3L直6“ビ・ターボ”エンジンは、トルク重視で息の長いダイナミックな加速を楽しめました。駆動がAWDということもあって、安定性の高い長距離高速ツアラーに仕上がっている点も大いに魅力的です。

今井 優杏

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

お値段もすごいですが、その価値を確かに感じられる、稀有なモデルだと思います。一般道ではしっとり、サーキットでは獰猛に、かつジェントルに。クルマづくりのあるひとつの究極のゴールかもしれないな、とまで感じました。

太田 哲也

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

クルマ好きを納得させる上質な乗り心地と姿勢安定性のバランスや心地よいサウンド、速さとラグジュアリー感の融合を評価。

大谷 達也

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 8点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 2点

もともとハイパフォーマンスカー作りに定評のあるBMW ALPINAですが、その真髄は、パフォーマンスと洗練さを両立させた点にあると考えます。最新のB3はこのふたつをかつてない高次元で両立させたモデルで、近年のアルピナの中でも傑作といえます。とりわけ、圧倒的なコーナリング性能をきわめて高い快適性ともに実現したシャシー、そしてBMWらしいストレート6の官能的な回り方に、その魅力は凝縮されています。一方、GRヤリスは4WDスポーツの新たな可能性を提案したモデルとして高く評価できます。

岡崎 五朗

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 7点
アルピナ BMW ALPINA B3 3点

ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリスがひとまとめになっているが、この部門はGRヤリス限定の評価となる。GRヤリスはもちろん速いクルマだが、モータースポーツに参加しない一般ユーザーにとって価値があるのは絶対的な速さではなく、速さを追求する過程で生まれた数々の特性だ。つまり強靱なボディ剛性、優れた空力特性、ちゃんと曲がる4WDシステム、レスポンスに優れた3気筒ターボエンジンなどがもたらす操る楽しさ。ポルシェやフェラーリもそうだが、本当に優秀なハイパフォーマンスカーは40km/hで走っていてもオーラを感じるし、楽しい。GRヤリスには間違いなくそれがある。BMW ALPINA B3は圧倒的なパフォーマンスを実現しつつ、雑味や不協和音を徹底的に排したウルトラスムースなドライブフィールにある種の奇跡を感じた。

岡本 幸一郎

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 8点
BMW 2シリーズグランクーペ 2点

これまでもBMW ALPINAに触れる機会があるたび、その洗練された独自の世界観に魅力を感じていました。そのBMW ALPINAがノミネート可能となり、最新モデルもやはり期待通りの走りを味わわせてくれました。絶対的な性能は文句なく高く、それでいて性能をひけらかすのではなく、繊細なドライビングにも応えるべくエンジンも足まわりもこの上なくスムーズに仕上げられていて、ひとたびドライブすると、そのソフィスケイトされた走りに引き込まれてしまいます。そんなBMW ALPINA B3を大いに評価します。

小沢 コージ

ブランド モデル 点数
トヨタ グランエース 5点
アルピナ BMW ALPINA B3 5点

「ハイパフォーマンス」をどう捉えるかにもよるが、グランエースは今までにない「大容量」「移動クオリティ」の両立という意味でものすごく良い仕事をしていると思う。世界的にここまで大きくて快適なクルマは例がない。一方、一般的なハイパフォーマンスカーという意味において、現在になってもグローバル年間2000台以下しか作らない、なおかつ控え目で上質かつ速いBMW ALPINA B3もものすごい。ただし、価格的に一部の人しか届かないので総得点の半分とした。

片岡 英明

ブランド モデル 点数
アウディ e-tron Sportback 5点
アルピナ BMW ALPINA B3 5点

BMW ALPINA B3は、3Lの直列6気筒DOHCツインターボを搭載し、500PSに迫るパワーと700Nmものトルクを誇る。出来のいいスウィッチトロニック8速スポーツATの採用と相まって刺激的な加速を満喫でき、運転するのが楽しい。それでいて街中の走りもフレキシブルにこなす。ハンドリングも軽快で、運転するのが楽しいハイパフォーマンスカーだ。アウディe-tron Sportbackは、EVならではの滑らかでパワフルな走りを高く評価した。アクセルを踏み込むと瞬時にパワーとトルクが立ち上がり、痛快な走りを楽しめる。それでいてキャビンが静かなのも、これまでのスポーツモデルにはない異次元の感覚だ。気持ちいいハンドリングとフラット感のある乗り心地も高く評価できるポイントである。この2車は甲乙つけがたい仕上がりだったので、同じ点数とした。

桂 伸一

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

何をどうすれば、どうなるか。どこにどうコストを掛けると質も性能も引き上げられるか。その見極めと実践を経験している、それぞれのパートに秀でたエンジニアが、トータルパフォーマンスを引き上げた1台。

