第46回 2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー 選考委員別配点表
| No | 氏名 |
スズキ/e ビターラ |
スバル/フォレスター |
ダイハツ/ムーヴ |
トヨタ/クラウン(エステート) |
日産/リーフ |
ホンダ/プレリュード |
BMW/2シリーズ グラン クーペ |
ヒョンデ/インスター |
プジョー/3008 |
フォルクスワーゲン/ID.Buzz |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 |
青山 尚暉 |
10 | 25 | 1 | 8 | 15 | 18 | 4 | 2 | 12 | 6 |
| 2 |
安東 弘樹 |
8 | 15 | 1 | 2 | 25 | 4 | 6 | 10 | 12 | 18 |
| 3 |
飯田 裕子 |
4 | 25 | 12 | 1 | 10 | 18 | 6 | 8 | 2 | 15 |
| 4 |
石井 昌道 |
1 | 18 | 2 | 15 | 6 | 25 | 12 | 4 | 8 | 10 |
| 5 |
石川 真禧照 |
25 | 18 | 4 | 6 | 1 | 8 | 12 | 15 | 2 | 10 |
| 6 |
今井 優杏 |
2 | 25 | 1 | 15 | 10 | 12 | 8 | 4 | 18 | 6 |
| 7 |
太田 哲也 |
1 | 25 | 8 | 12 | 2 | 18 | 4 | 15 | 10 | 6 |
| 8 |
大谷 達也 |
10 | 18 | 1 | 12 | 15 | 25 | 6 | 2 | 4 | 8 |
| 9 |
岡崎 五朗 |
12 | 4 | 2 | 8 | 18 | 25 | 6 | 1 | 10 | 15 |
| 10 |
岡本 幸一郎 |
1 | 25 | 10 | 15 | 2 | 18 | 4 | 8 | 6 | 12 |
| 11 |
小沢 コージ |
18 | 25 | 15 | 8 | 12 | 10 | 6 | 2 | 1 | 4 |
| 12 |
片岡 英明 |
8 | 25 | 4 | 12 | 15 | 18 | 2 | 10 | 1 | 6 |
| 13 |
桂 伸一 |
4 | 18 | 1 | 15 | 12 | 25 | 8 | 6 | 2 | 10 |
| 14 |
金子 浩久 |
1 | 4 | 12 | 8 | 2 | 18 | 10 | 15 | 6 | 25 |
| 15 |
河口 まなぶ |
4 | 25 | 12 | 15 | 18 | 10 | 2 | 8 | 1 | 6 |
| 16 |
川島 茂夫 |
10 | 18 | 1 | 25 | 12 | 15 | 2 | 8 | 4 | 6 |
| 17 |
木下 隆之 |
6 | 12 | 4 | 2 | 15 | 18 | 1 | 10 | 8 | 25 |
| 18 |
日下部 保雄 |
4 | 25 | 1 | 15 | 2 | 18 | 6 | 12 | 10 | 8 |
| 19 |
九島 辰也 |
18 | 25 | 1 | 12 | 2 | 15 | 6 | 4 | 8 | 10 |
| 20 |
工藤 貴宏 |
4 | 25 | 12 | 15 | 2 | 18 | 10 | 6 | 8 | 1 |
| 21 |
国沢 光宏 |
2 | 25 | 8 | 18 | 4 | 15 | 1 | 12 | 10 | 6 |
| 22 |
五味 やすたか |
1 | 25 | 12 | 15 | 18 | 10 | 8 | 2 | 6 | 4 |
| 23 |
こもだ きよし |
4 | 2 | 1 | 12 | 8 | 25 | 15 | 6 | 10 | 18 |
| 24 |
斎藤 聡 |
8 | 25 | 4 | 10 | 12 | 18 | 6 | 1 | 2 | 15 |
| 25 |
斎藤 慎輔 |
1 | 25 | 12 | 6 | 2 | 18 | 4 | 8 | 15 | 10 |
| 26 |
佐藤 久実 |
1 | 8 | 2 | 10 | 12 | 25 | 6 | 15 | 4 | 18 |
| 27 |
佐野 弘宗 |
4 | 12 | 1 | 25 | 18 | 15 | 6 | 8 | 10 | 2 |
| 28 |
澤 円 |
2 | 12 | 15 | 6 | 10 | 18 | 8 | 1 | 4 | 25 |
| 29 |
塩見 智 |
8 | 25 | 2 | 4 | 10 | 15 | 1 | 12 | 18 | 6 |
| 30 |
島崎 七生人 |
15 | 18 | 1 | 12 | 10 | 25 | 2 | 8 | 4 | 6 |
| 31 |
島下 泰久 |
1 | 25 | 4 | 12 | 15 | 18 | 2 | 6 | 8 | 10 |
| 32 |
嶋田 智之 |
1 | 18 | 4 | 6 | 2 | 15 | 12 | 25 | 10 | 8 |
| 33 |
清水 和夫 |
1 | 25 | 6 | 10 | 8 | 15 | 18 | 12 | 4 | 2 |
| 34 |
神保 匠吾 |
10 | 25 | 2 | 4 | 12 | 15 | 6 | 8 | 1 | 18 |
| 35 |
瀬在 仁志 |
8 | 25 | 1 | 18 | 6 | 15 | 10 | 4 | 12 | 2 |
| 36 |
世良 耕太 |
8 | 18 | 10 | 15 | 12 | 25 | 1 | 4 | 2 | 6 |
| 37 |
高橋 アキラ |
1 | 25 | 10 | 12 | 2 | 15 | 4 | 18 | 8 | 6 |
| 38 |
竹岡 圭 |
15 | 25 | 8 | 6 | 1 | 18 | 2 | 4 | 10 | 12 |
| 39 |
竹下 元太郎 |
15 | 25 | 10 | 4 | 12 | 18 | 1 | 8 | 2 | 6 |
| 40 |
谷口 信輝 |
2 | 1 | 4 | 18 | 12 | 25 | 15 | 8 | 6 | 10 |
| 41 |
鶴原 吉郎 |
8 | 6 | 1 | 4 | 25 | 18 | 12 | 2 | 15 | 10 |
| 42 |
テリー 伊藤 |
12 | 4 | 1 | 15 | 10 | 25 | 2 | 18 | 6 | 8 |
| 43 |
戸田 治宏 |
2 | 25 | 1 | 10 | 15 | 18 | 8 | 4 | 6 | 12 |
| 44 |
中谷 明彦 |
4 | 25 | 2 | 18 | 12 | 15 | 8 | 1 | 10 | 6 |
| 45 |
西川 淳 |
1 | 15 | 4 | 18 | 10 | 25 | 6 | 2 | 12 | 8 |
| 46 |
西川 昇吾 |
2 | 25 | 18 | 8 | 12 | 15 | 4 | 10 | 1 | 6 |
| 47 |
萩原 秀輝 |
10 | 25 | 1 | 2 | 18 | 15 | 6 | 8 | 12 | 4 |
| 48 |
橋本 洋平 |
1 | 2 | 8 | 18 | 6 | 25 | 10 | 15 | 4 | 12 |
| 49 |
濱口 弘 |
1 | 25 | 2 | 4 | 15 | 18 | 10 | 6 | 8 | 12 |
| 50 |
ピーター ライオン |
8 | 25 | 1 | 10 | 12 | 15 | 18 | 6 | 4 | 2 |
| 51 |
ピストン 西沢 |
1 | 18 | 4 | 10 | 12 | 25 | 8 | 6 | 2 | 15 |
| 52 |
藤島 知子 |
1 | 10 | 12 | 6 | 18 | 25 | 8 | 2 | 4 | 15 |
| 53 |
松任谷 正隆 |
12 | 10 | 2 | 1 | 18 | 25 | 6 | 15 | 8 | 4 |
| 54 |
松本 英雄 |
2 | 18 | 6 | 10 | 1 | 25 | 15 | 4 | 8 | 12 |
| 55 |
まるも 亜希子 |
2 | 12 | 10 | 18 | 6 | 25 | 4 | 15 | 1 | 8 |
| 56 |
山田 弘樹 |
1 | 25 | 8 | 15 | 2 | 10 | 12 | 6 | 4 | 18 |
| 57 |
山本 シンヤ |
6 | 25 | 1 | 12 | 18 | 10 | 8 | 15 | 4 | 2 |
| 58 |
吉田 由美 |
10 | 25 | 8 | 15 | 4 | 18 | 6 | 12 | 2 | 1 |
| 59 |
渡辺 慎太郎 |
2 | 15 | 18 | 6 | 8 | 10 | 12 | 4 | 1 | 25 |
| 60 |
渡辺 陽一郎 |
12 | 25 | 8 | 10 | 18 | 15 | 4 | 6 | 2 | 1 |
今年のノミネート車はいつも以上に魅力的な新型車が揃った。ホンダ・プレリュードの操る楽しさ、80年代にドライブデートに明け暮れた今の世代を熱くする、価格はともかくとした商品性、日産リーフのこれぞ電気自動車という滑らかで静かな走りとエクステリアデザイン、ついに700kmを越えた航続距離(WLTCモード)、プジョー3008のインテリアのデザイン性、シートの良さ、視界の良さも大いに評価したい。その上で、「誰にでも薦めたくなる商品力」と、それを裏付ける安全性能、快適性、約400万円から手に入る企業努力による価格設定、そして新しさ(継続販売車であればそのクルマとして歴代ファンが感じる新しさ)という個人的評価基準で、オールラウンダーかつロングドライブでも疲れない(600kmの運転経験あり)スバル・フォレスターはもっとも合致した1台となった。
日本の道に最適なボディサイズとリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用し一充電走行距離最高520kmを達成。東京~軽井沢を無充電で往復可能なバッテリー性能の持ち主。その上で、バッテリーマネジメントとフルドアの採用によって、日本や欧州の寒冷地、雪国での使用に配慮されているのもスズキの良心。先進感あるインテリア、ダイヤル式セレクターもなかなかだ。素直で軽快かつ安定感の高い、ドイツ車然とした走りも好印象。
エクステリアデザインから開発をスタートした6代目。2モーターストロングハイブリッドを搭載し、デザイン、燃費性能ともにフォレスター史上最上。シンメトリカルAWDによるオン・オフの快適かつオールラウンダーな走行性能、高い安全性能はもちろん、HV、ガソリンターボモデルを問わない乗り心地の良さに感動。誰にでも薦められる今年の1台としてもっとも評価。愛犬家と愛犬に最高のドッグフレンドリーカーでもある。
7代目ムーヴは両側スライドドアを備え、カスタムグレードを用意しないものの、カスタム的なエクステリアデザインを採用。タントより100mm低い全高で後席の乗降性に優れる両側スライドドアモデルを探していた軽ユーザーに応えてくれる。NAとターボを用意するが、ターボのみ応答性と高速燃費に優れたステップシフト付きD-CVT採用。旧来CVTを組み合わせるNAエンジン車との動力PEK性能差が顕著な点は気になる。
16代目クラウンの群として開発された最後のピースがSUVテイストあるエステート。HVとPHEVが用意し大柄なボディ、重量級ながら、真夏の実燃費18km/L程度の燃費性能を発揮。ラゲージルーム拡張ボードで車中泊可能な最大2mものフラットスペースが出現するアイデアも秀逸。走りの快適さ、心地よさ、安定感は感動もので、ロングドライブもまったく苦にならない。ワゴン市場が縮小している日本において貴重な1台。
5人乗り登録車として世界初の量産電気自動車が日産リーフ。新型はCMF-EVプラットフォームを採用し、CD値0.26を誇るダイナミックで空力性能に優れたプロポーション、各部の剛性UP、先進感を一段と高めたインテリア、そして何と言ってもアリアを上回る最新のエネルギーマネージメントによって実現した一充電航続距離最高702kmを達成した商品力が、国産電気自動車の先駆者であるリーフの意地を感じさせる。
24年ぶりにスポーティHVクーペとして復活したプレリュード。80年代のデートカーの懐かしさとともに、FF最高峰のシビックtype-Rのシャシーを用いたシャシーファーストな走行性能、操る楽しさ、スポーツ心を高揚させる「Honda S+ Shift」の演出、そして現代の”大人の”スポーティクーペならではの乗り心地、燃費性能にぞっこん。ホンダの志を凝縮した1台だと思える。
日本の路上、駐車環境でも扱いやすい車幅が嬉しい。先進感溢れるメーター周りのデザイン、3気筒感皆無のマイルドハイブリッドモデルはFRじゃなければBMWじゃないと信じるBMWファンも納得のBMWらしい走りを披露。300psを発生するM235 xDriveはホットモデルらしい豪快な動力性能とともにそのパフォーマンスから想像できない快適さも併せ持つ。3シリーズと比較したときのコスパにも注目だ。
日本の道で扱いやすい5ナンバーサイズ、最小回転半径5.3mのミニマム&スモールサイズのEVがインスター。最大458kmの航続距離の納得度は人それぞれ。日本向けの乗り心地重視の足回りによる前席の乗り心地の良さ、最高額車で357.5万円という価格は魅力的。メーター左右の画面に死角となりやすい後方視界を映し出してくれる先進運転支援機能にも注目できる。パッケージングは車体サイズから前席優先と考えていい。
モダンでスタイリッシュなエクステリア、乗り込んだだけで感動できる先進感とリビング感ある視界抜群のインテリアが好印象。後席にも配慮したパッケージング、装備類で後席、ラゲッジルーム重視のクルマ選びにも推奨。60キロ以上の領域ではラグジュアリーと表現していい快適な乗り心地に変貌。シートは最高。下り坂で速度を一定に保つ6ATの制御も評価。日本車やドイツ車とは一味違う電動SUVを求めている人にうってつけ。
復活したワーゲンバスはBEVで登場。エクステリアはツートンカラーに象徴されるtype2のヘリテージを継承し、これまたツートーンも用意される遊び心満載の室内は見るだけで懐かしくもわくわくする。幅広だが、2-3列目席スルーが可能な標準ホイールベースモデルならオシャレなファミリーミニバンとして75年の時を経た現代版EVワーゲンバスとのオシャレすぎるライフスタイルを楽しみ尽くせるに違いない。
今回も悩みはしましたが最後に10台を一気に試乗した結果、順位が、思ったより、すんなり決まった自分に驚きました。
気付くと1位~5位のうち3台はBEVに。スペックにかかわらず、シームレスで力強い加速や静粛性、回生による無駄のない減速感など、クローズドコースに於いてもBEVの優位性を感じたのが正直な感想です。一方でストロング・ハイブリッドユニットを得たスバル・フォレスターや、ホンダ・プレリュード、トヨタ・クラウンエステートからは、環境性能と利便性や快適性、また運転の楽しさの並立の可能性を感じられたのも事実です。
特に日本に於いては、まだまだハイブリッドユニットの存在感を再認識させる今回の日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026でした。
一方、10ベストカーの中で、唯一の純ガソリンエンジンの軽自動車でありながら、存在感を示したダイハツ・ムーヴではありますが、実質燃費は10台の中で最も悪い可能性もあり、今後の軽自動車の方向性や未来について早急に議論すべきだと感じたのも確かです。
「SUZUKIのお客様にBEVを知ってもらいたい。」これがe ビターラ、開発主査のお言葉でした。このクラスでは世界的にも珍しい4WD車の設定もあり、非常にバランスの良いBEVなのですが、これ、と言った個性を見つけるのが難しかったのも確かです。「知ってもらいたいクルマ」としては今の日本で約400~500万円という価格はハードルが高いかもしれません。ポテンシャルは高いので今後の展開に期待です。
待望のストロング・ハイブリッドユニットを得たフォレスターですが、エクステリアも万人に愛されるユニバーサルなデザインになったと思います。SUBARUの拘りも随所に感じられるパワートレーンは悪路走破性も、しっかり担保しつつ、現実の燃費も良くなり、これで様々な意味で、何処へでも安心して行ける、というクルマになったのではないでしょうか?パワーシートや全後席のシートヒーターなど装備も満載。正に万能車です。
この価格で、初めてスライドドア(グレードによっては電動)を採用してきた事を評価します。しかし11年ぶりのフルモデルチェンジにもかかわらず、パワートレーンの刷新が無かったことは残念です。当然、実燃費も改善は感じられず、CVTのラバーバンドフィールも前モデルと同様でした。多くのユーザーに選ばれるクルマだからこそ安全の為にも加速や減速、曲がる、止まる、を正確に操れる様なクルマであって欲しいのです。
他のラインアップのクラウンが昨年以前のデビューでしたので、残念ながら、今回は新しさを感じることができませんでした。PHEVモデルは動力性能、実燃費、使い勝手を高次元で具現化しているのですが、後席の空調を独立して調整出来ない。後席シートバックを2分割でしか倒せない。など、ユーザー目線で視ると惜しい点が散見されました。
奇をてらっていないのに新しく感じる内外装の色使いやデザイン。シフトパドルや「e-Pedal」を駆使して加減速を自在に操れる点を高く評価します。プロパイロット2.0の優位性も健在で、全体的に「優しいクルマ」です。フットワークに、もう少し煮詰めが必要とは感じましたが、動力性能は十分で、気持ちの良いライドフィール。多くの人が、運転して、同乗して、「爽快」と感じるはずです。航続距離の長さも評価できます。