金子 浩久

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

内燃機関で走ることのパフォーマンスを極限まで追求し、それを他に代えがたい魅力にまで高めているから。

河口 まなぶ

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 7点
アウディ e-tron Sportback 3点

BMW ALPINA B3は数値上のパフォーマンスの高さももちろんだが、その高いパフォーマンスを極めて優れたフィーリングとともにドライバーに届けてくれる点が、単にパフォーマンスの高いクルマに大きな差をつけるところであり、ここに高い評価を与えることができる。またエンジンのパフォーマンスだけでなく、サスペンションのパフォーマンスは一級のものであり、これほどの大径タイヤを履きながらも優れた乗り心地を実現しつつ、高い性能を発揮できる両立点が極めて高いところにある1台といえる。一方のアウディe-tron SportbackはEVならではの「静かで滑らかで力強い」を極めて高次元で実現しており、特に静粛性の高さは今年登場したクルマの中で見てもトップといえるもの。これほどのパフォーマンスを持ちながらも、極めて快適な室内を実現していることは、今後のハイパフォーマンスカーの在り方に一石を投じる存在だといえる。

川島 茂夫

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 6点
アウディ e-tron Sportback 3点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 1点

運転ストレス軽減と心理的解放に向けた高性能という点でBMW ALPINA B3を最も高く評価しました。ドライバーからの要求に適切に応えて、クルマ側からは必要最小限の要求しかしない。高性能を求めながら快適性の犠牲を最小限に抑える。背反要素の両立点の高さとユーザーの使い方の現実に則したまとめ方には感心させられました。趣味性を求めたファン・トゥ・ドライブや限界性能を求めたスポーツ思想とは違う視点の高性能、実のある高性能ともいえます。アウディe-tron Sportbackについては電動モーターの即応性や瞬発力を活かしながら、他のアウディ車から乗り換えても違和感のないドライブフィール、価格に見合った走りの質感を評価しました。ヤリスについては専用シャシーと新型4WDシステムがもたらしたGRヤリスのハンドリングは素晴らしいと思いますが、ヤリスシリーズでまとめてしまうと厳しくなってしまいます。

河村 康彦

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

“300km/hカー”のポテンシャルを秘めながらも、日常シーンではそれを意識させることのない、ベースのBMW 3シリーズセダンをも遥かに凌ぐ上質な乗り味を実現。それでいながら、アクセルの踏み加減ひとつで一級のスーパースポーツカーをも圧倒するスピード性能を発揮させるのは、まさに「パフォーマンスカー」を名乗るにふさわしい走りの実力。一方で、価格的にもライバル関係と捉えられがちなBMWの“M”車が意図的に「サーキットの香り」をイメージさせるのに対して、より洗練されたピスポークな存在という雰囲気が強いのもBMW ALPINAの作品ならでは。今回のノミネート車中では、このカテゴリーにふさわしいのはこのモデルと判断した。

木下 隆之

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 6点
BMW 2シリーズグランクーペ 2点
アルピナ BMW ALPINA B3 2点

ワクワク心踊る操縦性を高く評価しました。

日下部 保雄

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 7点
アウディ e-tron Sportback 3点

内燃機関を磨き上げた精緻な回転フィールは素晴らしい。地に吸い付いたような、そして軽快にドライバーの意思を反映したハンドリング、BMW ALPINAの世界はいつも感動を与え続ける。一方、アウディe-tron SportbackはEVらしいパフォーマンスを持ち、クワトロらしい高い安定性が好ましい。

九島 辰也

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

このクルマはアクセルを踏めば数値以上のパワーを感じさせながら、静かに走ろうと思えば上質な空間を演出してくれます。まずはそれ自体に驚かされます。そしてワインディングでは軽快なハンドリングで、気持ちよくクルマの向きを変えます。どこまでも自然体で、アンダーステアとかオーバーステアとか関係ありません。まさに“ALPINAマジック”。この走りのパフォーマンスには脱帽です。

工藤 貴宏

ブランド モデル 点数
スバル レヴォーグ 4点
アルピナ BMW ALPINA B3 4点
アウディ e-tron Sportback 2点

絶対的な性能というよりは、ゆっくり走っていても感じられる運転する爽快感を重視して選考しました。スッキリとしたステアフィールや旋回時の安定感など、新型レヴォーグの運転する心地よさは、今年度登場した日本車の中でベストと判断しました。運転する歓びを感じたい人にオススメできます。BMW ALPINA B3は、運転する楽しさを具現化するためのこだわりと情熱に感動を覚えました。エンジンの味つけも、単に高回転/高出力でのパフォーマンスを争うのではなく、わずかにアクセルを踏むだけでも躍動感と奥行きを味わえる素晴らしさを持っています。アウディのe-tron Sportbackは、EVならではの滑らかに盛り上がって力強い走りにインパクトを感じました。

国沢 光宏

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 10点

こちらはCOTYとGRヤリス御指名で10点を投じたい。燃費規制が大きなテーマになっている中、よくぞこんなクルマを出してこられたと思う。

五味 康隆

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 6点
アルピナ BMW ALPINA B3 3点
アウディ e-tron Sportback 1点

BMW ALPINA B3の乗り味、アウディe-tron Sportbackの静かで力強い走りもお見事だが、GRヤリスの楽しさと速さ、コントロール性の良さは抜群で、今年最大の予想超えモデル。

こもだ きよし

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

3L直列6気筒ツインターボエンジンながら、最大トルク700Nm/2500-4500rpmも発揮できるのはスゴい。日本では試せないが、巡航最高速度が303km/hというのも並みのサルーンでないことを示している。数字で見るハイパフォーマンスぶりも驚くが、アクセルペダルを踏み込んだ時のゲインは高過ぎることなく、あくまでもジェントルにも走れるように躾けられている点に高い評価を与えられる。まさにラグジュアリーサルーンというキャラクターに合っている。乗り心地も強い振動はタイヤとサスペンションでうまくいなし、ハイスピードでもフラットな乗り味を保って快適性も最上級である。

斎藤 聡

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

BMW ALPINA B3は理想のプレミアムスポーツセダンであり素晴らしい完成度を持っている。このクルマ作り上げたBMW ALPINAのエンジニアリングの巧みさに対してパフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーを送りたいと思う。特に462馬力/700Nmという圧倒的な動力性能を持ちながら、これを持て余すことなく上質で滑らかな乗り心地を両立している点は見事。パワー特性も、パワーの出方をコントロールすることで、乗り手に緊張を与えるような唐突で過剰な刺激を消している。パフォーマンスというと、とかく速さ・迫力・刺激度といった性能の極限部分に目が行きがちだが、BMW ALPINAはそこに至る過渡領域を巧みにセッティングすることで、エンジン出力をアクセサリーではなく、リアルなパフォーマンスに仕上げている。

斎藤 慎輔

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 8点
ランドローバー ディフェンダー 2点

BMW ALPINAはBMW車をベースにチューニングを施したコンプリートカーですが、単純に速さを増強するものではないところにこれまでも共感を覚えてきました。特に速さと快適性の高次元でのバランスに重きを置いたチューニングにおいて定評がありますが、B3はそれを見事に具現化したものと思えました。ドライブモードセレクターには、コンフォートのさらに上を目指すコンフォート・プラスが設定されており、日常の中でハイパフォーマンスモデルに乗る際に我慢を強いられがちな乗り心地、穏やかなパワーフィールなどもしっかりと担保された上で、スーパースポーツとしての極めた性能を磨き上げています。また外観も控えめな主張に留められており、選ぶ人の知性を感じさせるあたりにも心くすぐるものを感じさせると思えました。高価ではありますが、手を施した内容、得られた結果からすれば、十分に納得のいくものと考えます。一方のディフェンダーは、オフロードにおける極めた性能と機能、日常域における走行性、快適性のバランスの高さを評価しました。

佐藤 久実

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 9点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 1点

3L直列6気筒ターボエンジンが発生する340kW/700Nmのパワーは力強くも滑らかで上質な加速を見せる。そして、高いシャシー性能やインテリジェントなAWDシステムは、トラクション性能、ハンドリングに優れる。BMWをベースに作られたBMW ALPINA B3は、単なるチューニングカーではなく、BMW ALPINAというメーカーがセットアップした、完成されたモデルへと仕上がっている。ワインディングでの心躍る走りはもちろん、日常的シーンでもドライビングプレジャーを感じさせてくれるB3。速さと快適性の見事なまでのバランス、そしてスポーティな走りなのにラグジュアリーな雰囲気を損なわない上品な乗り味を高く評価した。

佐野 弘宗

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 8点
アルピナ BMW ALPINA B3 2点

ヤリスに配した8点はすべて、シリーズの一角であるGRヤリスに向けた評価です。ごく普通の実用量産車をベースにしたスポーツモデルは、いつの世も好事家の憧れであり、ここまで本格的で作り手の情念が見える商品が、世に出たことを素直に感謝して評価します。実際、GRヤリスの乗り味はヤリスとは別物で、根本的な身のこなしから完全に高性能4WDスポーツカーのそれになっています。2020年という社会環境を考えると、モータースポーツに直結したクルマを作ること自体が困難であり、それができるのは、一方でトヨタが環境面でも世界トップクラスの対応力を見せているからでもあります。BMW ALPINAのB3については、ファインチューニングの重要性と可能性をあらためて見せてくれたとともに、日本がBMW ALPINAにとって世界3位の市場であり、この味わいが伝統的に日本のエンスージァストの嗜好にピタリとハマっていることを評価しました。