モーター内蔵のCVTを、ここまで楽しく味付けして下さったエンジニアの皆様に、大きな賛辞を送り、敬意を表したいと思います。S+モードにしてシフトパドルを操れば、まるでDCTのようなレスポンスとサウンドの演出。とにかく運転が楽しいのですが、、、スペシャリティー・カー、と銘打っているにもかかわらず、スペシャリティーな装備のパワーシート、シートベンチレーションなどがオプションでも選べず。そこが残念です。
ディーゼルの220dは本当に良いクルマだと思います。トルクフルで燃費も良いマイルドハイブリッドエンジン。ボディサイズも日本市場にマッチしていて、内外装の質感や装備も十分。しかし、ガソリンモデルの、特にM235は最近の「スポーツモデル」としては物足りない動力性能と特別感が足りない演出でコスパも含めて中途半端な印象です。220dとの価格差200万円の説得力が、もう少し欲しかったです。
今、日本では希有な、ちょうど良いサイズに十分な動力性能とバッテリー容量(航続距離)を持つBEVである事。電動ガラスルーフやシートベンチレーションなど、クラスを超えた装備や、人を惹き付ける内外装のデザインなどを評価しました。更にV2Lに対応し、災害時やレジャーなどの利便性も担保。10ベスト試乗会の時には、しっかりスポーツ走行にも応える走りの良さも確認できました。約285万円~という価格も驚きです。
プジョーが最近、大量に導入してきた、プラグインではないガソリンハイブリッド車の先駆けと言える3008。必要十分な動力性能に足の良さ、そこに良好な燃費も加わり全方位で評価出来るクルマです。
特にドライバーを包み込むようなコクピット周りの先鋭的なデザインは秀逸。素晴らしいシートとの組み合わせで、運転そのものが目的になる希有なクルマです。
日本市場に於いて、BEVのフルサイズ・ミニバンという唯一無二の存在である事。ドライバーだけでなく、周囲の人をも笑顔にするエクステリアデザイン。堅牢なボディ、低重心、更に高出力モーターによる走りの懐の深さ。遊び心を持ち合わせつつ、使い勝手の良い内装、装備。これらを評価しました。インポーターの努力は理解した上で、日本では、現実的に価格とボディサイズがネックにならざるを得ず、2位とさせて頂きました。
日本車は2台の“ハイブリッド”の“動力が創出する走りや移動の豊かさ”にスバルやホンダらしさを改めて感じることができた。スバルがフォレスターにS:HEVを採用したことで今の人気上昇に繋がっているのも一つの理由だと思うけれど、私はこれまで当り前の良さとして注目されにくかったスバルの本質の技術や性能、安全思想に改めてスポットが当たり見直される機会を得たことをフォレスターの真価として1位に選ばせていただいた。ホンダも“ハイブリッド×スポーツ”の楽しさと、今後の展開を期待させる懐感もe:HEVの技術力によるところ。燃費だけではないハイブリッドがもたらすデザインや走り、安全などへの相乗進化がクルマとしての面白さに繋がりそうだ。
輸入車では48Vマイルドハイブリッドシステムの新規あるいは追加モデルの登場が印象に残る年だった。そしてそれぞれに技術へのこだわりがあるからブランドの技術面のキャラも優れた走行性能にも注目し感心させられることも多かった。
リーフのようにすでに3代目となるEVの登場の技術の進化に驚くとともにその走りの洗練にクルマ好きは嬉しくなる。
クルマの電動化が当り前になりつつある今、今後もそれらがもたらす各社の価値をデザインのような静的なものから、走りという動的性能まで開発者の声とともに残らずさらって評価していきたいと改めて思う一年でした。
グローバル戦略EV第一弾は実にスズキらしいモデルだ。優れたパッケージ、クオリティを含むデザイン性の高さ、大健闘のスタート価格もスズキらしい。航続距離は500km以上。EVに4WDを採用するメーカーが少ないなかスズキはALLGRIP-eを開発。幅広い地域の日常の移動を支えるスズキらしい。その上、とりわけ4WDモデルはドライバビリティにも優れ、新たな動力を得たスズキの今後の展開をより期待したくなった。
クロストレックから搭載を始めたスバル流ストロングハイブリッド(S:HEV)でスバルが、そして新型フォレスターが得たのは弱点だった燃費性能の改善だけではない。スバルがブレずに守り続けてきたクルマづくりの本質(水平対向エンジンやシンメトリカルAWD、0次安全、アイサイトを含む運転支援技術)とともにブランドの総合力を過去から未来へ繋ぐ好機を得た。フラッグシップSUVの新型フォレスターそれを確信できた。
初代ムーブが登場した30年前はミラとムーブの2車種のラインナップだったそうだ。それが今では5車種を展開。そんな中で新型ムーブはスライドドアを初採用し比較的手頃な150万円を切る価格帯から選べる。その上でグレード展開の再定義や個々のニーズに寄り添うような購入スタイルなど、ハードもソフトもヴァージョンアップを図った真価の進化が、ダイハツを確実にMOVE ONさせているような気がしている。
足りなかったクラウンのピースがピタッとはまった。「16代目「革新と挑戦」の象徴 セダン(既存の型)があるからエステートのような型破りが出来る」という開発者の言葉のおかげでクラウンシリーズにワゴンとSUVを融合させたような個性を持つ長距離走車「エステート」が加わり、自らの存在が他を際立たせている。クラシック感漂う上質な内装、カラーの選択に今のトヨタのデザインのセンスもうかがえる。
日本のEVのパイオニアである3代目となるリーフは多方面で進化を遂げた。エネルギーマネージメントの緻密かつ大幅な改良(暑さ寒さに影響されぬくい)もありB7型の航続距離はWLTCで702km。充電効率も高めらた。スーッと静かに滑らかに走る走行性能の洗練ぶりには日産の味がしっかりしみている。一目で新型リーフとわかるクロスオーバースタイルのデザインも含め、新時代の実用EVを隅々で感じることができた。
環境性能に優れるだけでない情緒的な走りを生むe:HEV、尖りすぎないタイプR譲りのハンドリング、バックシャン萌えのスタイリング。ミニバンや軽自動車、SUVが主力の日本で純粋にストレートな感情を持ち続けるのが困難な時代に登場したスペシャリティクーペ。ホンダのサブスローガン「How we move you.」そのまま、純粋にドライブやドライビングを楽しみたいという人々の「心が突き動かされる」モデル。
進化を続けるBMWのスモール・コンパクトセグメントモデル。BMWの駆け抜ける歓びはFR(後輪駆動)だけではないことを新型2シリーズ(FF)のハンドリングで改めて実感できた。ガソリン、ディーゼル、Mモデルとラインナップの多彩さも日本市場へのこだわりが感じられる。日本の道路にも合う車幅1800mmに抑える2シリーズにもハンズオフ機能を装備するなど最新のBMWらしさをこのサイズで余すことなく体験できた。
EVと暮らす日常の楽しさを個性的なデザインやサイズ、走行性能などで「日本の道」にこだわったモデル。コンパクトながら航続距離はWLTC477km、価格も290万円からと手頃。5ナンバーサイズが日本の道路環境に合っているだけでなく、ウインカーレバーの右への変更や専用サスペンションの採用による乗り心地と高いハンドリング性能を実現。さらにADASの制御も首都高の複雑なカーブで開発を行っている。
1.2L 3気筒エンジン+モーター+6DCTを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムを採用し燃費と効率を両立。国内ではこれが初採用となる電動車向けプラットフォームとともにスペック以上の走りの質の高さが感じられた。
斬新で奇抜、なのにエレガントさも持ち合わせるエクステリア/インテリアのデザインにはプジョーの快楽主義と情熱を感じ、そこにフランスのプジョーらしさを見いだすことができる。
Type2のヘリテージを継承したデザインをVWのフル電動ミニバンという新たなモデルに採り入れた意味は大きい。実は最初、「こんなに大きなミニバンを個人的に好きなtype2もどきにしてしまうなんて!?」と懐疑的だった。しかしクルマの出来栄え、乗るほどに豊かさを感じさせてくれるインテリアとともに、“懐かしさと未来が同居する、VWの走るアイコン”と高く評価させてただいた。Welcome to Japan!
日本ではBEV(電気自動車)の普及が思うように進まないなかで10ベストカーに4台が選出された。少なくとも実力と魅力をかねそなえたBEVが増えつつあるということだ。しかも比較的にコンパクトで身近なモデルが多いので、販売が上向くことが期待できる。また、フォルクスワーゲンID.Buzzのように他にはないユニークなモデルもマーケットを活気づけることになりそうだ。
とはいえ上位3台にあげさせていただいたモデルはいずれもフルハイブリッドカー(モデルによってエンジン車も選べる)。やはり、現在からしばらくの間は乗用車の主流であり続け、今後は燃費性能だけではない魅力をさらに高めていく必要があることが示唆されたと捉えることができる。輸入車はフルハイブリッドカーは少ないが、そのかわりにMHEV(マイルドハイブリッド)を強化して、より燃費改善効果を高め、モデルによってはパフォーマンスアップや操る喜びを高めることに繋げている。さまざまなパワートレーンが存在し、クルマの魅力を高めるためにさまざまなアイデアで活用しているのが興味深い。
スズキ初のBEV(電気自動車)であり、インドで生産する世界戦略車であるなど、何かと話題の多いeビターラ。車両重量は1700〜1890kgとそれなりに重いが、あまりネガティブを感じさせず、スズキ車には珍しい重厚感のある乗り味となっている。BセグメントのBEVでは珍しい4WDを用意しているので降雪地帯ユーザーなども気になることだろおう。
オンロードでもオフロードでも高い性能を誇るフォレスターは、どんな場所でも移動が快適で楽しい。ただ一つの悩みだった燃費性能を改善するべくストロング・ハイブリッドが採用された意義は大きい。しかも水平対向エンジンと2つのモーター、シンメトリカルAWDの組み合わせで、従来のスバルらしい頼もしさはいささかも失われていない。燃費だけではなく加速性能も良くなった。
ヒンジドアが一般的なハイトワゴンにスライドドアを採用したことでスマッシュヒットとなっているムーヴ。4代目の頃からワンモーションフォルムがアイデンティティとなっているため、Aピラーの角度は寝かせ気味で、そのなかでスライドドアを採用するのは想像するよりも困難を伴ったという。それでも仕上がりはよく、走りの性能もユーザーに寄り添ったものだ。
FFベースのプラットフォームでありながら、以前のFRと同等かそれ以上の重厚な乗り味をみせる。とくにPHEV(プラグインはイブリッド)はAVS(可変ダンパー)やDRS(後輪操舵)を採用して高度なシャシー性能をみせる。リアコンフォートモードも有効で、たしかに後席の乗り心地を向上させる。また、通常のハイブリッドよりも電気アシストが大きいため、エンジン回転数が下がって静かで快適なのもPHEVのメリットだ。
もったいない精神でわずかな熱でも回収してエネルギー効率を高めて開発陣の意地をみせた。優れた空力性能も相まって一充電走行距離は700kmオーバーを実現。また、15年間で累計販売台数70万台、総走行距離280億kmという知見やデータを活かして、カーナビで目的地設定すると消費電力予想の精度が高まっていることは、いち早くBEV(電気自動車)を市場投入したリーフならではだ。
e:HEVの特性を活かしつつ、これまでの知見の積み重ねによって登場したS+シフトは、ハイブリッドカーに操る喜びをもたらした。サウンドやリニア感のあるトルク変動は、単なるギミックではなく、ドライビングにおけるインフォメーションとして有効で、一体感を高める効果がある。これからしばらくは主流のパワートレーンに楽しさが付加されたことを大いに歓迎したい。
FFベースでもハンドリング性能が高いのはさすがBMW。ちょっと太めのステアリングから伝わってくるフロント周りの剛性感の高さは圧倒的で、正確性の高いハンドリングと一体感の高さに繋がっている。基本的なシャシー性能の高さにホイールやサスペンション周りなどの締結剛性の高さが聞いているのだろう。どのパワートレーンでもドライバビリティに優れ、燃費が良好なのも魅力となっている。
Aセグメントのコンパクトなモデルながら、走る・曲がる・止まるといった基本性能がしっかりしている。たとえば、リーズナブルなコラムタイプのパワーステアリングながら手応えがいいなど、予想以上の仕上がりだ。一充電走行距離は393〜477kmとサイズのわりに長く、価格はリーズナブル。そのうえでデザインはポップで愛着のわくモデルとなっている。
独創的なデザインが魅力だが、なかでもパノラミックI-COCKPITは芸術性さえ感じさせるほど。メーターをステアリング上部から視認するコンセプトは10年以上前から取り組んでいるが、小径ステアリングのため当初は操作性に違和感があった。だが、時をおうごとに改善され、いまでは自然なフィーリングで、なおかつ少ない操作量で扱えるというメリットを感じさせる。
タイプ2を彷彿とさせる愛らしいデザインのID.Buzzだが、走行性能や使い勝手でも高い実力の持ち主。
日本市場で唯一のBEV(電気自動車)のミニバンは大きなボディでも余裕の加速性能があり、背高でも低重心なので安定性も高い。RWD(後輪駆動)のMEBプラットフォームを採用しているため小回り性能もまずまずだ。炎天下のなかの停車中にエアコンをかけていられるのもいい。
当然かもしれないが、10ベストに選ばれるクルマは発表後の試乗会や個人でも借りて試乗しているので、袖ヶ浦の合同試乗会は、ぼくには最後の確認作業。テーマを持って試乗した。サーキットだが、一般道に見立、コースのアウト側をコース通りに走る。もちろん他車の迷惑にならないように。そこで、乗りやすさを感じてみた。今回の10ベストで、ボクが選出しなかったのはリーフと3008だった。今回、試乗して、リーフはハンドリングが敏感すぎるのと、3008は音とプジョーらしさが薄くなっているのを感じた。
インド工場生産だが、日本市場のために、4WDモデルをつくった。電池もリチウムイオンではなく、安全度の高いリン酸鉄リチウムイオンを採用した。販売の中心は都会ではなく、戸建てが多く、ガソリンスタンドが減っている地方のモーター店。この作戦が成功すれば、日本のEV革命は地方から起こるかもしれない。そういう期待感を込めて。
安全装備や悪路走破性での優秀さは承知の通り。排気量での性格の棲み分けも今回は成功している。気になるのはこれから先の進化。フラットエンジンで、どこまで環境と戦っていけるのか。そこだけが気になる。
ハイトワゴンだが、重心の高さをあまり感じさせないハンドリングは評価したい。やや硬めの乗り心地はファミリーユースには?とおもったが、よく走る、という印象。エンジン音には限界が。
クルマの成り立ちや、技術的な部分、走りもとくに問題はないが、エステートのスタイリングが気になった。個性がない。どこのクルマか街中でナナメ後ろから見るとわからない。乗っている人がうれしくなるデザインを。
初代から試乗しているおじさん(おじいさん)には懐かしいネーミングのモデル。1978年末にデビューした時のことを思い出す。この時も新技術満載で、評価は高かった。運転をして楽しいけれど、今、そこ?
2シリーズの1バリエーションなので、あまり期待しないで試乗した、、、。ところが、ハンドリングの素直さ、操舵力の適度さ、ボディサイズもちょうどいい。比べて乗ってみて2の良さがわかった。一気にポジションアップ。
コンパクトで比較的安価なEV。サーキットでの走行性能の期待値は高くはなかった。室内の広さは限定されるが、サイズがわかり、乗りやすい。一般道に見立てたサーキット走行でも運転しやすく、マイルド。惜しいのはユーザーへのアピール不足か。
かつて乗っていた時のプジョーらしい猫足がドイツ車的になっているように感じられ、プジョーらしさが。ドイツ車に近寄った?歴史的にフランス車とドイツ車は乗り心地に関していったり来たりの繰り返し。フランス車はしなやかなままでいいのに。
ミニバン形状だが、ハンドリングの落ち着きとコーナリングの安心感は大したもの。欲を言えば操舵力が重め。非力な人には辛いかもしれない。男のスポーツミニバン。
権威ある日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて私・今井優杏の個人的には、これをご覧になった方々がこの評価を参考にして車選びをなさる際に「ああ信じて良かった!」と思っていただけるように点数を投じました。順位づけの理由をここではしたためます。良さは車種にて、ここでは辛口に。悪しからず。
1位:フォレスター 価格は上がりましたが、スバルらしい走りを愚直に貫き、ブランドを大事にしている姿勢も好感度マックスでした。
2位:3008 乗ったらめっちゃいい!まだまだ国産から輸入車に乗り換える際、特にフレンチには抵抗のある人もいるかもですがぜひ乗って欲しい。このとっつきにくさで2位ですが、実は乗ったらイメージ変わります。
3位:クラウンエステート とってもいいクルマですが、これってSUV?な腰高が、エステート=ステーションワゴンを期待していた自分的にこの順位に。だからSWをもうひとつ、追加してはいかがですかねトヨタさん!笑
4位:プレリュード 走りは最高ですが、既視感のあるフロントライト&腰高リアライトのデザインと、リアシートの妙なチープさが残念。価格を考えるともうすこし考えて欲しかった(涙)惜しすぎる
5位:リーフ やはり一般道での試乗ができてないので、めっちゃおすすめ!と書けなかったことと、航続距離を求めるあまりにタイヤにノイズやヨレが多いこと。
6位:2シリーズ グランクーペ ちょっと皆さんにおすすめするにはお値段が高めかなと。しかしお値段にふさわしいインテリアの豪華さなどはあるんですけれど。
7位:ID buzz大きすぎるのと、高いですよね。
8位:インスター インテリアのボタンの多さがちょっと使いにくい
9位:eビターラちょっともっちりしすぎて走りの質感に洗練を求めたいのとこちらも一般道で乗れていないので。
10位:ムーヴ 良くも悪くも普通!これはしかし最高の褒めことばですけどね!