塩見 智

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 5点
アルピナ BMW ALPINA B3 3点
スバル レヴォーグ 2点

3気筒ターボとは思えぬハイパワー、軽量、高剛性ボディとユニークな機構の4WDシステムによる刺激的かつ爽快なハンドリング、操作フィーリング抜群の6MTなどをパッケージしたGRヤリスの総合的なパフォーマンスにしびれた。コストパフォーマンスの面でも素晴らしいと思う。久々に日本車バンザイ! と思わせてくれた。BMW ALPINA B3は、BMWというエクセレントベースを用い、ある程度コストを度外視し、あらん限りの手間とノウハウを注ぎ込めば、ここまで快適で、ハイパフォーマンスなクルマが出来上がるということを実証した。安くて良いモノは大量生産メーカーにしかできないが、とてつもなく良いモノを作るには規模は関係ないのだと知らされた。

島崎 七生人

ブランド モデル 点数
スバル レヴォーグ 4点
アルピナ BMW ALPINA B3 4点
BMW 2シリーズグランクーペ 2点

“グルメのためのクルマ”といわれるというBMW ALPINAだが、B3も性能はもちろん高く、それは幾多のBMW ALPINA独自の仕様によるものだが、実際に運転してみると決してスペック偏重ではなく、感性を刺激する高性能車だと分かる。パーソナルカーの理想像をカタチにしたクルマだと思う。一方の新型レヴォーグは、高剛性ボディと電子制御ダンパーの組み合わせによる圧倒的な乗り味のスムーズさが印象的で、レヴォーグ(ワゴン)以外の展開も強く望みたいところだ。そしてBMWの2シリーズ グラン クーペは、軽快感を前面に出したBMWの新しい走りの味わいを実感した。

島下 泰久

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 5点
アルピナ BMW ALPINA B3 3点
ジープ レネゲード 4xe 2点

モータースポーツにもそのまま使えるほどの高いパフォーマンスを、量産車ベースに改良を加えてというかたちではなく、まさに競技用車両から逆算して開発するという手法により生み出されたGRヤリスの実現した圧倒的な高性能、きわめて高い走りのクオリティ、そしてそれでいながらのリーズナブルな価格を高く評価します。加えて、それとは対極の職人技、老舗ののれん的な味わいが印象的なBMW ALPINA B3、そして電動化を新しい、質の高い走りの歓びに繋げたジープのレネゲード4xeを選出します。

嶋田 智之

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 8点
BMW 2シリーズグランクーペ 2点

並みのスポーツカーには負けない加速力と速度の伸び、サウンドや操作フィーリングの蕩けるような気持ちよさ、シャープで正確で素早くて滑らかな曲がりっぷり、そして締まりはあるのにしなやかで快適な乗り心地。いかなる時でも“快”を感じさせてくれる。1日中でも乗っていたいと最も強く感じられたのが、BMW ALPINA B3だった。もちろんベースとしているBMW 3シリーズの出来栄えがいいからこそ、という側面はある。けれど、例えば3シリーズの真っ直ぐ先にM3があるのだとすれば、B3はそれとは明らかに路線の異なるモデルに仕上がっていて、満足感では遜色がないのだ。大量生産の自動車メーカーではなかなか手を延ばせないところにまで手を入れて細かく丁寧に磨いていく、ごく少量生産のビスポーク・ブランドというべきメーカーだからこそ作れるモデル。BMW ALPINAのクルマづくりの手腕は健在だ。その分高価だが、それだけの価値はある。

清水 和夫

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

パワーだけでなく、乗り心地と運動性能のバランスがよく、サーキットからオンロードまで楽しめる。BMWを超えたところに、BMW ALPINAの孤高さを感じる。

鈴木 直也

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 5点
アルピナ BMW ALPINA B3 5点

GRヤリスは、スポーツカーというよりラリー競技用ホモロゲーションモデルに近いクルマ。FIAの公認問題がやや不透明らしいが、ここまで本格的なクルマを仕立てたのだから、せひ公認をとってユーザーの積極的モータースポーツ参加を応援して欲しい。こういうクルマが、2020年の今日、日本、ましてやトヨタから登場するとは隔世の感アリ。ユーザー層はかなり限定されるが、クルマ好きを熱くするホットモデルとして大いに歓迎したい。もう1台配点したBMW ALPINA B3は、GRヤリスとは対照的に素晴らしくエレガントな高性能スポーツセダンだ。パフォーマンスも第一級だが、乗って何より感動するのは優雅とさえ表現したいその乗り心地。控えめながらいぶし銀の魅力が光る、まさに大人のスポーツセダンだと思う。