ジムニーノマド、フロンクス、そしてこのeビターラと、インド工場からのデリバリーモデルのクオリティの高さを物語る仕上がり。電気自動車第一弾と思えない、小慣れた走りも意外なほどの完成度でした。インテリアもフロンクスを思わせる質感の高さで、これでこの価格設定はスズキという企業の持つ良心の権化な気がします。ちょっとヨーロピアンなエクステリアも洒落ていていい感じです。
実際に登山にて車中泊使用し、たっぷりと試乗した上での当然の評価。かねてより懸念だった燃費の向上に真っ向取り組んだのはもちろん、水平対向を捨てず、ストロングHVを使っても濃厚に残されたスバル味や悪路走破性は、旧来のファンをも納得させるものではないでしょうか。カーライフをより豊かにするであろう、用品の初期からの開発もマッチングがよく使い勝手最高です!スッキリイケメン顔になったのもごく個人的にタイプです
日本の軽自動車界を体現するようなお値段にまず拍手。この物価高の時代のここまで値段を抑えてくれると思ってなかったのです。なんと発売から30年。もしかしたら国民がしんどい今のこのモデルが一番仕上がりがいいかもしれません。17種類の予防安全技術をしっかりと盛り込み、内装も綺麗だし走りもソツがない。めちゃくちゃ尖った個性はないけれど、コスパ最強、満足の一台だと思います。
現在のトヨタのクルマづくりのスピード感を、手に取るように感じさせてくれたのがクラウン商品群でした。最初のスポーツからこのエステートまで、わずか数年のあいだにどんどん乗り心地が成長していく姿に、乗るたびハッとさせられたのはクラウンだからこそ。旧来モデルにはしっかりとランニングチェンジも追加され、きめ細やかな気遣いも感じられた一台。かなり大柄なサイズ感ですが、威風堂々ラスボスの威厳もエステートの魅力。
一般道で乗ってから投票したかった…!そう思うくらいにテストコースでの質感が良かった。他にもプレミアムなものからエコノミーなもの、国内外含めてたくさんのBEVがすでに出揃ってきましたが、この価格帯でここまでの静粛性を含めた質感を出せているものはないです。運転面でもピーキーだったり愚鈍だったりした部分がしっかりと払拭されて、本当にいいものを届けたいという開発の真摯な想いを感じました。
スポーティネスに対するホンダ的アプローチを久々にしかと見せていただきました。軽々ノーズにハンドリング、エンジンサウンドの演出、滑るような加速、独特の軽やかな接地感。どれも令和らしい新鮮さを湛えながらも、ホンダのスポーツモデルに脈々と受け継がれる血統を感じさせてくれました。既存のユニットをここまで活用させることができるのか、という点でも、パワーユニットやシャシーの可能性を感じさせてくれたのでは。
個人的一番欲しいオブ・ザ・イヤー。イヤーカーとしての評価と欲しいは別の話なのでこの順位ですが、FFプラットフォームをすでに微塵も感じさせない味付けの成熟がすごい。おそらくMINIがあることによって、ほかのドイツ系プレミアムよりもスモールエンジンに対しての投資ができていることに加え、大型BEVのラインナップのおかげか、足回りが劇的によくなってる。とにかくバランスのいい仕上がりです。
このサイズに可愛さと使い勝手!シートアレンジのユニークさはさすが。ベースとなるのは韓国の軽自動車規格に準拠した「キャスパー」なので、サイズ感や作り込みにはすでに本国でも定評があったことも納得。どこの国もスモールカーに注ぐ使い勝手への執念は凄まじいなと、お隣の国ながら共通点を感じずにはいられません。走った感じも元気で滑らか。ウインカー位置やサスペンションなど、日本向けセッティングも好感度高いです
私はデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーの1位にもこの3008を推しましたが、見た目にとどまらず、今のプジョーの良さはなんといっても走りにあると感じます。本国にはBEVもすでに販売され、このモーター重量に耐えうるプラットフォームに軽いマイルドハイブリッドを載せ、軽やかなハンドリングとプジョーらしいキビキビ感をしっかりと実現している。そのうえでどこまでも走りたくなる優れた燃費性能も備え、全方位隙なし!
電気でキュートでポップで大きい!ミニバン大国日本のソレにはなかった(できなかった)個性をぎゅっと濃縮していますから、これを待っていた層も確実に存在するでしょう。実際に乗ってみたらこれまた個性的で、欧州BEVらしいしっかりとした飛び出し感あるトルクが、幅広のトレッドに支えられて運転もしっかり楽しいのはさすがVW。バス並みの着座位置も実は運転しやすかったです。なによりもインテリアが素晴らしかった。
私がスバル・フォレスターを高く評価した最大の理由は、「ユーザーの現実に真正面から向き合い、安全とは何かを再定義した姿勢」にある。今回注目すべき自転車保護エアバッグは、自転車事故においてAピラーに頭部を強打するケースが多いという現実に対し、従来の歩行者保護技術ではカバーしきれなかった領域へ踏み込んだ装備だ。エアバッグ搭載による重量増や燃費への影響というメーカー側のデメリットを承知しつつ、社会的リスクに手を打った。これは、多くのドライバーが昨今抱く「加害者になってしまう恐怖」をどう軽減するかという視点からのアプローチであり、他メーカーの「従来型の安全思想」にも刺激になるはずだ。
フォレスターは法規制をクリアするためではなく、本気でユーザーの事故をなくしたいと考えている。ユーザーにとって何が本当に大事なのかを、現実の交通環境と向き合いながら判断していることが、細部からも伝わってくる。
また、外観や技術の派手さで勝負するクルマではないが、素直で追従性のよいハンドリング、直進安定性の高さ、どんな道でも走れる安心感といった基本性能の高さが、走りの信頼性を支えている。結果として、クルマとの対話が自然に行えることも、このモデルの美点である。
ユーザーの不安に寄り添い、それでいて愉しさも追求したハンドリングやパワー特性や、「事故をゼロに近づける」という目的へ明確に舵を切る姿勢こそが、フォレスターに今年もっとも高い評価を与えるべき理由だと考える。
スズキ eビターラは、コンパクトEVとしては珍しく4WDモデルを用意している点が魅力だ。専用プラットフォームにより、このサイズながら室内空間も広い。特に4WDモデルは力強いパワーを持ち、前後の駆動配分の変化によって俊敏さと回頭性のよさが感じられる。
フォレスターは、自転車保護エアバッグをいち早く採用した点が象徴的だ。Aピラーへの頭部衝突という現実に向き合い、重量増や燃費悪化より「守るべきもの」を優先した姿勢に共感する。加害者になる不安を抱えるユーザーの気持ちにも応える決断だ。走りは安定性と楽しさが両立し、安心と愉しさを同時に味わえる。
ダイハツ・ムーブは、良い意味で“誰にでもフィットする”万人向けの一台だ。派手さはないが、日常で必要な要素が過不足なくまとめられていて、まさに軽自動車のスタンダードという印象。乗り心地と操舵性、安定性のバランスも良く、扱いやすさと安心感が両立している。
「クラウンで車中泊!?」 新しい発想でオーナーの活動領域を一気に広げてくれそうな一台だ。仕事にも遊びにも使い方が無限に浮かび、所有することでアイデアが湧いてきそう。乗り心地・操縦性・安定性のバランスも良く、フラットライドで静粛性も高い。
日産リーフは、ついにバッテリー冷却機能を備え、安心してアクセルを踏み込めるEVへと進化した。連続走行時の性能低下への不安が解消され、走りの信頼度が大きく向上した点は大きい。デザイン性も高く、街で乗る姿が自然に映える一台に仕上がっている。
ミニバンや軽、SUVが主流の時代にあえて2ドアスポーツクーペを出してきた点に強く共感する。復刻モデルだが、単なるレトロではなくハイブリッド化で新しい楽しさを追求。モーターでも無機質に終わらず、オーナーの気持ちを高揚させる走りを実現した。人生に彩りを添え、そして街の風景すら変えてしまう力を秘めた一台だ。
BMW 2シリーズグランクーペは、欧州車がモデルチェンジごとに大型化する中で横幅1800ミリを守り、日本の道路で扱いやすいサイズを貫いている。マイルドハイブリッド化で出だしも滑らかになり、パーキングアシストなど運転支援も充実。運転に自信のない人でも、BMWらしい走りの良さを味わえる一台だ。
インスターは、日本市場に真正面から向き合っている。右ウインカー化だけでなく、足まわりまで日本の道路事情に合わせてセッティングを見直し、「合うものを届ける」という姿勢が明確だ。デザインも独自の発想が詰まっていて、車としてのアイデアが豊かで面白い。
プジョー3008は、外観だけでなく内装デザインの魅力が際立つ。クルマは乗るたびに目にする内装こそ大事だと私は考えていて、3008は小径ステアリングの独特の握り心地やコクピット感ある斬新な造形が日常を豊かにしてくれそう。平凡に収まらないデザインの優位性を感じる一台だ。
フォルクスワーゲンID. BUZZは、フルサイズEVミニバンとして新しい。シンプルで親しみやすいデザインは、昨今の他メーカーの多くの大型ミニバンとは違った優しい雰囲気を醸し出す。街を走れば子どもたちが振り向き、手を振る。乗る側も自然と幸せを感じられそうな一台だ。
こんなことを言ってはミもフタもないが、ジャンルも違えば価格帯もバラバラな10台に性能の優劣だけで順位を決めても大した意味はない。そこでハードウェアの完成度をベースとするのはもちろん、ここに時代性や独創性といった要素、さらには私自身の価値観を盛り込んで1位から10位までを決めた。したがってこれが製品としての優劣だけで決めた順位ではないことを先に申し上げておく。
そのうえで、今年の10ベストは「ただのいいクルマ」だけでなく、味わいの深さ、新しい商品価値を提案するモデルが多く、とりわけトップ4の順位を決めるのは例年以上に難しかった。クラウンの項でも書いたとおり、これは日本自動車文化の熟成振りを反映したものといっていいだろう。
初のEVとは思えないほどの完成度。上質な乗り心地とハンドリング、コントロール性に優れたパワートレインはいずれも文句なし。スペースユーティリティやデザイン性にも不満はなく、日常の足としては十分以上の仕上がり。おかげでヨーロッパでもセールスは好調のようだが、「他のモデルではなくeヴィターラが欲しい!」と思わせる決定的な要素があれば、さらに存在感を強めることができそうな気がする。
安心・安全を重視したクルマ作り、半世紀以上に及ぶ経験から生み出されたシンメトリカルAWDなど、スバルらしさがギッシリと詰まったSUV。新型フォレスターが待望のニューモデルだったことは、計画販売台数を大幅に超える受注状況がなによりも雄弁に物語っている。軽快な走りの1.8リッター・ターボ、重厚感溢れるハイブリッドとパワートレインごとに異なるキャラクターを設定した点も注目される。
実質を重んじた日常の足を提供するという自動車メーカーの使命を体現した軽自動車。その意味では決して軽視できる存在ではないが、日常の足であればこそ、振動・騒音、乗り心地、操安性などの基本性能をあと一歩、改善して欲しかった。
SUVとステーションワゴンをかけあわせたコンセプト自体に目新しさはないかもしれない。ただし、無闇にスポーティ路線に走ることなく、優雅な走りを目指したところにクラウン70年の歴史を垣間見ることができる。日本自動車文化の熟成振りが感じられる1台といってもいいだろう。
とてもポジティブな意味で「EVであることを意識せずに乗れるEV」が新型リーフ。その意味において、15年間、2世代にわたるEV作りの経験が息づいているといえる。低速域で快適な乗り心地も高く評価したい。
近年、ホンダが取り組んできた動的質感の改善が見事に結実した1台。圧倒的な快適性とスポーティなハンドリングを両立させたシャシー、効率と官能性の両方を追求したパワートレインの双方を、オトナのクーペとしてまとめ上げたセンスと独創性に拍手を贈りたい。
プレミアムブランドでさえコストダウンの重圧がのしかかる現代において、走りの性能でプレミアムブランドの価値を存分に味わえる1台。動力性能や操安性が及第点に達しているだけでなく、そこから先の「味わい」にまで踏み込んで開発されている点にBMWとしてのプライドを感じる。
こちらもEVであるか以前に「1台のクルマとして魅力的か?」という命題に正面から向き合ったモデル。コンパクトサイズによく似合う可愛らしいデザインと手軽な価格設定も魅力的。動力性能は高くハンドリングも良好。あとは低速域の乗り心地が熟成されればさらに完成度は高まるはず。
ハイテク・イメージのインテリア・デザインにプジョーらしさが感じられるクロスオーバーモデル。高すぎもしなければ低すぎもしない全高の設定が見事。あとはパワートレインの静粛性が課題か。
EVかどうかはさほど重要ではない。「家族や友人を誘って出かけたくなる」デザイン性、室内スペース、そして快適性こそがID.Buzzの本質。豪華さや日常的な使い勝手だけがミニバンの価値ではないことを見事に提示して見せたという点においても見逃すことができないモデルである。
今年の1位は秒速で決まった。2ドアクーペというニッチマーケット狙いの商品であること、価格が600万円超えであることを差し引いてもハードウェアの優秀性は圧倒的だった。内外装の仕上げや、しなやかさと気持ちよさを高次元で両立したフットワークも素晴らしかったが、何より高く評価したのがパワートレーン。Honda S+ Shiftと2L直列4気筒エンジンの組み合わせで構成するe:HEVは、現実的な電動化技術として今後も普及が見込めるハイブリッドに、高度なファントゥドライブという新しい価値を見事に吹き込んだ。
一方、2位以下は僅差だった。今回から投票ルールが変わりすべての車種に「順位」をつけることになったが、正直、1位と2位の差よりも、2位と10位の差のほうが小さいと感じるぐらいであり、順位を合理的に説明するコメントを書くのは不可能と判断した。そんななか、リーフ、eビターラは公道では未試乗ながら、世界レベルのスペックと商品性を備えており、国産BEV元年の到来を予感させた。今後の補助金政策の動向など不透明さもあるが、日本メーカーがこのまま魅力的なBEVを出し続ければ、10年後の2035年には日本でも新車販売の20〜30%はBEVになるのではないだろうか。
(私の中での)熾烈なトップ争いがなかったという意味ではやや盛り上がりに欠けた感もあったが、裏を返せばよりよいカーライフを提供してくれる粒ぞろいのクルマが多く登場したのが2025年である。そしてこの事実は、単なるクルマ選びに留まらない。多くの選択肢のなかからユーザーが何を選ぶかによって、将来のクルマの在り方も決まる。5年後、10年後、あるいは20年後のクルマがどうなるか。それはメーカーが決めることではなく、ましてや国が決めることでもなく、自腹を切って愛車を購入するユーザーだ。COTYがそのための一助となれば幸いです。
2ドアクーペはいまや絶滅危惧種。世界中の自動車メーカーが次々にラインナップから外すなか、あえてプレリュードを復活させたホンダの心意気が嬉しい。それは、単一車種毎の収益にこだわるあまりNS-XやS2000、S660などを廃止してきたホンダの顧客に対する反省の表れであり、ラブコールでもある。ハードウェアについては総評やテクノロジー賞の項目を参照いただくとして、今回こそ簡単にやめないことを強く望みたい。
2025年はいつも以上に印象的なクルマが何台も出てきたので、こちらに10ベストカーに選出されるだけでも価値がある年だったように思います。また、レギュレーションも大きく変わりました。
その中で、私は「その年を象徴する”何か”を持っているクルマ」をテーマにこれまでも評価していますが、最後まで迷ったのは、上位の順位付けをどうするかでした。
フォレスターもプレリュードもクラウンもすばらしい仕上がりであることは間違いありませんが、まったく違う個性を持ったクルマたちであり、そこをどう評価するかは本当に難しいことでした。
結果的に、とくにプレリュードとフォレスターをどうするかは本当に迷ったのですが、歴代モデルとはひと味違うものを強く感じさせたフォレスターに最高点を投じたいと思います。
プレリュードもどこか気に入らない点があったわけではまったくありません。配点としては8点の差となりますが、気持ちとしてはもっと小さな差です。
一方で、発表されましたが納車が始まっていないクルマについては、限られた機会の中で完成度の高さを確認する機会はあったものの、どうしても高く評価することはできませんでした。そのあたりは今後、扱いをどうすべきか関係者の方々と何らか議論の機会があってもよいように思います。
注目度と話題性の高いクルマなので、10ベストカーの際には投票しましたが、まだ納車が始まっていないので公道での評価ができておらず、一般の方々が街で走る姿を見かけないクルマでもあることから、このような評価としたことをご容赦願います。
まだ粗削りなところも見受けられますが、スズキも電動化に注力していく姿勢がヒシヒシと伝わってきました。このクラスながら4WDの設定があるところもポイント高いです。
これまでも評価されてきた部分を受け継ぎつつ、2025年ならではの新しいものを取り入れて大きく進化しました。完成度も高く、内外装もまるで車格が上がったかのような質の高さが伝わってきます。
とくにS-HEVの仕上がりが秀逸で、ドライバビリティや燃費にも優れユーザーへの期待にも大いに応えていることは、市場での高い評価でも明らかです。フォレスターの歴史においてもひとつの節目になるモデルだと思います。
スーパーハイトほど車高が高くなくてスライドドアを備えた軽自動車というのは、これまで奇抜なデザインのクルマしかなかったところにベーシックなハイトワゴンとして出てきたムーヴは、価格も控えめで販売は絶好調の様子です。ハイトワゴンでも車内空間は十分な広さが確保されていて、乗ってもスーパーハイトに比べて軽くて重心高がそれほど高くない強みで、走りにおいても無理をしている印象がないところもポイント高いです。