瀬在 仁志

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

伝統的なプレミアムスポーツカーメーカーらしく、高性能なパワーユニットを搭載していながらも、ベースモデルの剛性感の高いボディによって、快適性を失うことなくハイスピードドライビングを実現。街中からワインディングまで、快適かつスムーズに走行を楽しめる上に、サーキットなどの究極の走りをもこなしてしまうなど、幅の広いレンジをカバーするパフォーマンスを持つ。高性能モデルが多く存在する中、サルーンの乗り味をも持ちながら、高い運動性能を実現させているパフォーマンスを得ているクルマは今年のモデルでは例がなく、高く評価した。

世良 耕太

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 7点
ランドローバー ディフェンダー 3点

出力を追わずに(充分ハイパワーだが)、トルクを重視したところがBMW ALPINAのクルマづくりに対する姿勢が現れている。ハイパフォーマンスだが、あくまでジェントル。サーキットを速く走るためのパフォーマンスではなく、快適にロングツーリングできるパフォーマンスを目指しているように感じる。それでいて充分に刺激的。「ハイパフォーマンス」の概念を変えるだけのパンチ力がある。一方のディフェンダーは、先代のラダーフレームシャシーからアルミモノコックボディに変更し、車体のねじり剛性を大幅に向上させた。2トンをゆうに超える車両重量でありながら、2L直4エンジンで不足なく走るし、静粛性は極めて高く、全長5m×全幅2mの大柄なボディサイズを感じさせないほど、キビキビ走る。オフローダーの基準を引き上げるパフォーマンスの持ち主だと感じ、選考した。

高山 正寛

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 9点
アウディ e-tron Sportback 1点

パフォーマンス部門はBMW ALPINA B3に最高点を投じた。正直にいえば自分はBMW ALPINAのことをあまり理解できていない。何よりも価格が1000万円を超える点は当然ユーザーを選ぶし、おいそれと購入できるクルマではない。それでも同社の哲学や単純にスペックだけを語らないクルマづくりにはひとつの「モノ語り」があることを理解した。実際、高性能を過剰に演出するクルマとは一線を画するたたずまいには日本人が好む「奥ゆかしさ」も感じる。それでもその走りは“ハイパフォーマンス”であることは間違いなく、どの速度域でもまるで足の裏がパワートレーンと直結しているような感覚。快適性を犠牲にするどころか、しっかりとした接地感を出しながら滑らかかつ湧き出るようなパワー&トルクは芸術といっても良いほど。生産台数も決まっているし、まだまだユーザーも限定されるが、次世代のエクゼクティブが選ぶべき1台としても評価したい。

竹岡 圭

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 4点
アルピナ BMW ALPINA B3 3点
ランドローバー ディフェンダー 3点

あのボディサイズで、あのパワートレーン。超ビッグトルクが生み出すパワフルさに、運転しながらニヤケている自分がいた。心が躍り出すというのはこういうことだと思う。そんな魅力がGRヤリスには詰まっていたのだ。こういうパフォーマンスを持つクルマに、もっともっと出てきて欲しいと思う。価格帯は違えども、コストパフォーマンス的にも優れていると思ったのはBMW ALPINA B3だ。低中速域をメインに太らせているBMW ALPINAらしいセッティングは、日常使いでもワクワク感を充分感じさせてくれる。そんな寄り添ったパフォーマンスに素晴らしさを感じることができた。それとは逆に、普段使いはオーソドックスにこなしつつも、やる時はとんでもなく、生き残れるか!? というレベルまで対応してくれるのがディフェンダー。生き残れるか!? レベルの境遇に出くわすことはなかなかないが、道なき道を行くような夢を膨らませてくれつつ、日常レベルも意外なほどにこなしてくれる、そんなパフォーマンスが光っていた。

千葉 匠

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

パワフルだけど、ドライバーを急かさない。クルマが「もっと踏め」とはいってこない。内に秘めた実力を予感させながらも、普通に乗れば快適なセダン。そんな「社会性」「日常性」を備えたBMW ALPINA B3は、ハイパフォーマンスカーの今日的な在り方を示している。能ある鷹は爪を隠す……のですね。

テリー 伊藤

ブランド モデル 点数
スバル レヴォーグ 5点
BMW 2シリーズグランクーペ 4点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 1点

BMWの走りの良さに改めてびっくり。SUVブームの中、それとは違う走りの楽しさを改めて教えてくれたBMWに敬意を表したい。一方、GRヤリスは、新型コロナウイルスで沈んだ世の中を蹴散らしてくれるような爽快感がある。トヨタはエラい。

中谷 明彦

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 8点
スズキ ハスラー 2点

BMW ALPINA B3は高度な環境性能が求められている中で、ガソリンエンジンの持つ官能的な走る歓びを楽しめる最後の世代としての魅力が際立っている。またスズキのハスラーは、軽自動車の枠組みで高度な走破性を実現している。

西川 淳

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

ベースとなったBMW 3シリーズの優れたポテンシャルをさらに磨き込んで、極上のスポーツサルーンに仕立てた。BMW ALPINAの目指す方向を歴史的に見れば、それは常に“最良のBMW”であることだった。その方向性に間違いがなかったことは、例えば昨今のBMW Mモデルの方向性がBMW ALPINA寄りになっていることでも分かる。少量生産にこだわり、至上のBMWを長年に渡って作り上げてきたBMW ALPINAと、筋を曲げることなくずっと日本市場に安定供給及びサービスを続けてきたニコル・オートモビルズにも敬意を表したい。

西村 直人

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

クルマ好きの一人としてBMW ALPINAには長きにわたって憧れを抱いてきた。しかし、取材が叶ったのは5年前。当時はとびきり高い運動性能ばかりに目を奪われ、そのパフォーマンスに向き合うだけで時間が過ぎた。今回、BMW ALPINA B3と時間をかけて付き合ってみて、その能力をあからさまにしない紳士的な企業姿勢に心動かされた。また、さまざまなシチュエーションで試乗してみると、BMW ALPINA独自の哲学があることを自分なりに発見できた。それは、ドライバーを急かすことなく快適に、それでいて短時間で安全に目的地まで移動させる最高のパフォーマンスを持ち合わせていることだ。速さを知り尽くしたメーカーだからこそ、人それぞれのゆったりとした時の流れも大切にする。私はそれを「微速にも美学」と称しました。

萩原 秀輝

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 8点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 2点

B3はBMW ALPINAとしては初めて、BMWのMハイパフォーマンスモデル専用だったS系エンジンを搭載しています。ただ、X3 Mなどが積む新世代のS系を単純に移植したわけではありません。あえて最高出力を控えめにして、最大トルクはX3 Mの600Nmを大幅に超える700Nmに到達。なおかつ、フラットな特性を狙わず最大トルクは3000rpm以上の中回転域でピークに達します。そのため、日常的な場面でも力強さの盛り上がりが確かめられるというBMW ALPINAならではのパフォーマンスの感じさせ方を評価しました。コーナリング性能においても、限界の高さを追求することはありません。サスペンションのストロークがスムーズなので操作に対するボディの動きが実感しやすく、ステアリングの切れ味がスッキリしているだけにスイッと軽やかに向きを変えるBMW ALPINAらしいハンドリングを楽しめることを含め8点を投じました。一方、ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリスは3モデル合わせてのエントリーだったため、パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーへの配点が困難でした。GRヤリスだけならB3との配点配分が変わったと思います。

橋本 洋平

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

電子制御ダンパーのチューニングにより20インチタイヤをきちんと履きこなし、低速からしなやかな乗り心地を達成している意外性が衝撃的だったBMW ALPINA B3。けれども、一方でスポーティな走りも抜かりなく、すべてがリニアに正確に動いて行く様に感動できるものがありました。荒れた高速道路におけるフラットな乗り味も納得です。エンジンの仕立て方も素晴らしく、これまたタウンスピードのトルクフルな扱いやすさがある一方で、高回転域の伸び感をきちんと持たせ、爽快な吹け上がりを実現しているところはかなり心地良いと思います。そこに野太く力強く、けれども回せば甲高い官能的なエキゾーストノートが加わるところも魅力的。モード選択によっては一瞬でそれらを静まらせることが可能なところも面白いと思います。このようにどこか一部が突出するわけではなく、どんなシーンでも最高で上質なパフォーマンスが味わえること、これがBMW ALPINA B3の良さだと感じました。

ピーター ライオン

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

M3をベースとしたBMW ALPINA B3だけど、全然別物。その上質でさりげないドレスアップ、ピンストライプ、リアウイング、スポイラー、ホイールを高く評価する。どの路面でも、どのコンディションでもコーナリングが軽快だし、タイヤが食いつくようなグリップを誇る。B3の3L直列6気筒ツインターボは、次期型BMW M3に搭載されるS58型がベースとなるが、その力あふれるトルク感はどの回転数でも爆発的な加速感を提供する。また、室内の細かいステッチ、BMW ALPINAのバッジ、専用のカラーリングなどのさりげないタッチがカッコいい。オプションであるタン色本革インテリアに備わるツートーンのステアリングホイール、独特なエキゾーストノート、インテリアのレザーのルックスと匂いが五感をくすぐる。