クラウンシリーズの第4弾として、ようやく登場したエステートは、これまであまりなかった新しいタイプのクルマである点も興味深く、最後発モデルらしく完成度も非常に高く、とくにPHEVはすばらしいと感じています。エステートらしく広大な荷室は使い勝手にも細やかな配慮が行き届いている点にも感心しました。
それなりに注目度と話題性の高いクルマなので、10ベストカーの際には投票しましたが、本賞発表時点では納車が始まっていないので公道での評価ができておらず、まだ一般の方々が街で走る姿をまだ見かけないクルマでもあることから、このような評価としたことをご容赦願います。
クルマ自体は、2025年末時点で考えうる限りの良いものがほぼすべてを盛り込まれた、極めて完成度の高いBEVだと感じています。
私は、「その年を象徴する何かを持っているクルマ」をテーマに評価することにしていますが、2025年においては、この時代にこうした華のあるクルマを企画して世に送り出してくれた心意気を高く評価したいと思います。実際の完成度も素晴らしく、ドライブして誰しもが本当に楽しめるクルマに仕上がっているように思います。
クルマの完成度は間違いなく高いことはよくわかりました。ビッグマイナーチェンジの域を超えた大改良が施されていることはよくわかりました。ただ、筆者が評価の基準としている「2025年を象徴する何か」という点では、やや印象が薄かった気もしています。
インスターのことはコンパクトBEVの傑作だと思っています。デザインがかわいらしく、サイズが手ごろで、それでいて室内空間は狭くなく、日常の足としてストレスなく使える一方で、一充電で最大458kmもの距離を走れるので、遠出してアレンジ性に優れる車内車中泊のような使い方もできて、いざというときにはクルマから外部に給電することまでできるのですから、一家に1台あっていいぐらいのクルマだと思っています。
見た目も中身も走りも興味深い1台でした。ステランティスにとってパワートレーンとプラットフォームのすべてを刷新した最初のクルマであり、新たな「フラッグシップ」であることを強調しているクルマでもあることや、その内外装デザインを見るにつけ、その力の入り具合が伝わってくる力作だと思います。プジョーのこれからを示唆する要注目の1台だと思います。
本音をいうと、本国での登場から何年も経過したクルマを、このタイミングで日本のアワードで取り上げることに対してはどうなのかという思いもなくないのですが、このクルマだけは話は別です。
このクルマの日本への導入をずっと待ちわびていました。目にした誰しもを笑顔にさせるパワーを持ったこのクルマだと思います。ようやく日本にやってきてくれたことを心から歓迎したいと思います。
今年はEVの年でもなくエンジン車復活の年でもなくミニバンの年でもない。強いて挙げればメーカーの生き様が見えた年であり、中でもスバル、マツダ、三菱、ダイハツなどが自分の個性を改めて強化し、今後100年に立ち向かっていく方針であり姿勢が見えてきたように思う。そんな中、スバル フォレスターがフラット4を核とし、新たに魅力的なハイブリッドカーで立ち向かっていく様が印象に残った。今後は特に日産、ダイハツの躍進に期待したい。
バッテリーEVではまだまだ世界に存在感を出し切れていない日本。そんな中、躍動感のあるインターナショナルデザイン、上質な走りはもちろん、インド生産ならではのローコストとスズキならではのアライアンスを使い、事実上初めて日本ブランドのバッテリーEVとして躍動が期待できる1台。特にコストパフォーマンスに注目すべし。
スバルらしいストロングハイブリッドを新開発し、それが最も合っているパッケージがフォレスター。サイズ、広さ、クオリティ、走り、コストパフォーマンス、すべてが最適で、しかもスバルらしい個性がある。自慢のフラット4をかつてないカタチで味わい尽くせる。
全高1.8mの軽スーパーハイトワゴンが席巻する日本国内マーケットで、ひさびさに頂点を狙えるセミハイトワゴンの軽。事実10月の販売台数はナンバー1。確かにスーパーハイトは便利だが無駄に広すぎる部分もあり、燃費や安定性で劣る。総合力での軽ベストはこのセミハイトのスライドドア車である可能性があり、そこを切り拓く可能性を持つ。
新クラウンシリーズのラストモデルとして、最も利便性が高く、走りも進化しているエステート。ただし、少し国内では大きく、価格も大きめ。もっと手軽であるとクラウン革命はさらに進むはず。
20年以上ぶりに登場したスペシャルティカーとして新境地を開拓。デザインは王道を行くクーペフォルムだが3ドアで利便性も担保。走りは飛び抜けた速さはないがモード燃費でリッター20kmを超え、シビックタイプR譲りの足回りでかつてない上質かつスポーティな走りを実現。これでもっと手軽で新ハッチクーペ時代を広げられたら良かった。
すべてが大きくなっているドイツプレミアムの中で、国内でも扱い易いサイズと同時に、上級車種に並ぶ上質感、ステアリングフィール、走りの良さを備える。円安がゆえに、輸入車全体厳しいが価格も頑張ってはいる。
キュートなガジェットデザイン、ベースが韓国でいう軽規格とは思えない走りのしっかり感、さらに乗り心地の良さも秀逸。コストパフォーマンスも圧倒的。
日本におけるフランス車新時代到来を予感させる先進的かつエッジの効いたデザインが素晴らしい。1.2ℓのマイルドHVも排気量そのほかを感じさせない力強さ。電動版が楽しみだ。
文句ナシの可愛らしさ、VWらしいクオリティ、さらにモノフォルムの大容量車とは思えない上質な走りが秀逸。ただし横幅の広さと価格の高さはやはり厳しい。
最終選考に残った10台は、いずれも甲乙つけ難い力作揃いだった。カテゴリーも車格も、そして性格も大きく違うため、焦点の当て方によって評価基準は変わってくる。そこでユーザーの視点に立って評価と採点を行った。最後まで迷ったのが、スペシャルティカーのプレリュードとクロスオーバーSUVのフォレスターだ。プレリュードは、2モーター式ハイブリッドシステムの「e-HEV」の完成度が高く、「ホンダS+シフト」もホンダらしいワクワクさせる演出だった。電動化しながら、ガソリンエンジンの存在感も際立っている。フォレスターは、主役に抜擢された水平対向エンジンに2モーターのシリーズ・パラレル式ストロングハイブリッド(S:HEV)の洗練された走り味に加え、1.8ℓターボ車も違う存在感を見せてくれた。アイサイトやサイクリストまでも考慮したエアバッグなど、先進の安全装備にも目を見張るものがある。ピラミッドの頂点と土台のクルマだったが、幅広い層にマッチするフォレスターを1位に推した。
バッテリーEVもレベルの高い争いとなっている。そのなかで頭ひとつ抜け出ていたのがリーフだ。2代にわたる技術の蓄積を、この3代目で開花させようと本気の取り組みを見せてくれた。クラウンエステートは隙のない仕上がりだが、クラウンスポーツに乗ったときほどの衝撃と感動はない。
輸入車は、2台のバッテリーEVに引かれた。迷った末に、トータル性能とともにコストパフォーマンスが高く、多くの人に手の届きやすいコンパクトなヒョンデのインスターを上位としている。
スズキ初のバッテリーEVは、予想を上回る仕上がりのよさを見せた。モーターを上手に制御しているから前輪を駆動するFWDモデルでもパワー感は満足できるものだ。街中で扱いやすいコンパクトボディだが、キャビンは十分な広さを確保している。4WDは俊足で、気持ちよくスピードを乗せていく。静粛性と乗り心地に代表される快適性能も高いレベルにある。洗練度の高いエクステリアデザインも好印象だ。
デザインが分かりやすく、インテリアの質感も高められるなど、世界の市場でライバルを凌駕するクロスオーバーSUVへと成長を遂げた。進化版のアイサイトに加え、自転車に乗っている人までも保護するサイクリスト対応エアバッグなど、先進の安全技術が充実しているのもうれしい進化だ。2モーターのS:HEVは優れたドライバビリティを手に入れている。山岳路や悪路、雪道でも絶大な安心感のある走り、これも美点のひとつだ。
10台のなかで唯一の軽自動車、唯一のピュアガソリン車だ。狭い場所でも乗り降りしやすいスライドドアを採用し、キャビンとラゲッジルームも驚くほど広い。プラットフォームは先代の改良版だが、サスペンションともども最適化され、背の高さを意識させない安心感のある走りを実現。モーターアシストに頼らないで燃費を向上させた点も高く評価したい。スマートアシストに代表される先進安全装備も進化して安心感を増している。
18年ぶりにクラウンに設定された「エステート」は、拡張ボードを使えば車中泊も楽しめるなど、マルチに使いこなせる大人のステーションワゴン。ハイブリッド車はモーター走行できる領域が広く、滑らかで気持ちいい加速を引き出せる。プラグインHV車は、HVモードでもEV走行できる時間は長く快適だ。リアをモーターで駆動する4WDのE-Fourの優れた追従性と上質な乗り心地も好ましく感じた。
第3世代のリーフは、リアマルチリンクサスペンションなど、メカニズムを一新して爽快な走りを身につけた。ボディやシャシーの剛性は大きく高められ、安心感のある走りを楽しめる。しかもハンドリングと乗り心地の妥協点が高い。バッテリーEVの開発において長い経験があるから、モーターの制御も上手だ。受電性能を高めたことに加え、バッテリー温度調節システムと緻密な制御によって温度管理を徹底したことも高く評価できる。
時代が求める高い環境性能と運転する楽しさを高い次元で両立させていることを高く評価した。e-HEVは「ホンダS+シフト」の搭載と相まって刺激的な走りの味わいを手に入れている。燃費のよさに加え、運転操作とクルマの応答がシンクロし、五感で楽しさを満喫できるなど、ドラマチックな演出にも心を躍らされた。軽やかなハンドリングで意のままに操れるし、乗り心地もいいなど、走りの質感もハイレベルな仕上がりである。
全幅を1800㎜にとどめ、今では少数派となりつつあるディーゼルターボも設定するなど、日本のファンの期待に応えて登場した。ただし、48Vマイルドハイブリッドへと進化させ、燃費も改善している。エンジンは小気味よいパワーフィーリングだし、パワフル感を10秒だけ高めるブースト機能もBMWらしい演出だ。足は硬めの味付けだが、シャシーの洗練度が高く、正確なハンドリングを楽しめるのも好印象である。
日本の道路事情にマッチしたバッテリーEVだ。コンパクトサイズだが、4人が快適に座れるスペースを稼ぎ出し、快適装備も充実している。パフォーマンスの数値は控えめだが、モーターは低回転から厚みのあるトルクが立ち上がり、無理なく速い流れの走りに乗ることが可能だ。安定した性能を発揮するためのバッテリー温度管理も上手だ。適度に軽快で、地に足がついたフットワークや静粛性の高さも評価できるポイントである。
3代目は正常進化版ながら、デザインも走りの実力も大幅に高められている。エクステリアは圧倒的な存在感があり、しかも独創的だ。インテリアのメーターと操作系スイッチも最初は戸惑うが、この大胆さはフランス車の魅力のひとつに挙げられる。形式は変わらないものの、サスペンションは上手にチューニングされ、よき時代のしなやかな猫足が戻りつつあることを感じさせた。
ID.4のプラットフォームや駆動系などを用い、往年の名車をバッテリーEVにして現代に甦らせた。モーターならではの上質なパワーフィールに加え、大柄なミニバンとは思えないほどフットワークも冴えている。プロとプロロングホイールベースの乗り味の差別化も上手だ。プロでもキャビンはどの席でも広く、居心地がいい。フロアが高いなど、いくつか弱点はあるものの、それを補って余りある魅力を秘めている。
個人的な選考基準は、まず自分で買うか買おうと思うか。思うのであればヒト様にも自信を持ってお薦めできる。
2025年、今年のイヤーカー選考は混迷を極めた。その理由は試乗コースの袖ヶ浦フォレストレースウエイのフルコースを使用して10台を横並び比較が、一気にその場で時間差なくできた事が、良くも悪くも悩む原因になった。
1位選考のプレリュードはスポーツカーであるから問題はない。問題は高速操縦安定性に優るドイツ勢と、開発陣にドイツ流儀が伝えられているヒョンデ、それらと日本勢の違いに唖然としたのだ。不安定になりやすいあるコーナーで、すでに欧州勢に追いついていると思っていた日本勢に不穏な動き、つまり不安定になりやすい動きが生じるところに落胆した。
こう書くと、サーキットの特別な場所だから、と返されるが違う。日常でも有り得るコーナーでのシーンだから危惧したのだ。もちろん速度によるので通常は起こらない場合もある。最後は車両安定装置が作動して救ってくれる事は間違いないが、そこに至るプロセスにドイツ勢とその指導を受けたヒョンデの懐の深さに差が出ている、という事だ。
では選考結果に日本勢が上位に名を連ねるのは何故か。それは一般ドライバーを危険にさらすレベルではなく、安定制御が介入して沈静化するためだ。
さらに当然ながら日本のためのカー・オブ・ザ・イヤーであるから、日本勢から選ぶ事を念頭においている。
eビターラの独創的なボディデザインをまずは高く評価する。鋭く走り出すモーター特性を、滑らかにスタートさせる制御の上手さは、EVに精通したメーカーのように緻密さと精度の高さも評価する。回生ブレーキの調整機能の追加は今後の課題。旋回性能は低重心のBEVらしくて、そこも素晴らしい。スズキに期待する価格感にズレがあるように(つまり高い)思う。
フォレスター史上最もバランスの取れたボディデザインに人気が集まるのは当然です。クルマはまずカタチが命だから。燃費で劣勢だったスバルファンが夢かと思う燃料満タンから1000キロの走行距離を走破できる高燃費は、もちろんストロングHEVの威力。
街乗りから高速でもスタートから静かで滑らかなHEV、PHEVらしい走行性を示すところがクラウンらしい。エステートのらしさは、ラゲッジルームに荷物を満載にできる事だが今回はその質量による操縦安定性の違いは未確認。ハンドリング初期のキビキビした鋭い応答感があるフロント。リヤはリヤステアの関係か、良く言えば軽快な特性、動きを持つところがエステートの個性と見る。
コンパクトにまとめたパワーユニットが技術の日産の証明。3代目にしてクロスオーバーデザインにモデルチェンジしたリーフの親しみやすいカタチと居住空間の広々感もクラス上の好印象。702キロの航続距離との発表は現実的には600キロ台。としてもBEVとしての使い勝手は確実に広がる事も高く評価する。
ホンダのリアルスポーツはタイプRがある一方、プレリュードのスポーツ性はあくまでも新感覚。モーター主体のe:HEVながら、ホンダはエンジン屋だ、と言わんばかりのエンジン回転上昇とミッションの変速を走行に同調させたS+シフトにホンダらしい拘りを感じる。コーナーでステアリングを切った方向に引き込まれるように曲がり、安定するハンドリング。流麗なクーペスタイルもデザインの新たな流れで、記憶に残る。
日本にジャストサイズと言えるコンパクトな4ドアクーペの2シリーズ。街乗りでやや硬さを感じるが、1万キロを過ぎればしなやかに変身する。試乗コースの袖ヶ浦の下りながら右、さらに切り増す右の連続で、その操作に穏やかだが正確に応答する操縦生と、後輪は路面をつかんで離さない浮かない安定性に脱帽する。
小さな高級車。クラス上からコンポーネントやパーツを流用するから、それは質感含めていい意味でオーバークオリティ感満点。街乗りの乗り味の滑らかさ、高速の安定性。で袖ヶ浦テストコースでの操縦限界の高さは、ドイツ勢に負けず劣らず。このクラスでここまで完成度が高いとは驚きである。
フランス車らしいしなやかな乗り味を新型プラットフォームが実現している。プジョーというより親戚関係にあるシトロエンらしく感じられるのが、内装デザイン。外観デザインもプジョーらしい個性からの冒険。
出る出ると言いつつ、その復活を何十年待ち侘びただろう。BEVとしてVW タイプ2の復活は素直に喜ばしい。BEV専用とはいえベースは商用車だけに、その骨太な強度と逞しい剛体、剛性の確かさは、静かに快適に、力強い走りと操縦安定性の確かさは、速度無制限(部分的に)のアウトバーン育ちのドイツ車ならでは。唯一の難点は高額な価格だが、輸入車だから許されるとしよう。
クルマを試乗する際に、「機械として優秀か?」と「商品として魅力的か?」という二つの点を確かめることにしている。もちろん、二つとも高く評価できたら言うことはないが、きれいに揃うことは多くない。揃っていなくても、どちらかにそのクルマならではの光るポイントがあれば記憶に残ってくる。今回の10台も、強く記憶に残っている10台だった。特に、上位のクルマたちは機械として優秀であると同時に商品としても魅力的で、両方を兼ね備えている。開発陣が優秀な機械を目指して開発センターで数字やグラフなどを睨みながら、その一方で魅力的な商品にするために社会と人々の動向などを探っているのだろう。
今回は、EVとPHEV、エンジン車、さらにはミニバンから軽自動車、2ドアクーペ、エステートに各種SUVと多彩な10台が10ベストカーに残った。イヤーカーも発表が楽しみだ。
eビターラもリーフと同じで、日本にはナンバー付き車両がまだ存在しないので公道を走れなかったのが残念だった。せっかくの高機能と多機能を有する最新EVなのにもったいない。また、ジャパンモビリティショー2025のプレスデイで、eビターラがスズキのブースで展示されていなかった(一般公開日には並べられていた)ことも理解に苦しんだ。
空いたワインディングロードでも未舗装路でも、ひとりで運転だけに集中して走っている時の新型フォレスターの反応は実に素晴らしい。まるで、クルマと自分が一体となったように走っていく。旧型も、そうだった。では新型ならではの新しさは、どこにあるのか?