ピストン 西沢

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

雨の中でサーキットを走った時に感じた、路面への追従性は素晴らしい。20インチのタイヤは時として、ピーキーかつ大きな動きでハッとさせるが、そこを穏やかに収束させるオリジナルの足回りは、BMW純正をさらに煮詰めたもの。さすがに走りにかけては一日の長があると実感する。ほかにも、トルクで押し出す疾走感や、ステアリングインフォメーションなど、このクルマを所有し、通勤路にワインディングがある人生は最高なんだろうなぁとつくづく思う。

藤島 知子

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

BMWをベースとしたラグジュアリーカーでありながら、BMW ALPINAらしいスポーツ性を極めてみせたB3。その乗り味は、ゆったり構えてクルージングすれば最高に快適であるにも関わらず、いざ気持ちをスイッチすると、めくるめく情熱的な走りと抜群の操縦性で心を湧かせてくれた。

松田 秀士

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

BMW ALPINA B3はとても魅力あふれるモデルだ。まずエンジンのパフォーマンスはレスポンスもパワーも問題なく素晴らしい。そしてそれ以上にしっかりしたボディに支えられたサスペンションのストローク感がバツグンだ。試乗会では荒れた路面のワインディングを走行したが、ホイールトラベルの制御が素晴らしく、リアにLSDを採用したAWDシステムはリア寄りのトルク配分でAWDであることを感じさせずナチュラルな駆動コントロールを感じた。とはいえAWDであるがゆえにビッグトルクをしっかりと路面に伝えている。20インチモデルでも低中速域の乗り心地はスポーツモデルとは思えないほど乗員を快適に保ち、ロングドライブにも十分に対応するものだ。激と静のどちらにも感動があり、乗るたびに脳内活性ホルモンが大量に分泌しているような快感を覚えた。

松任谷 正隆

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 10点

湧き出るようなパワーを、誇示するのではなく、実に洗練された形で表現するのがBMW ALPINAのやり方。むやみに乱暴な音を聴かせないのも好感を持てます。圧巻は足回りの洗練さ。路面を舐めるように捉える足回りのしなやかさは、初代からの美点であり、進化するに従ってたくましさを身につけてきました。このプライスでスポーツと洗練をこれほどまでに高次元で達成しているクルマは他に例がないと思われます。

まるも 亜希子

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 6点
プジョー 208/e-208 4点

決して目立たず、周囲にひけらかすこともなく、ただただ自分自身が心ゆくまでドライブを愉しむための、熟成された大人のハイパフォーマンスモデルだと感動したBMW ALPINA B3。最新世代の3L直6エンジンは、久々に「サウンド」と呼びたくなる音色を奏で、手足のように操れる気持ちよさも素晴らしかったです。一方、プジョーの208ではロングドライブで高速道路も山道も走りましたが、ボディの塊感、軽快なエンジン、しなやかな足さばきで、思わず夢中になるほどの楽しさを久しぶりに味わいました。e-208はほんの短いドライブでしたが、ガソリンモデルに負けず劣らずの楽しいEVに仕上がっていました。

御堀 直嗣

ブランド モデル 点数
BMW 2シリーズグランクーペ 10点

手頃な大きさの車体に、存分の性能が込められ、1シリーズから採用されたARBにより前輪駆動であるか後輪駆動であるかを意識させず運転に集中させ、壮快な走りを楽しませる。ブレーキの感触も秀逸である。時代を超えて同社の「駆けぬける歓び」を体現させるクルマだ。

森口 将之

ブランド モデル 点数
ホンダ Honda e 4点
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 3点
アルピナ BMW ALPINA B3 3点

テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー同様、今回は飛び抜けて印象に残ったパフォーマンスはエントリーした車種の中には存在しなかったと感じているので、その中で配点した3台について理由を順番に列記していくことにする。まずヤリスシリーズについては、モータースポーツへの参戦を前提として開発されたGRヤリスを評価した。3気筒ターボエンジンは荒々しい鼓動でドライバーの気持ちを高ぶらせつつ、あらゆるシーンで速さを引き出せる扱いやすさを持ち、ハンドリングも電子制御4WDの調教が絶妙で完成度の高いものだった。Honda eは小気味良い加速感や驚異的な小回り性能がキャラクターに合っており、リアモーター方式のEVがシティコミューターというカテゴリーに最適であることを教えてくれた。BMW ALPINA B3はBMWをベースとしたエクスクルーシブモデルで高価ではあるものの、単に高性能を誇示するだけでなく、サウンドや乗り心地といった感覚的な部分にまで繊細な調律がなされていることに感心した。

諸星 陽一

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 8点
プジョー 208/e-208 2点

今年のノミネート車の中にも数多くのスポーティなクルマが存在しています。その中でも群を抜いているのがGRヤリスでしょう。この点について異論のある方はまずいないと思います。エコロジー、エコノミーが叫ばれる中、よくこれだけスポーティなクルマを世に送り出したと思います。そして、GRヤリスが単にスポーティなクルマではなく、WRC(世界ラリー選手権)への出場資格(ホモロゲーション)を得るために、必要台数である2万5000台を生産するといいます。さらにトヨタはクルマを作るだけでなく、WRCを日本に誘致するという活動も行っています。そうした背景も含めてパフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーにはヤリスに最も点数を入れました。当初はヤリスのみに配点するつもりでしたが、10ベストカー試乗・取材会にてプジョーのe-208に試乗。スタイリッシュでスポーティ、それでいて400万円を切る価格設定には意味があると感じ、208にも配点を行いました。いずれもシリーズ全体ではなく、GRヤリスとe-208への配点です。

山内 一典

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 10点

GRヤリスを初めて試乗した時の衝撃は、かつて、R32型スカイラインGT-Rに初めて乗った時のようだった。クラッチを繋いで、動き出しから分かる、有り余るようなボディの剛性感やがっしりとしたステアリングフィールは、700万円超のピュアスポーツカーなら経験したことがあるが、この価格のスポーツカーで経験したことはなかった。飛ばせばもちろん速いのだろうが、それ以前に、普段の街乗りスピードで、そのポテンシャルを感じ続けられる、ステアリングフィールを始めとしたさまざまなチューニングに感激いたしました。毎日の通勤が楽しくなります。

山田 弘樹

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 5点
アルピナ BMW ALPINA B3 5点

運動性能と官能性というふたつのパフォーマンスにおいて、GRヤリスとBMW ALPINA B3が今年最も印象に残りました。GRヤリスはホモロゲーションモデルという性格から、市販状態においても手抜き感の一切ない仕上がりとなっており、我々が手にすることのできる本物のラリーカーというキャラクターを貫いています。B3は乗り味のしなやかさと、官能性、そして速さという3つの要素を高次元でバランスさせています。乗り心地が良くても、エモーショナルは実現できる。そのお手本のような1台です。

山本 シンヤ

ブランド モデル 点数
トヨタ ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス 10点

主にGRヤリスに関してですが、ベースのヤリスの基本素性/性能の高さがなければ実現できなかったことなので、それを含めて評価しています。GRヤリスの1.6L直列3気筒直噴ターボ+6速MT、専用ボディ&シャシー、スポーツ4WD「GR-FOUR」など絶対的なパフォーマンスの高さはいうまでもありませんが、それを実現させた背景も含めてです。従来のトヨタのルール/基準を超えた設計、データとドライバーコメントをひもづけしたテスト方法、その場で直してすぐに乗ってもらうスピード感、プロドライバーによる評価、スーパーカー級の高精度の量産、少量生産でもコストを上げない工夫などなど。トヨタが最も大事にしている「現地現物」と「人づくり」が裏づけたコンピューターをも超える技能の成すべき姿が形になったと思っています。

吉田 由美

ブランド モデル 点数
アルピナ BMW ALPINA B3 6点
ランドローバー ディフェンダー 3点
BMW 2シリーズグランクーペ 1点

見た目は「BMW」、しかしさすがはBMW公認のコンプリートモデル。もともとのレベルが高いBMW 3シリーズがさらにグレードアップし、「駆け抜ける歓び」をさらに超える乗り心地としなやかさを手に入れてしまったBMW ALPINA B3……、これは反則技です

渡辺 陽一郎

ブランド モデル 点数
アウディ e-tron Sportback 5点
BMW X6 4点
アルピナ BMW ALPINA B3 1点

今はパフォーマンスの概念も多様化している。この中で時代を象徴するのが、EVの運転感覚だろう。モーターの特性によって瞬発力が高く、アクセルペダルを踏み増した直後から、高い動力性能を発揮する。特に巡航中の追い越し加速が鋭い。そこで注目されるのがアウディe-tron Sportbackだ。Lサイズのボディを力強く静かに加速させる感覚は、従来のエンジン車では味わえない迫力を伴う。e-tronが新感覚のパフォーマンスなら、従来の流れを汲むのがBMWのX6になる。特に3L直列6気筒クリーンディーゼルターボは、発進直後の1000回転少々から十分な過給効果を感じられ、4000回転を超えた領域の加速も活発だ。最近はディーゼルのイメージが悪化しているが、大胆なエンジン特性は、X6のように個性的なLサイズSUVと親和性が高い。この良さを否定せず、洗練させながら継承していくことがユーザーの期待に応える商品開発だ。

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