新たなストロングハイブリッドはトヨタ由来のシステムで、スムーズで力強く加速して申し分ないがスバルの独自性を期待したい。
後席のシートを後ろまで下げれば、後席スペースをとても広く使える。ミニバンと違ってスライドドアでも乗り上がらずに済むので実用性が高い。スマートフォンもブルートゥース接続できて、CarPlayやAndroidAutoなどを便利に使えるのもユーザーの使い方を良くフォローしている証左だろう。
スタイリッシュなエステートボディデザインが魅力的。荷室も広く、使い勝手についても良く考慮されている。SUV全盛時代にエステートのの存在は頼もしい。ハイブリッドとプラグインハイブリッドの二つのパワートレインが用意されているのも選択肢を広げている。
新型リーフには最新の機能や装備などが数多く組み込まれていて期待していたが、国内にはナンバー付き車両がまだないので公道で運転できなかったのが残念だった。大幅に伸びた航続距離、日産が誇る運転支援機能プロパイロットなどは公道でなければ試せず、新たに組み込んだグーグルAIも公道を走った際にこそ効力を発揮してくるはずだ。袖ヶ浦レースウェイを2周走って、EVらしくスムーズで力強い加速は体感できた。
この時代に2ドアクーペを商品化したことを高く評価したい。それだけで十分に価値がある。空いたワインディングロードをペースを上げながら走っていく時のクルマとの一体感が素晴らしい。しかし、デートでそれを続けていたら、最後はフラれるだろう。「令和のデートカー」を標榜するならば、助手席の人をもてなす快適性やアプリの充実などが求められる。新しい驚きにも乏しい。
2シリーズグランクーペだけに限った話ではないが、最新のBMW各車に共通する運転支援機能の使いやすさは群を抜いている。ハンズオフも可能。48Vマイルドハイブリッドのガソリンとディーゼル、Mモデルとエンジンの選択肢も多い。さまざまなアプリをダウンロードして、移動時間と車内時間を充実させることもできる現代性も備えている。コンパクトなサイズも現実的。
コンパクトEVとして完成度がとても高い。走行性能は優秀で、4名乗車に割り切った車内設計も優れている。自動制御とマニュアルを使い分けられる回生ブレーキも、安全性を向上させながら使い勝手にも優れている。多彩なシートアレンジメントも充電時などに大いに役立つ。IONIQ5から採用されている、ウインカー点滅時に左右のメーターが切り替わって後側方を映し出すのも秀逸。乗る人、運転する人のことを良く考えている。
1.2リッター3気筒ターボエンジンにモーターが組み合わされたハイブリッドシステムの制御具合のキメ細かさが光っている。スムーズで力強く、加速だけでなく、回生による減速時にも効能を発揮していた。全幅が1890ミリもあるのにもかかわらず、車内が広くないのは短所。気を衒ったようなインテリアも使いやすくはない。
まず、EVとして完成度が高い。走行性能と快適性が高いレベルで両立できている。それは長短のホイールベース双方それぞれで変わらない。空冷エンジン時代の「タイプ2」のヘリテイジや世界観を上手く活用しながら内外デザインに表現できている。機械として優秀でありながら商品としても魅力的であることが両立できている良い見本。今のところ唯一のEVのミニバンとしての存在価値も大きい。
もはやEVが当たり前となり、むしろ純粋な内燃機関モデルが稀有な状況になったといえる今年は、自動車に込められた技術がどれだけユーザーに寄り添えるものとして昇華されているか? が問われたように思えた。プジョー3008は純粋なワクワク感が、BMW2シリーズグランクーペには相変わらずの走りの魅力が、スズキeビターラはEVであることを違和感なく受け入れられるデザインでユーザーに寄り添った。VWのID.Buzzは老若男女を問わず微笑ませる力があり、ヒョンデのインスターは日本のメーカーが作っておかしくない高い商品性の高さと若者にも響く存在感を見せた。またホンダ・プレリュードは名車を新技術で復活してユーザーの選択肢を広げ、ダイハツ・ムーヴは長いブランクを経て「使いやすさと価格」という軽自動車本来の価値を再提案した。そしてトヨタ・クラウンエステートは70周年を迎えながらも4車種完成で新たな価値観を問い、電動の先駆である日産リーフは目新しさよりも従来技術の徹底した磨き込みで電気自動車を真の当たり前としてユーザーに問うている。そんな中で、スバル・フォレスターは最も技術を人に寄り添えるものとして昇華した1台だと感じた。ハイブリッド化は水平対向エンジンという独自技術を今後も使えるものとしつつ、多くの人に受け入れられる燃費性能として普遍性を築き、それを完熟のAWDとともに使いやすいSUVに搭載して個性をも受け入れてもらえる努力をした。併せて安全性能の盛り込み方も徹底し、高度な運転支援技術を誰もが使えるものとして提供するなど、高い商品性を実現した。こうした誠実な作り込みがまさに、技術がどれだけ人に寄り添えるものとしたかの集大成と感じる1台だといえる。だからこそ今年、わたしはスバル・フォレスターを日本カー・オブ・ザ・イヤーの1位に相応しいと思い投票した。
性能や機能、価格は以上に、スズキのクルマは常にデザインで見るべきものが多いと感じており、今回のeビターラもやはりデザインで目を引くものがあった。特に内外装の方向性はグローバルモデルとして新たなフェーズに入ったと感じさせるもの。また相変わらず素材ではなくデザインそのもので魅力を感じさせていることを痛感する。電気自動車として見るより、まず見た目で目を引かせる点が高く評価できる。
水平対向エンジンを将来に残せるハイブリッド機構を、使いやすいサイズのSUVに搭載しスバルらしい個性を失うことなく、これまで未達な感もあった低燃費も実現。これにより多くの人に提供できる普遍性をもたせた点を高く評価。またスバルがコアとする安全性を可能な限り盛り込みつつも、価格を抑えた点も評価できる。高い機能性と高い安全性を備えた高い商品性を手頃な価格で提供するという誠実さを感じる1台だ。
ダイハツにはまず「おかえりなさい」という言葉を送りたい。暗い時期を乗り越えて、ようやくこのムーヴを発表・発売できる状況となったことはユーザーとして歓迎できる。実際の商品を見てもスライドドアの採用など、時代に併せた価値観を提供した点も評価できる。実際にその「使いやすさと価格」が市場でも評価され、先月の販売台数ランキングでは軽自動車1位を獲得したことも喜ばしい。再び誠実なクルマ作りを始めたことを評価。
自身でもPHEVモデルを購入して使用している1台。特に高評価なのはPHEVの場合、電動走行可能距離が89kmと、普段使いでほぼEVとして使えるためガソリンをほぼ使わないこと。加えて全モデルで圧倒的なラゲッジスペースを備え、実用で高い能力を発揮する1台。70周年を迎えてクラウンはこのエステートで4車種体制となり、完全に新たな存在に生まれ変わることに成功したことを評価する。
3代目となる新型では、これまでのEVに対する不安を完全払拭した感がある。目新しさよりも要素技術を徹底的に進化させており、その性能は実際に使って驚くものになっているのはテストコース試乗で確信した。特に走りの質や航続距離や充電性能はこれまでとの違いを痛感するはず…とあくまで仮定的に記したのは、今回残念ながら公道試乗が間に合わなかったため。公道試乗ができていれば、さらに高い評価となっただけに残念。
かつての名車をユニークなハイブリッドシステムで蘇らせた点が高評価。時代に相応しいシステムで気持ち良い走りを実現したのが面白い。デザイン等も他のホンダ車とは一線を画す方向性も今後の展開として楽しみ。すでに先日の技術ワークショップでこの後継となる次世代ハイブリッドも試乗したが、気持ちよさがもっと増した車両が登場すると思うとこのプレリュードはまさにその前奏といえる1台だ。
今回の10ベストカーの中で、唯一トランクを持つボディ形状の1台。ハッチバックを持たない構造からかボディは実にしっかりしており、走りもこれまでの自動車の良さを改めて感じさせるものがあった。周りのクルマたちが機能性を重視したハッチバック形状のものばかりなので、余計に自動車としての走る止まる曲がるの楽しさ気持ちよさを存分に感じる1台だった。
このサイズのコンパクトSUVに、いま考えられうるあらゆるものを詰め込んだEVとした高い商品性を評価。特に小さなクルマながらシートベンチレーションや64色アンビエントライトなど、1クラスも2クラスも上の装備が当たり前に備わり、航続距離も不安ないレベル。また実際に走ると電費にも優れていて、300万円を切る価格設定。これは本来なら日本の自動車メーカーが作るべき存在。そう思える日本にピッタリのEVだ。
印象的なのはインテリア。ドアを開けた瞬間に宇宙船を思わせる造形があって、そこに光の演出なども加わり、とてもワクワクさせてくれるという点で他にはない魅力がある。また新たなプラットフォームは実力も高く、これまでの小さなプラットフォームとは格が違うことを感じさせる。もっと多くの人に認知されれば、さらに人気が出ると思えた1台。
かつての名車を知っていても知らなくても、誰もがひと目見て微笑むことのできるデザインや存在感や雰囲気はとても高く評価できる。また後輪駆動で走りも思いの外優れており、ミニバンの新たな方向性としても可能性を感じる。しかしボディサイズは日本では大きく、車両価格が高いのがネック。それをして欲しいと思わせる魅力はあるが、より多くの人に、とは行かない点が残念。2/3サイズがあったら、と思えてしまうほど魅力的だ。
生活や仕事の多様化や技術の進化に合わせて人とクルマの関係も新しい価値観や用途が次々と生まれているのが現代だと思います。だからといって古い価値観や伝統が蔑ろにされている訳でもなく、多種多様になるのも当然でしょう。そういった背景からベストに選んだのがクラウンです。SUVあるいはハイトワゴン的なパッケージングは目新しいものではありませんが、「保守」の象徴のような印象のあるクラウンに展開したのが刺激的です。もちろん、クラウンの4系統があってこそエステートという側面もありますが、仮に1系統で構成するとしても公的私的の両用途の両立からエステートが一番新しい時代の高級車に相応しいかもしれません。フォレスターについてはストロングHVの導入とミドルSUVの基本に沿った進化と熟成を、プレリュードはクーペの魅力の再認識と新しい技術や設計思想の導入とそれがもたらした恩恵を評価し、上位3モデルとしました。
個別のコメントでは各モデルのそのクラス/カテゴリーでの特徴あるいは新たなニーズの掘り起こしなどで評価を中心としています。もっとも、「10ベストカー」として選出されたモデルなのでそれらの要件は満たされています。つまり、どのモデルもイヤーカーとして選ばれる資質を持っていると考えますが、適応用途やコスパ、予想されるクラス/カテゴリーへの影響力などの一般性も勘案した上で順位付けしました。
駆動用バッテリーにエネルギー密度では多少劣るもの難燃性や劣化抑制に優れたリン酸鉄リチウムイオン二次電池を採用したのが第一の評価ポイントです。また、マルチリンク式IRSを採用するなどシャシーのポテンシャルアップを図っているのも評価のポイントのひとつです。操舵感や乗り心地は少々スポーツ寄りの味付けですが、高速域まで安定感があり、広域で扱いやすいパワーと相まって車体サイズ以上に余裕を感じられました。
FFベースの4WDながら後輪駆動容量に余裕を持たせるなど乗用車型プラットフォームSUVで悪路走破性にこだわった設計を採用し、オン/ラフ/オフロードをバランスよく高水準で纏めたことが注目されます。普段使いや長距離、未舗装林道などすべての路面環境に対してドライバー/同乗者ともども快適な時間を過ごせる心配りを感じさせる走りです。ストロングHVの導入もあり、ミドルSUVの新たな基準器となるモデルです。
スライドドアの利便性は魅力的だけど人気のスーパーハイト系ミニは高価格。ファミリーカーのイメージが濃いのも気になる。価格が手頃なハイト系ミニにスライドドアを装備し、スペシャリティな雰囲気の外観デザインを採用したムーヴはそういったユーザーにはちょうどいいモデルと言えます。高速長距離は苦手そうですが軽乗用の主戦場となるタウンユースに焦点を合わせた軽やかな運転感覚の気軽さは日常用途に適しています。
先に登場した3系統に比べると昨今のクルマ事情をよく表しているように思われます。プロポーションはワゴンよりSUVに近く、言い方を換えるならSUVのひとつの側面となるハイトワゴンをモチーフにしたエステートとも言えます。このパッケージングをショーファードリブン用途への展開、その外観のイメージどおりの豊かなプライベートタイムを予感させるレジャーワゴンという2面性で高級車を再定義したことを評価しました。
バッテリーの積載スペースの面から車体寸法、とくにホイールベースが小さくなるほど満蓄電時の航続距離が短くなる傾向にあるBEV。全長4360mm、ホイールベースは2690mmのリーフがWLTCモードで700kmを超える航続距離を実現したのは賞賛に値します。内燃機車の実用面の満タン航続距離の目安が600kmくらいなので、充電タイミング的には内燃機車と大差なく、BEV時代への着実な一歩という印象です。
エコ時代を背景にツーリングカーに求める走りを1段階進めたと捉えられます。ハードウェア面ではシャシーへ弾性設計の積極的な採用やアジャイルハンドリングアシストの進化、パワートレーンでは次世代型の設計要点を取り入れた1.5世代型e:HEVなどがもたらした走りが挙げられます。ジャンル区分ではカップルズクルーザーとしてのラグジュアリークーペとファントゥドライブを求めたスポーツクーペの2面性も見所です。
走りの質とファントゥドライブの基本に忠実という印象です。そういった意味では目新しさやエポックに欠き、言い方を換えるなら「BMWらしい」の一言で済むのですが、基本やブランドイメージを違えることなく時代やニーズの変化を汲み取っていくのが伝統的プレミアムブランドの強味。価格を考えればそれくらいであって当然とも言えるのですが、高価格でも納得できる質を提供できるのもブランドの信頼と理解できます。
満蓄電WLTCモード航続距離を価格で割るとVoyageは1.422km/万円となります。単純な日本で販売されているBEVの中で価格に対する航続距離は最長クラスとなり、航続距離に対するコスパの群を抜いています。このアドバンテージは284.9万円からという登録車のBEVでは最安価となる価格設定による部分が大きく、質感では経済車の感が強いものの、タウンユースを中心とするBEVとしては注目に値します。
内外装デザインと走りの2点が高評価のポイントです。外観はランプ類をアクセントとし一目でそれと分かる個性的デザイン。インテリアは大きく横に展開したディスプレイや輪外配置とした異形ステアリングと合わせて新しい時代のコックピットを感じさせてくれます。走りでは接地感としなやかさを両立したフットワークや1.2Lターボを核とした48Vバッテリーを用いたマイルドHVの力感あるドライバビリティを評価しました。
BEV空白地帯だったミニバン市場への導入というのが大きな見所です。1BOX型のパッケージングの高い全高と大きな平面寸法がもたらした広い室内と環境性能に優れたBEVの融合を待ち望んでいたユーザーも少なくないと予想されます。価格相応の走りや質を備えているとはいえ900万円弱からという価格のハードルの高さから一般性は高くありませんが、同車の日本導入はBEV市場から見てもひとつのエポックと言えます。
今年も心を惹かれるモデルが多く、選考には幾度も迷わされました。けれど最終的には、“十年後に振り返ったとき、最も鮮やかに思い出を照らす華やぎ”を基準に、このような配点としました。
ストロングハイブリッドを採り入れながらも、スバルらしい骨太さが脈々と息づいています。環境性能と“らしさ”を見事に両立した完成度を高く評価しました。
プレミアムなターボと親しみやすいNAモデルを、まるで兄弟を育て分けるように丁寧に作り分けています。ユーザーの気持ちに寄り添う開発姿勢を高く評価しました。
クルマとしての実力は申し分なく、個人的にも購入を検討するほど魅力に満ちています。ただし、クラウンシリーズの一車型である点を考慮し、やや厳しめの配点としました。
電気自動車の先駆者としての矜持が、隅々まで息づいています。環境性能を徹底して磨き上げたその真摯な姿勢と完成度に、静かな誇りを感じ、高く評価しました。
久しく忘れていた“走る歓び”が鮮やかに蘇る一台です。ステアリングを握った瞬間に胸が熱を帯び、ドライバーを軽やかに高揚させるその躍動感を高く評価しました。
走り出した瞬間に“豊かさ”がふわりと広がり、造形の美しさがその魅力に拍車をかけます。スタイルと走り、その両方で高い完成度を示した点を評価しました。
ひと目でプジョーと分かる個性的なデザインに加え、ハイブリッドを纏った姿には“これから”を感じさせる息づかいがあります。近未来を映すような意欲的な方向性を高く評価しました。
COTYは“華やぎ”を讃える賞でもあります。ID. BUZZのあの朗らかなキャラクターは、日本の街に彩りとワクワクを運んでくれるはずだと感じ、大賞にふさわしい輝きを放つモデルとして高く評価しました。
日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考基準はイヤーカーが後年記憶に残るクルマであること。そして運転が楽しいクルマであることもポイントだ。楽しさにはスポーツカーのような軽い緊張するものも、リラックスできる楽しさ、そしてクルマに合った空間の快適さもある。デザインは個人の主観に左右されるが、自分にとって心地よいデザインを優先している。
また必ずしも良いクルマであることは重要ではなく個性のある活気あるクルマもイヤーカーとして時代を代表することになる。
そして時代と共にクルマの作り方も考え方も変わってきている。固定概念にとらわれることなくいつも柔軟に捉えるように心がけている。
スズキの魅力は安価で良質な製品を提供すできること。eビターラも例外ではない。初のEVを鈴木らしいコンパクトなSUVにまとめて登場させた。バッテリーもBYDと同じリン酸鉄系リチウムイオンで安定性とコストのバランスを取っている。インド生産で欧州のも販売されるために、走行安定性を重視して操舵力が重く、ショックアブソーバーも硬めに設定されている。
スバルの技術の核、水平対向エンジンと強力な4WDシステムに磨きを掛け、どこでも行ける安心感と使い易さはフォレスターに都市部から細い山岳路までオールマイティな性格を与えている。スバルの安全を象徴するアイサイトXもさらにきめ細かい進化を遂げ乗員をサポートする。シリーズ・パラレルハイブリットを駆動系にコンパクトに組み込んだシステムもドライバーのに忠実に反応する。価格も魅力の一つだ。
日本の国民車、軽自動車はCOTYの10ベストに入る常連だ。ムーヴは限られたサイズの中でスライドドアの採用し、ビックリ箱のような細部の作り込みなどユーザーの要望に忠実に応えたダイハツの主力車種。市街地でのトルクの出方も滑らかで乗りやすくターボでは高速走行も苦にならない。
日本で数少ないエステートワゴンはクラウンシリーズの最後発として登場した。ソフトでいながら芯のある乗り心地、Lクラスらしい穏やかさと正確性がバランスされたハンドリングはクラウンならではだ。デザインはスポーティだがラッゲージルームは広大でエステートワゴンとしての実用性は高い。HVとPHEVの二つのパワートレインから選べる。
美しいデザインは日産の真骨頂だ。バッテリーの熱マネージメントを精密に行い、驚異的な航続距離を達成した。充電ポイントまでの航続距離の心配はほとんどなくなった。モニターでは充電スタンドの性能まで表示され、緻密な情報が得られるのもEVのパイオニアらしい。フロアが幾分高めなのが少し気になるが斬新なインテリアは心地よい。
正確なライントレース性、操舵力と応答性のバランスの取れたハンドリング。メリハリの効いたドライブモードを実現したS+シフト。プレリュードはいつまでもハンドルを握っていたいスポーツクーペだ。クーペが希少な存在となった時代にプレリュードを復活させたのはホンダらしい心意気だ。
さすがはBMWらしいグッドバランスだ。ハンドルを握って楽しく心浮き立つ安定感がが2シリーズグランクーペでディーゼルとガソリンのパワートレインが選べる。BMWはいつでもドライバーに寄り添う。
コンパクトなボディに適正容量のバッテリーを搭載し、重量を抑えることでBセグメントに相応しい航続距離を達成した。軽量なEVは機敏だが低重心で安定性は高いのもインスターの特徴だ。ボクシーなデザインはヘッドクリアランスの余裕を持ち小さな室内でも窮屈のない優れたデザインだ。
3008のデザインは存在感がありこれまでの印象を一転させた。シンプルに美しく、インテリアは広さよりも個々のシートに座る乗員の心地よさを追求する。1.2ℓターボとマイルドハイブリットは想像以上にトルクがあり俊敏だ。プジョーの心地よい乗り心地も健在だ。
ミニバンとEVの相性は良いはずだ。EVの静粛性、滑らかな加速、穏やかな乗り心地。どれもミニバンに必要なものだ。ワーゲン・バスのコンセプトを継承したID.BUZZは想像するだけでも楽しいミニバンになりそうだ。多人数を運ぶために大容量電池を搭載することで重量増加が避けられないが、どこでバランスを取るかが重要だ。
基本的には数年後その年を振り返った時に「あのクルマが発売になった年なんだ」となるものが高く評価されればいいと考えます。そしてそこに必要なのは”完成度の高い仕上がり”と”個性”。完成度の高い仕上がりでもブランドとしての個性がなかったらダメですし、その逆のパターンもダメだと思います。その”個性”は、”ハードウェア”と”走り”と”デザイン”から成り立ちます。そしてそれを鑑み、今年はスバルフォレスターをトップに評価しました。”らしさ”がポジティブに結合し、魅力的なクルマが誕生しました。
デザインはそこまで秀逸ではありませんが、”走り”と”価格”に関しては高く評価できると思います。BEVを感じさせない走りはさすがで、実験部のこだわりを感じました。スイフトスポーツを持つメーカーですからそうなるのでしょう。見た目以上にスポーティなのがチャームポイント。そして400万円を切った価格をエントリーモデルに据えるなど、「BEVは高い」と言う概念への挑戦をうかがわせます。
新車開発の要件を熟知したデザイナーがスバルらしさを表現し、そこに彼らならではのハードウェアを載せ、見事にクルマ好きが要望する走りを具現化しています。ポイントはスバルらしいデザインで、「トレンドを追いかけすぎないことを意識した」とデザイナーは言っていました。この完成度の高いオーセンティックなスタイルは長いスパンで多くの人に愛されることでしょう。2025年を振り返った時、一番印象的な一台になります。
軽自動車として総合評価の高いクルマに仕上がっていると思います。両側スライドドアの使い勝手の良さも体験しました。ターボもノンターボも走りは悪くありません。ムーヴのさらなる進化を期待します!
新型クラウンシリーズの中では4番目となる分、完成度の高い仕上がりでした。ゆったり走って味がありながら、連続したコーナーをキビキビ走ります。車格は立派だし存在感もあります。ボディカラーや内装のしつらえにも妥協がないのを感じました。ただ、クロスオーバーやスポーツほどインパクトは大きくなかったのは正直なところ。2025年を代表する一台ではありませんでした。とはいえ、クラウン70周年おめでとうございます!
これまでの技術をブラッシュアップし、より良いものに仕上げています。一充電あたりの走行距離はインパクトが大きいかと。電費の良さは魅力的なアピールポイントになります。ただ、日本製BEVのパイオニアに位置付けると何かの分野でのブレイクスルーはあってもよかったかと。リーフは期待の大きなクルマだけに評価するハードルが高くなります。
SUV全盛の昨今において、2ドアクーペの登場はコメモラティブと言えます。この商品企画を考えた人も、その稟議書を通した人も英断だったと思います。しかも走りが素晴らしい。特に「S+」を押した時のモーターとエンジンがシンクロナイズされた走りは特筆モノです。デザインもグッド。テールエンドはまさに「エモい」気がします。もう少しロングノーズであれば最高でした。
ポイントは、3つのパワーソースがすべて個性的で優れているところ、グランクーペシリーズならではのスタイリッシュなデザイン、全幅1800mmのサイズ、といったところでしょうか。何も不満はありませんが、2025年を代表するポジションではないと思いました。でも、所有すればハッピーカーライフは送れます。
サイズ、価格での優位性はかなり高いと思います。軽自動車を少し大きくした車格はストレスなく運転できます。BEVでありながらのこの価格も驚異的。ただデザインは少し盛りすぎ。ここから引き算していくと良くなるような気がします。あとは日本のマーケットでの実績を積み上げていけばじわじわと評価は上がっていくのではないでしょうか。
スタイリングもそうですが、このインテリアデザインのセンスの良さはさすがとしか言いようがありません。高級感とは別ベクトルの上質さを感じました。フランスの底力でしょうか。エクステリアの新世代デザインと共に今後のモデルに期待が膨らみます!
かつて空冷VW雑誌に携わっていた身としては応援したくなる一台です。秀逸なのはデザイン。タイプ2の初期モデルをうまい具合に現代的に取り入れています。たぶんそこが多くの人を惹きつけているポイントでしょう。走りも想像以上にいいです。これだけの車体をあれだけ軽々しく動かせるのはBEVならではだと思います。兎にも角にも、見ているだけで元気になる一台。サーフィン仲間と共にサーフトリップに出かけたくなりました。
友人に「いまクルマを買うならオススメはどれか?」と尋ねられた時に「これを買うべき!」と自信をもっておススメできるクルマに最大の点数をつけるのが私のイヤーカー選びです。「10ベストカーに選ばれたクルマはすべて高い評価を得ている誇るべきクルマ」を前提に、たとえそのなかでクルマとしての完成度が高かったり魅力にあふれていたとしても、「ターゲット層が広くない」とか「不特定多数の人に向けたクルマではない」といった場合は2位以下としています。高額なクルマも同様に考えています。繰り返しとなりますが、ID.Buzzも素晴らしいクルマであることは改めて言うまでもないでしょう。
電気自動車が素晴らしい乗り物であることは十分理解しています。ただ、現時点ではまだ友人に幅広くお勧めできる存在だとは認識していません。そのため電気自動車は配点的には低くなっています。
単純にクルマの優劣ではなく、そういった評価軸で配点しました。
フォレスターはターゲット層、クルマのパッケージング、動的性能、そして価格(高めですが昨今の水準として考えれば知り合いにお勧めできないほど高額というわけでもない)などをトータルで考えて最大の配点をしています。
今季「10ベストカー」に選ばれた10台はどれも素晴らしい出来のクルマだと思います。そのなかで、もっとも不特定多数の友人に推せるクルマがフォレスターだと考えます。
扱いやすい車体サイズで、電気自動車としては控えめな価格。eビターラの魅力はそこに尽きます。スズキらしい質実剛健さが初の電気自動車にもしっかりと宿っていることを実感できる仕上がりだと感じました。良好な操縦安定性など基礎体力の高さに加え、良炎天下における30分間のサーキット走行を熱の不安なく問題なくこなすシステムの実力にも驚かされました。
「新車が欲しいんだけれど、どれを買えばいい?」
友人にそう相談されたときに、10台の候補の中でもっともふさわしいと思えるのがフォレスターです。
日本でも扱いやすいサイスのボディに後席がゆったりで広い室内。「疲れず安心して走れる」という意味でも「運転を楽しめる」という意味でもドライバビリティに優れ、安全性能も高い。従来のモデルで懸念事項だった燃費もハイブリッドの追加で解消。総合力を高く評価しました。
スライドドアを組み合わせたハイトワゴンながら、リーズナブルなプライスを実現。新車価格の大幅上昇が叫ばれる昨今において、150万円を切る価格から用意してきたことは素直に評価するべきでしょう。
とはいえ、商品としてのデキが良くなければ高い配点をすることはできません。パッケージングや使い勝手がいいのはもちろんですが、走行性能に関しても軽自動車として十分以上に納得できるものです。
絶やさないために変化するクラウン。そんな現行クラウンシリーズの最後のピースとなるエステートの功績は、「新しいステーションワゴン像」を見せてくれたことではないでしょうか。ステーションワゴンは今やオワコン化が叫ばれるジャンルですが、そんななかでもプレミアムなクロスオーバーSUVスタイルしたことで、新しいマーケットを生み出したと感じています。
専用ボディを持つ世界初の量産電気自動車として送り出されたリーフ。約700kmまで伸びた航続距離をはじめ、3世代目は飛躍的な進化を遂げたと言っていいでしょう。SUVながら一部仕様を除いて全高を1550mmとし、ロールーフ車用の機械式立体駐車場を使えるのも日本のユーザーには嬉しい配慮です。
「航続距離の長い電気自動車が欲しい」となった場合にオススメできる1台。
この時代に、クルマの楽しさを詰め込んだクーペモデルを送り出したことにまずは敬意を表したいと思います。
走る楽しさは素晴らしい。新発想の「Honda S+ Shift」を組み合わせることでハイブリッドとは思えない躍動感のあるパワートレイン、そして素直な動きとオンザレール感覚が見事なハンドリングを実現したシャシー性能により、いつまでも運転したいと思えるクルマ。ゆっくり峠道を走るだけで楽しいのも美点。
幅広い人にオススメできる輸入車と言っていいでしょう。ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、そして超高性能なガソリンエンジンと3つのパワートレインが選べますが、試乗して驚いたのはディーゼルエンジンのデキの良さ。トルクフルなだけでなく、回転上昇の軽快感や高回転の伸び感など官能性を語れる完成度に脱帽です。
BMWらしいといえる、俊敏性のいいハンドリングも運転好きにはたまりません。
私がイヤーカー選びの基準としている考え方に照らし合わせるとBEV(電気自動車)はポイントが低くなりがちですが、そんななかでインスターをBEVの最上位としたことにはしっかり理由があります。それはBEVの普及に最適と考えられるシティコミューター的な近距離の移動ツールとしてサイズも含めマッチングがいいから。小さい車体ながら走行安定性能も高く、航続距離も長めで安心でき、またコスパに優れるのも美点。
アバンギャルドな内外装デザインがいいですね。特にインテリアは、極めて強い先進性を持つデザインとファブリックを広範囲に張った仕立てが乗員を魅了してくれます。そんなデザインに惚れて選ぶのも大いにアリですが、いっぽうで峠道などではプジョーらしい軽快で懐の深いハンドリングを楽しませてくれるから運転好きや往年のフランス車好きも満足できるモデルと感じました。
いま日本で購入できる「唯一の電気自動車ミニバン」として貴重な存在。しかしそういった理屈ではなく、見るだけで心が豊かになれるようなデザインの雰囲気が最高ですね。多くの人に幅広く勧められるクルマではありませんが、買った人も乗る人だけでなく見る人にも笑顔をもたらし、幸せにしてくれるデザインとキャラクターが最大の魅力。
10ベストカー全てが魅力的であるという点を最初に書いておく。とはいえ順位を付けなければならない。10位とした2シリーズであっても「トラッドなクルマ選び」という観点なら文句なしの1位である。2リッター300馬力のハイパワーエンジンをダイレクトなツインクラッチで走らせるのは楽しい。はたまた8位のリーフなども、今回10ベストに残れなかったbZ4Xの価格や航続距離を考えると、上位に入れにくいという判断になります。eビターラやID.Buzzだって基準次第でもっと高く評価していい。そんな迷いをしながら残ったのがフォレスターとクラウンエステート、プレリュードの3モデルだった。クルマの完成度からすればクラウン。楽しさだとプレリュード。雪や悪状況の中で頼もしい相棒になってくれるフォレスターと、3車3様。どのクルマを1位にしてもいいと思える。ただCOTYの判断基準の1つである「10年経った2035年に2025年を思い出せる」という意味で「スバルまでハイブリッド車を独自開発し、しかもスバルらしく悪条件下に強い後輪をダイレクト駆動する4WDシステムを採用してきた」点を少しだけ高く評価したいと思う。プレリュードは月販目標台数が200台と極めて少なく、価格を含めた対象ユーザーの数も少ないと言う点を持って3位とした。クラウンは同一プラットホーム&同一ブランドの3車種目という点が少しだけマイナス評価になりました。
スズキで初めての量産EVながら完成度は高い。寿命が長く、燃えないBYD製のLFP電池容量は61kWhと十分。航続も実力で400kmに達する。加速と軽快なハンドリング、静粛性に優れ、街乗りからワインディングまで安心感上々。日本仕様の4WD設定や視界の良さも実用的だと思う。もう少し安ければ一段と好評価になる
フルモデルチェンジしたフォレスターは先行受注1万台超。月販目標の3倍を記録するなど大ヒット車になっている。高く評価したいのがパワートレーン。「2050年のカーボンニュートラルまでの25年間はハイブリッドが必要」ということから、コストを抑えるためトヨタと共通のモーターなど使いながら独自開発している。加えて後輪の駆動はドライブシャフトを使う直結式。雪道最強のハイブリッドと言って良い
発売から数ヶ月で受注3万台超という人気ぶり。ボディデザインは好評。ハイト系の軽乗用車として初めてスライドドアを採用し、子連れや高齢者世帯に歓迎されている。スライドドア車としては車高を低く抑えられたため、直進安定性&ハンドリングも上々。街中から高速まで自然な走ってくれ、実燃費は20km/L近くまで伸びるためオサイフにやさしい
クラウンシリーズも4作目ということから話題性こそ高くないものの、クルマの仕上がりと言う点から考えると文句なし。なかでもシステム出力の359PSのPHEV仕様は、上質感や快適さで歴代日本車TOP級。低い重心を活かしたハンドリングも素晴らしい。前述の通り4作目というあたりがCOTYの1位として押しにくいものの、実力&魅力は最も高いと思う
古いエンジン車の基本骨格を使っていた先代と違い、新型はARIYAと同じ電気自動車用プラットホームを採用しボディも5ドアHBからクロスオーバースタイルに刷新。78kWhバッテリー搭載「B7」グレードは航続702kmと安心の航続距離を実現した。昨今、安価で長い航続距離を持つ電気自動車がたくさん出てきたこともあり、少しばかり割高に感じてしまうのが残念。10ベスト外になったbZ4Xを考えた順位にしました
クーペモデル氷河期の中、希少な存在である。パワーユニットは環境の時代を十二分に考慮しシステム出力220PSの2モーターハイブリッドを採用。そのままだと物足りないパワーという評価になるものの、疑似エンジン音やシフトショックを出す「Honda S+ Shift」を採用。ハイパワーエンジン車に乗っているような楽しさを演出している。販売目標台数の少なさと、600万円を超える価格をどう考えるか、ですね
さすがBMW。エンジン車を作らせたら上手だと感心しきり! なかでもM235 xDriveは2リッターターボから300PSを引き出すハイパフィーマンスモデルで、文句なしに楽しい。528万円スタートの価格も日本車が高騰していることを考えれば納得出来るレベル。評価基準次第では1位にしてもいいと思えるほど。時代感が薄い点をどう考えるか?
ベースグレードのカジュアルは284.9万円と、東京都などは補助金を使うことで200万円を切る御予算になる。クルマの仕上がりも素晴らしい。何より電費が良く、ベース7グレードでさえ42kWhという大きな容量のバッテリーを搭載するため、実用で300km前後の航続距離を持つ。ADAS性能や回生ブレーキの味付けも文句なし。ディーラーネットの拡充とブランドイメージさえ確立できたら伸びるポテンシャル大
ステランティスの次世代の主力プラットホームを採用している。C~Dセグメントに属す全長4550mmのSUV的なボディがスタイリッシュ。パワーユニットは全て電動。73kWh、航続700km、210PSの電気自動車と、1.6L+モーターを組み合わせ、システム出力195PS/燃費22km/Lのハイブリッドをラインナップ、後者は欧州車らしくソリッド。ゴムフィール嫌いの人なら素晴らしい相棒になってくれると思う
とにかく目立つ! デザインとボディカラーでこれほど存在感を出せることに驚く。ボディは全長4920mm×全幅1985mmとイメージより大きく、ドライバーの技量を要求します。バッテリー容量は77kWhとこのクラスの平均より少なめで、航続距離も実用だと300kmくらい。一方、モーター出力は300馬力あるため、軽快に走ってくれる。キャビンスペース広く、趣味のクルマとして考えているなら申し分なし
期待値に対してのクルマから得られる結果を重視しながら、乗り味においては『グランドツーリング的なしっとりと動き上質さが漂う乗り味』をこの上なく好む、そんな趣味趣向を持った人が独断と偏見でつけた順位です。
生活に寄り添うバイト系ワゴンの軽自動車であるムーブに、大胆にもスライドドアを採用すると言う英断はナイス 販売台数を見ても、それが成功だったと裏付けられている。
乗り味の良さはもちろん、通常秘匿の開発シーンを公開して所有者の満足度を高めるためのビハインドザシーン動画を展開する姿勢に拍手。クルマ作りのオープンキッチン化、賛成
ハイブリッドであることを忘れさせる気持ち良いパワートレーンと走りは魅力。このボディでタイプRのエンジンが積まれたらと思うとワクワクが止まらない
コンパクトボディにあの走りの楽しさや意のまま感はグッド
走り出すとさらにボディが小さく感じるクルマとの一体感はBMWならではの魅力
大き過ぎるし、これほどまでにディーゼルモデルを出して欲しいと切望するモデルはないほど、デザインがお気に入り!目立ちたくない人は避けてください。
この1年間に新発売された乗用車35台が日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026のノミネート車だ。この35台はそれぞれ開発者が丹精込めて仕上げたクルマばかりで、ここから10台を選ぶ10BEST CARの選考も難しかった。
選考委員60人に選ばれた10台を1位から10位まで順位を付けるという酷な仕事もまた選考委員なのだ。さらにそれぞれに200字までのコメントを付け、この総評も書くという過去の日本カー・オブ・ザ・イヤーの投票方法としては一番タフだった。
筆者の採点基準は運転することを中心に考えて評価している。もちろん魅力的なデザインも考慮するし、価格も参考にしながら考えるが、やはりドライビングを主体にした評価になっている。
そのドライビングのテーマは楽しいかどうかが軸になる。そして運転の仕方はスムースドライビングで、同乗者に優しく、クルマにも優しく、先読みで事故の可能性を減らし、燃費もよくすること。
これがしやすいクルマでないと楽しく走れない。
別の見方をするとドライバーの意思を読み取って走ってくれるクルマが楽しいのだ。読み取るといってもクルマが勝手に動いてくれるという意味ではなく、ドライバーの小さな指示もクルマが感じて反応してくれるということ。ただし小さな指示は小さく反応することが大事。
アクセルだけでなく、ブレーキ、ハンドルも同様に丁寧な運転をすればスムースに走ってくれるクルマが好きだ。
今回1位にしたプレリュードは2年前のJMSのホンダブースにひっそりと飾られていた。今どき2ドアクーペを発売する気なのかと目を疑ったが、実際にプレリュードとして登場したわけだ。
テストコースや一般道、山道でも運転しているうちに、自在に操れるから運転が楽しいから、このままずっと運転したくなるクルマという位置付けになった。
最先端の機構ばかりを盛り込んでないところが丁度いい。電子的なスイッチが多くなった昨今だが、まだ機械式のスイッチを要所に残して誰にでも扱いやすくしている。BEVの静かさは他車に劣ることなく、トルクフルな感触はアクセルゲインが高過ぎず扱いやすい。価格の安さも魅力だ。
視界を確保するという0次安全性から追求したSUBARUだが、カメラを使ったぶつからないクルマでも有名になった。安全に基準を置いたクルマ選びを検討する場ではSUBARUの名前があがるようになった。フォレスターではオフロード走破性も高く、オールマイティな活躍ができそうだ。
トール型、リヤ左右スライドドア、日本の軽自動車の典型と言える形。もう作り慣れているからそつなく良いものができ上がっている。ターボ付きエンジンは元気よく走るし、EPB(電動パーキングブレーキ)もついて使いやすい。
観音開きの初代クラウンは筆者が幼稚園のときに登場した。あれから70年経っても「いつかはクラウン」と憧れを持って見ている人は少なくない。トヨタの看板商品の一つとしてクラウンが存在し、今は4モデルのクラウンの一角をなすのがエステートだ。クラウンという風格とエステートの実用性をうまく表現できたモデルである。
3代目になったリーフは、過去のリーフとはガラッと乗り味が変わった。ボデイがしっかりと骨太になった感じで、走り始めから安心感がある。18インチタイヤは乗り心地が良く、ハンドル応答性もスムースで良い。19インチタイヤでも乗り心地は良く、シート表皮の違いから座り心地も良くなった。
ゼロヨンが何秒、最高速は何キロ、サーキットのラップタイムは・・・というパフォーマンスではなく、元祖スペシャルティカーはグライダーのように風に乗って綺麗にコーナリングする。コーナー出口でアクセルを踏み込んでいっても内側タイヤに軽くブレーキを使ってアンダーステアを出ないようにしている。スピードスケートではなく、フィギアスケートが得意なクルマだ。
コンパクトな4ドアクーペは、3シリーズの弟分として立派にひとり立ちする風格がある。駆けぬける歓びのキャッチフレーズのまま、ハンドルを切った方向に正確にライントレースしてくれるから思わずニンマリ。豪華な装備品は使いこなすことができないほど満載されている。
コンパクトなサイズながら、しっかりしたボディで走りは安心感があるし、シートも骨太で身体のサポート性も良い。ちょっとそこまで乗るのに便利なクルマであるが、ACCも装備され長距離ドライブも可能だ。
プジョーらしくしなやかな脚は乗り心地が良いだけでなく、正確なハンドリング性能を引き出すことにも成功している。市街地からサーキットまでこなせそうだ。
このデザインとカラーリングだけでも充分に魅力的だが、乗り込んでも色使いや材質などもエクステリア同様におしゃれにできている。BEVらしく低速域からトルクが出るし、大勢で乗っても走りやすい。ハンドリングもクセがなく扱いやすいオシャレクルマである。
基本的には走ることが楽しくなれるクルマが好きです。またそうしたクルマを推してきました。そのスタンスはいまも変わりませんが、今年の10ベスト車は、”走りの楽しさの作り手”の苦労や努力を感じることが多くありました。クルマの完成度が増し、洗練するほどに、逆にクルマの気配、存在感が薄くなっていくような気がします。そのため勝負となるのは、言い古された言葉で言えば、個性。それは、メーカーごとのDNAを新型車に反映することができるか、にかかているような気がします。数字に表れないテイストとか作り込みに、様々な場面で出会い、向かい合って、それを知るほどに本当に順位をつけがたく、苦しい思いをしました。
開発の電動4WD「ALLGRIP-e」は、EVならではの緻密なトルク制御により、ワインディングで優れたトラクションとコーナリング性能を発揮してくれる。低重心プラットフォームと相まって、コンパクトSUVながら上級車のようなフラットな乗り心地を実現。日常の使い勝手と、運転の楽しさが高次元でバランスしています。
熟成されたSGPと4輪駆動の信頼性が真骨頂です。車体剛性を向上させたことで、ステアリング操作に対する応答遅れが少なくなり、リニアで安心感のあるハンドリングに磨きがかかりました。特に1.8Lターボモデルの、ターボならではの伸びのいい加速は爽快です。路面状況を問わないトラクション性能の高さ、車高の高さを全く感じさせない安定感がフォレスターの大きな魅力です。意のままに操れる楽しさがあります。
新設計のプラットフォームによるボディ剛性の強化は、高速走行での安定性としっかりとした乗り味に直結しています。スライドドアによる利便性や低燃費といった実用性だけでなく、モーターアシストによる静粛性の高さも特筆すべき点です。日常の移動をストレスなく、快適にこなすための基本性能の進化こそがムーヴの魅力です。
DRSがもたらす俊敏性とPHEVの瞬発力が魅力です。DRSにより、大型ワゴンでありながら、低速での取り回しの良さと、ワインディングでの軽フットワークの良さを実現しています。PHEVモデルの、モーターによるアクセルレスポンスの良さは、ドライバーの期待に応えるスポーティな走りを提供してくれます。上質な乗り心地と、ワゴンとしての実用性、「操る楽しさ」を両立させた、クラウンのエステートの魅力だと思います。
EVのパイオニアとして培われた「電気自動車ならではの走りの気持ちよさ」に熟成を感じます。モーターによる滑らかでレスポンスの良い加速フィールは、EVならでは。しかも一定速走行がしやすいようにスロットルプログラムを調整して、加減速を繊細にコントロールでき、人車一体感のある走りが楽しめるようにチューニングされています。低重心設計が生み出すフラットな乗り心地も秀逸。EVとしての上質な走り1段高めています。
プレリュードの最大の魅力は、S+モードの完成度と作り込にあります。ステップモードは、シフトップ時のトルク変化まで再現。減速側にもブリッピング制御を与え、まるでMTのエンジン車に乗っているかのような感覚を作り出してくれます。しかもこの制御は、実際に運転する場面でも、ドライバーのリズムづくりに極めて有効です。疑似的なシステムですがけっしてギミックになっていない点が高く評価できます。
FFベースになっても、BMWの「駆け抜ける歓び」は失われていません。シャープなステアリングフィールと、トルクベクタリング機能による粘り強いコーナリング性能が、FRのBMWを思わせる素直な操縦性を見せてくれます。特にディーゼルモデルは、トルクフルな加速と優れた燃費を両立し、長距離でも疲労の少ない上質な走りが魅力です。実用性とスポーティネスを両立させた、バランス感覚に優れた1台です。
小回りの良さと、日本の交通環境に合わせたサスペンションチューンにより、キレのある軽快な取り回しを実現しています。150kWモーターがもたらす力強いトルクと、低重心設計による乗り味に個人的には魅力を感じます。サイズ感、走行性能、そしてコストパフォーマンスなど様々な面で、日本のユーザーに真摯に向き合った、本気のBEVだと思います。
新EVプラットフォーム「STLA-Medium」によって、走りの質が格段に向上。高剛性ボディと低重心化が、プジョー特有のしなやかで路面追従性の良い足回りは快適で、乗り心地も優秀。またインテリアデザインはとても洗練されていて、国産車ではなかなか見ることのできないデザイン性があり、気分が上がってきます。技術とデザインが融合した、存在感のあるクロスオーバーです。
ID.Buzzは、愛らしいデザインの中にEV技術を凝縮したモデルです。RR(後輪駆動)を思わせる素直なハンドリングと、床下バッテリーによる極めて低い重心が、大型ミニバンらしい安定感のあるどっしりとした走行フィールと、それでいて以外に素直な操縦性を併せ持っています。モーターの瞬時のトルクは、大型ボディを軽々と加速させてくれます。ノスタルジーと最新技術が融合した、個性派EVとして評価できます。
今年度は10ベストカーすべてで順位付けをすることとなりましたが、クラスもカテゴリーも、またブランドポジションも異なった新型車10台の順位付けをすることはとても難しいことでした。
悩むことでいろいろ深く考えたり調べたりすることも増えますが、やはり一番はできるだけ長く接すること、乗ることと考えます。
そうした中では、正式発売日の関係から、日産リーフやスズキeビターラのようにクローズドコースでの試乗に留まった車種もあり、これについては知れないことが多くあると捉えた上での順位づけをしています。
1位を決めるにあたり悩んだのは、スバル・フォレスターとホンダ・プレリュードで、フォレスターはスバルにとっての最重要モデルともいうべき位置づけであり、燃費・環境性能向上のために、トヨタのTHS2をスバルの水平対向エンジンに取り入れながら、スバルらしさをどう保てるかに苦心されているのはクロストレックとも同様です。
一方、プレリュードはホンダe:HEVによるハイブリッドシステムで、いかに気持ちよく、楽しく走れるかをホンダらしい技術や考え方で具現化しています。
その中でプレリュードのようなクルマが長く作られていくためには、長期の販売台数の安定維持が重要といった点からして、価格設定に少し疑問を覚えたことが順位を決める要素となりました。
その他ではBEVの多さが時代を表してはいるといったところでしょうか。BEVは経験に技術の差が現れると捉える中では日産リーフはさすがに注ぎ込んできた感があります。早く公道で走らせてみたい、その上でこれなら上位に選んだことを多いに期待した上での9位でした。
輸入車は開発者の思いや技術面の深い話も伝わってきにくく、それこそ実車の評価が全てになりがちなのは否めません。このためどれも最低でも500km以上は乗ってみた上での選考です。
スズキ初のBEVとなるeビターラはインドで生産される扱い易いサイズのSUV。駆動用バッテリーには安全性が高いとされるリン酸鉄リチウムイオンを採用するなど、初ものらしい全体として慎重な姿勢を感じさせる一方、eアクスルによる4WD仕様を設定し幅広いニーズにも応えられるものとしています。価格が抑えられているのも好ましいですが、10位としたのは発売時期の関係で公道走行での評価ができていないことによります。
小規模メーカーにとって燃費、環境性能対策のハイブリッド戦略は難しい選択を迫られます。フォレスターにも燃費向上を求められる中での、トヨタハイブリッドシステムの採用が走りの個性を薄めたことは隠せませんが、一方でスバルAWD車に重要な低ミュー路等での走りやすさも向上させています。またアイサイトの前に視界性能から始まる安全への拘りも見逃せません。スバルの年次改良を重ねての進化熟成にも期待を込めた1位です。
社内事情により発売が予定より大幅に遅れたことは周知の事実ですが、むしろそのことにより低価格帯と高価格帯の2局化が進んでいるという軽自動車市場に、より価格も内容もジャストバランスの商品として存在することになったように思えています。なによりニーズの高いスライドドアを採用したこと、平凡ながら走りの基本性能はしっかり備え、過剰な装備は避けつつ使い勝手は向上させていることなど、取捨選択の妙も感じさせます。
車高やパッケージングからしてSUVのジャンルに入るクラウンエステートですが、日本では唯一の上級ワゴンとしての存在でもあります。HEVの他にPHEVの設定があり、よりパワフルなだけでなく、駆動用バッテリーが満充電からの場合、夏場でもBEVとして70km前後の走行が可能なことも確認済みです。DRS(4輪操舵)を備えて、小回り性能と安定した旋回能力を持つなど、走りへの拘りも感じさせるものとなっています。
リーフは3代目となるだけに、BEVで先行した日産の技術と知見が詰め込まれていることが、緻密なバッテリーマネージメントなどによくみてとれます。さらには、上級モデルのアリアと基本を共通とするプラットフォームやサスペンションなど、クラスを越えるような贅沢な車体構成を得ているのも特徴です。それらを認識した上で9位としたのは心苦しいのですが、発売時期の関係から、公道での走行評価ができていないことに尽きます。
タイプRとはまた別のホンダらしさを感じさせるとともに、単純に素敵なクルマだと思わせます。ハイブリッドでいて気持ちよく、楽しく走らせたいとのエンジニアの思いがそのままに伝わるのは、Sプラスシフトにおけるエンジンとショックまでも含めたシフトとサウンドの見事な協調ぶりにあり、あたかもエンジンで走らせている感はもうお見事。ただひとつ、持続可能な販売台数への配慮に欠けたと思える価格が2位とした理由です。
先代のプラットフォームの基本そのままにモデルチェンジされた新型2シリーズのグランクーペは、それがボディサイズの拡大を招かずに済み、全幅が先代と変わらない1800㎜に留まっているのは好ましい点。また、車体の剛性感の高さなどBMWらしさはより高まり、また一時期手応え感に乏しくなったステアリングフィールにも骨太感が戻ってきました。パワートレーンは三種三様のフィールながら小気味良さはどれにも備わってます。
日本にはないBセグメント(コンパクトサイズ)のBEVです。しかも5ナンバーの中でも全幅は1610㎜とスリムで、その中に使い勝手のよい室内空間、荷室を構築しています。主要グレードの駆動用バッテリー容量は49kwhですが、軽い車重や優れたバッテリーマネージメントにより不満の出にくい実航続距離を得ています。日本仕様専用の足回りのチューニングや出力制御としており、ヒョンデの日本に向けた真剣ぶりが伺えます。
ステランティスにおけるCDセグメントの最新プラットフォームを採用しており、これが3008ボディとの組み合わせにおいてなかなかよく、しっかりとしなやかのバランスをもたらしています。後席でも快適というプジョーらしさも戻ってきています。新開発ハイブリッドの燃費性能は残念ながら驚くものではないのですが、小気味よい走り感を身につけていました。こんなにコストをかけて大丈夫なのかと思えるインテリアにも注目です。
VWにとって開発時期を考えるとBEVであることは必須であった次世代ワーゲンバスは、BEV市場の失速感が生じている中では難しい立場にいます。しかし、シンプルでいて目を惹くエクステリアデザインだけでなく、BEVミニバンならではの静粛性や低重心感などの強みを持ち、日本が先頭をいく豪華絢爛系とは異なる在り方が逆に魅力ともなっています。大きく高く重い車体から想像するよりは好ましい電費性能も持ち得てます。
売れている車、売れそうな車など数値基準だとセグメントやクラスが限定されてしまうので、人気や販売台数は評価の一要素として、走行性能やデザイン、コンセプトなどを総合的に判断し、今年「もっともインパクトの強かった車」をイヤーカーとして選出しました。
EVに関しても、日本のマーケットシェアはまだ非常に低いですが、航続距離の延長や充電時間の短縮によるユーザビリティの向上、動力源に関わらず車として魅力的かという視点で評価しました。
BセグメントのコンパクトサイズSUVに、大容量バッテリーを搭載しながら快適な室内空間も確保。電動4WDもラインナップされるEVは、スズキが誇る世界戦略車。
EV走行比率の高いハイブリッドは静粛性が高く、乗り心地も快適で、スペースユーティリティに優れるSUVながら上質なサルーン的要素も備えている。高速道路におけるアイサイトでの走行は実用性が高く、安全・快適にドライブできる。
背が高すぎないハイト系ワゴンで、スライドドアの採用により実用性、利便性も向上。軽枠に妥協しない走行性能の良さが光る。精悍なフロントマスクのデザインや運転のしやすさ、安全性能など、日常の運転シーンに寄り添った車作りがなされている。
クラウンシリーズのとりを務めるだけあり、熟成された上質な乗り味に仕上がっている。中でも、静粛性、動力性能と燃費性能に優れるPHEVの存在感は大きい。数少ない「国産エステート」のマーケットに貴重な1台が加わったのは、このクラスの国産ワゴンを待ち侘びていたユーザーにとっても朗報だろう。
国産EVのパイオニアらしく、正常進化を遂げている。EVならではのトルクフルな走りや静粛性、低重心によるハンドリングの良さはさらにブラッシュアップされ、一充電あたりの航続距離が延びてより実用的となり、EV購入のハードルを下げている。
スペシャリティクーペというカテゴリー車の登場を評したい。もっとも高く評価したのは、車の本質である走りのクオリティの高さ。2モーターハイブリッド「SPORTS e:HEV」と「Honda S+Shift」による滑らかな動力性能、シビックタイプR譲りのしなやかなサスペンションにより、スポーティかつ、洗練されたグランドツーリングらしいドライバビリティも兼ね備え、イヤーカーに相応しいと思いました。
クーペライクで流麗なスタイリングと4ドアの居住性を併せ持つ。日本の道路事情においても大き過ぎず、凝縮感のあるBMWらしい走り味が魅力。2WD/4WD、ガソリン/ディーゼル、Mモデルまで、選択肢の多様性がありユーザーニーズに寄り添っている。
ユニークなエクステリアデザイン。コンパクトなボディサイズながらゆったりした室内空間や多彩なシートアレンジも魅力。一充電の航続距離も実用的。日本の道路事情を鑑み、ステアリングの操舵力やサスペンションのチューニングを見直し専用セッティングとするなど、日本市場に向けたきめ細かい対応はマッチングも良く、見た目の可愛さからは想像できないほど走りのパフォーマンスも高い。
まずは秀逸なエクステリアデザインが目を惹く。インテリアも、ドライバーズシートのみならず、パッセンジャーシートも囲われ感がありデザインの恩恵を受けられる。走りでは、フランス車らしいゆったりした印象の乗り味でありながら、ステアリングの操舵フィールはクイック。なのに、まったく違和感なくまとまっていて、デザインと相まって高い独自性を発揮している。
大きなボディサイズも車両価格も、誰にでもお勧めできる車ではない。でも、ライフスタイルに合えば、見る人乗る人を笑顔にし、QOLを高めてくれると思わせる不思議な魅力がある。1950年代の「ワーゲンバス」のDNAを継承しつつ、サステナブルなEVという先進性を備える。日本市場で唯一のミニバンのEVという独自性存在感の高さはバズりそう。
ここまで自動車技術が成熟して、かつ外部サプライヤーの技術力も高まっている今という時代に発売されるクルマ、ましてや10ベストカーに入るようなクルマは、ハードウエアのデキはどれも非常に高いレベルに達しています。もちろん、それぞれにはある程度の優劣はありますが、そのうえで近未来の日本の風景、あるいは日本人のクルマとの付き合いかたを、少しでもいい方向に変えてくれそうなクルマがCOTYに相応しいと考えます。その意味で、今回は日本の新しい高級車像を提示しているトヨタ・クラウン(エステート)を1位に選出させていただきました。
電気自動車(BEV)激戦区の欧州に正面からチャレンジする商品でもあり、デザインだけでなく、がっちり剛性感ある走りも、いい意味で欧州らしい骨太な味わいです。国産BEVはあまり使いたがらないものの、価格や耐久性では有利なリン酸鉄リチウムイオン電池を採用したことも奏功していて、400万円切りのスタート価格は素直にインパクトがあります。スズキが初めてつくったBEV専用車という歴史的意味も評価しました。
スバル車の大半は共通のプラットフォームでシリーズ開発されており、某スポーツカーメーカーばりに「最新のスバルが最良のスバル」と断言できます。最新のスバルであるフォレスターは、現時点で最もよくできたスバルであり、対歩行者や対自転車にも配慮した安全性は最も高度です。さらに、伝統的に優れた視界性能やついに登場したハイブリッドなど、新鮮味はありませんが、隅々まで新しく真面目なつくり込みは高く評価できます。
もともとスライドドア人気が高まっていた軽自動車市場ですが、このムーヴの登場によって、主流が完全にスライドドア車になることが決定づけられた気がします。その点をまずは評価します。また、居住性、デザイン、走行性能、燃費性能など、クルマとしての機能すべてがバランスよく仕上がっています。ただ、機能的にはごく近いムーヴキャンバスから3年後の発売ながら、技術的な進化があまり見えないところを評価に加味しました。
一昨年からのクラウン四部作の最後を飾るに相応しく、もっとも完成度が高いクラウンです。とくに「クッションがいい」という昭和以来の高級車的価値観を現代らしく解釈した、柔らかくもフラットな乗り心地には感心しました。そしてなにより、低燃費のパワートレインに加えて、最大2mの荷室長など、生活スタイルのカジュアル化とアウトドア志向が目立つ時代にマッチした新しい高級車像を提示したところを最大限に評価します。
世界の量産電気自動車(BEV)のパイオニアであるリーフは日本の誇りですが、近年は中国や欧州勢に対して、技術革新の遅れが目立っていたのも事実です。しかし、新型リーフは最新BEV技術の核心ともいうべきサーマルマネージメントをはじめ、あらためてBEV市場の最前線に戻ってました。ボディサイズやパッケージレイアウトにしても、従来のリーフのイメージにこだわらない新しさがある点も評価しました。
まずは、この時代にあえてスポーツクーペをつくってくれたことに、昭和生まれのクルマ好きのひとりとして感謝。究極まで磨き込まれた2.0リッターハイブリッドと世界最強FFの呼び声高いシビックタイプR用シャシーによる走りは痛快かつ洗練されています。また、デザインから走行性能まで“グライダー”というテーマが貫かれている点に、クルマづくりの面白さをあらためて感じさせてくれました。
セダン市場は世界的にどんどん縮小するとともにクルマは大型化しており、日本の交通環境にドンピシャの4ドアサルーンは絶滅が危惧されつつあります。そのなかで、この2シリーズグランクーペは先々代3シリーズとほぼ同じサイズを実現しています。技術的な内容にはあまり新味はありませんが、そのぶん熟成されていて、運転していても心地よいです。こうした使いやすくて楽しいクルマらしいクルマは、今では逆に貴重です。
もともと平均走行距離が短く、高齢化も進んでガソリンスタンドも減少している日本では、軽自動車やそれに準じるスモールカーこそ、まずは電気自動車(BEV)に置き換えていくのが社会的にもメリットが大きいと考えます。インスターはそんな日本にぴったりです。クルマ自体はグローバル市場をにらんだ骨太な内容で、しかも日本専用のシャシーチューンや素直に魅力的な価格設定など、日本市場に対する真摯な態度を評価します。
3008は現在のプジョーでフラッグシップともいうべき存在で、そのデザインや走行性能、実用性は文句のつけようがない高いレベルでまとまっています。小径かつ軽い手応えのステアリングホイールによる運転感覚も独特ですが、クセがあるわけでもありません。立派なボディと1.2Lターボという小排気量を源流とするパワートレインで、この立派なボディを過不足なく走らせるところは、いかにもフランス車らしいところです。
大型ミニバンなのに電気自動車(BEV)というところに、BEVの新車販売比率2%未満の日本では素直にカルチャーショックを受けます。こうしたショックも輸入車の楽しさの一部です。かさばるエンジンを置く必要のないBEVの利点を最大限に生かして、リヤエンジンだった往年のタイプ2のオマージュデザインとした発想にも感心。ただ、今の日本では面白がって買えるレベルの価格でないところも、今回の評価で加味しました。
バリエーションにとんだ10台で、本当に選ぶのに苦労しました・・・
どれもこれも甲乙つけがたかったですが、結局は自分の原体験に正直になって選ばせてもらいました。
クルマ好きにとっては、結局直感が大事ってこともあるかなと!
色々なシーンで活躍してくれそうな印象を持ちました。
軽自動車の雄であるスズキさんがEVを出す、というのはなかなかにインパクトのあることかなと感じます。
スバルならではのタフさを感じさせるデザインと走り。特に、デザインは相当に練りこまれていることを随所に感じました。ツボだったのは、リヤゲートの内側の「SUBARU」のロゴ。スバリストにはたまらないサービスですね。
お帰りダイハツ!ということで投票しました。
10ベストカー唯一の軽自動車で、抜群の燃費性能、パワフルかつスムーズな加速など、日常の相棒としては頼りになる車だと感じました。
サーキットで踏み込んだ時、パワー不足を全然感じなかったことに驚きました。
スポーツカー好きとしては、とにかくプレリュードが登場したという事実だけでうれしいわけです。
もちろん単なる懐古趣味で選んだわけではなく、しっかりとした加速、きびきびとしたハンドリングなど、魅力に満ちた一台でした。
4WSかと勘違いさせるような小回りに効き方には驚きました。
サーキットで乗れてよかった!と一番強く思えた車でした。
未来的で上品なインパネでありながら、走りには独特のどう猛さも感じられ、わくわくしながら試乗させてもらいました。
高校時代、ホームステイ先のご夫婦がそれぞれワーゲンバスに乗っておられました。
その時から特別な存在であったワーゲンバスが、最新のテクノロジーをまとって再登場したということで、どうにも投票しないわけにはいきませんでした・・・!
日本の新車販売におけるシェアは2%もないのに今季の10ベストカーのうち4車種が電気自動車だ。これは何を意味しているのだろうか。メーカー/インポーターが日本市場に電気自動車を押し付けているのか、それとも我々ジャーナリストの関心がそうなのか。あるいはユーザーの潜在的な需要のあらわれなのか。ここ数年、政策に促されるかたちでメーカーがユーザーに電気自動車を押し付けるかのように提案しているようにも思えるが、ニュートラルな気持ちで接したら、電気自動車は、趣味の対象としてはともかく、実用車としては現時点の性能ですでに素晴らしい。力強く静かでスムーズという、我々が100年以上ずっと追い求めてきたものがあっさり備わっている。今はまだ電気自動車の真価を味わうことができる環境のユーザーは限られる(要するに家で充電できるかどうか)が、何かきっかけがあれば電気自動車のシェアはどーんと増えるかもしれないくらいの時期には差し掛かったのではないか。そのきっかけが電気自動車のさらなるラインアップの充実か、航続距離性能の飛躍的進化か、充電スポットの抜本的な充実かはわからない。そのどれもが必要なのかもしれない。ともあれ、今現在のようにこの先何度か踊り場に差し掛かるかもしれないが、乗用車の進化のベクトルは電化(100%電気自動車とまでは言わないが)に定まったと思う。その日がくるまで、ここ日本では、よくできたハイブリッドを推したい。今季一番よくできたハイブリッドはフォレスターだと思った。
日本市場だけを見ているとスズキと電気自動車は最も縁遠い組み合わせに思えるが、同社が得意とするインド市場での電気自動車シェア爆発に備えた重要モデル。処女作から完成度の高いモデルを準備してきたのはさすが。モーター制御が緻密で加減速は自然。魅力をわかりやすい加速力などに求めていない、地に足のついた感じがよい。4WDが設定されることは、ほぼ同時に出てきたリーフに対する明確なアドバンテージだ。
地味な見た目のこの箱型SUVに、実用車に必要な要素がほぼすべて詰まっている。乗員5人と人数分の荷物が収まり、優れた視界性能、アイサイト、ドライバー異常時対応システムなどの総合安全性能が備わり、昔から得意な4WDシステムによる路面を選ばない走行性能がある。そしてトヨタハイブリッドシステムを自社のエンジンと駆動システムと組み合わせ、歴代のスバルに唯一欠けていた優れた燃費性能をも獲得した。完パケ。
後席ドアをヒンジからスライドに変更したのはこのクルマの主なターゲットがお年寄りで、その人たちが以前に乗っていたのがノア/ヴォクシーに代表されるミニバンで、スライドドアに慣れ、便利さを知る人たちだからだそうだ。こうやってしっかりユーザーを調査、研究し、痒いところに手が届く商品を届けてきた結果、今や新車の4割に達した軽自動車のよい例だ。
世界一のハイブリッドブランドだけあって、大きなバッテリーを用いるプラグインハイブリッドを作らせても完成度が高い。これに乗ると電気自動車かハイブリッドで迷う必要はなく、両方備わったプラグインハイブリッドを選べばよいということに気づく。現実解を提案するトヨタ、ここに極まれり。
定番ジャンルのクロスオーバーSUVとして誕生した3代目。クセ強なスタイリングから脱却し、わかりやすくカッコいい。電気自動車は乗るとどれも同じと言われるが、このクルマの加減速の自然さ、心地よさらからは電気自動車に対する知見の多さ、深さを感じる。徹底したエアロダイナミクスで700kmを超える一充電走行可能距離を実現したのは立派。日本の電気自動車を孤軍奮闘で牽引してきた功績はもっと評価されるべき。
かつてこの名前に憧れた多くのおじさんが納車を待っている。「この時代にクーペかよ」「プリウスに似すぎ」などとネガティブな意見も聞こえるが、話題にならないよりずっとまし。シビックベースのさして速くもないハイブリッドに600万円となると、確かに「えっ?」となるが、走らせてみると電動の使い方が絶妙で、山道でも高速巡航でもクルマの反応が実に心地よい。スペックからではなく自分で乗って判断できる大人向け。
現代の3シリーズがかつての5シリーズで、現代の5シリーズがかつての7シリーズだ。この2シリーズがかつての3シリーズだ。エンジン横置きのFWD、FWDベースの4WDはよくできていて、ハンドリングも素直。エンジンの向きなんてどうでもよいと思わせてくれる。何かのきっかけでうっかり3シリーズ以上に試乗しない限りは。
小さな車体に悪ふざけ寸前の大胆なデザインを盛り込みつつ走りは大真面目。足まわりは日本専用チューニングだ。ヒョンデが先進国で唯一シェアをもっていない、近くて遠い市場の日本。再参入してはや数年。国産車だけでなく国民感情とも戦わなくていけないのに加え、売れにくい電気自動車に絞って販売しているため簡単には受け入れられないが、それらが何かのきっかけでひっくり返った時に備え、歯を食いしばっている。
このクルマに限らず今年ステランティスの複数モデルに相次いで投入された1.2L直3ガソリンターボエンジン+マイルドハイブリッドというユニットが実に素晴らしい。日本におけるプジョー、シトロエン、フィアット、アルファロメオを救ったと言っても過言ではない。どれに採用しても力強く走らせることができ、かつ過去のイタフラ車には望むべくもなかった良好な燃費も得られる。ステランティス、電気自動車への橋渡し安泰。
究極の出オチグルマ。電気自動車で、この巨体で、1000万円近い価格となると大ヒットは到底見込めないが、見るだけで楽しくなってきて、大勢で乗って遊びに行きたくなる存在として日本におけるフォルクスワーゲンブランドのファンを増やすに違いない。お店にこれを見にいって、結果的にゴルフやID.4を買って帰ることになる人が増えるのでは?
そもそも国産車10台、輸入車25台となった今期のノミネート車。しかもその布陣は多種多様で、選考委員の立場からすれば嬉しい悲鳴だったというべきか。いや……いうべきかどころか、記憶が確かなら実際には近年稀に見る混戦模様だったというべきで、「一体この中からどのクルマを選べというのか!?、絞れというのか!?」と、神経と睡眠時間をすり減らした……というのは、半分以上は本当のところである。
そんな中で10ベストカーが決まり、いよいよ点数を配分する作業に。今期は多種多様だったと書いたように、10台の顔ぶれを見ると、(今風の言い方でいうと)ガチなライバル車のAかBのどちらを評価するかというような作業ではなく、各車各様の商品性、キャラクターを1台ずつ浮き彫りにしていき、その中から自分はどのクルマのどういうところを評価したいか……を投票日締め切り時間間際まで思い詰めて考えた。
以上のようなプロセスを経て決意したのが配点のとおりだ。とくに最後まで悩み抜いたのはホンダ・プレリュードとスバル・フォレスターで、どちらもタイプは違えど、クルマの魅力の点では、これもまたガチで甲乙つけがたいクルマ同士としか思えなかった。が、取材でインタビューをさせていただいたエンジニアの方々の熱いお話とお顔が目の前に浮かぶ中、意を決して、個々のコメントの中にも書いたように「いつまでもずっと乗っていたい」と思わせられた(当初からの自分の気持ちに従い)プレリュードを推した。
カテゴリーも時代もまったく違うが、eビターラのスズキ車としての新しい空気感に、初代ワゴンR(1993年)を初めて見た時を思い出した。実にスマートながらロングルーフとロングホイールベースの採用による機能的なパッケージングがいかにもスズキ初のBEVらしい。5.2mの最小回転半径も実用的だし、前2席のシートヒーター、ステアリングヒーターが備わるのもありがたい。2DWは軽快さ、電動4WDは安定感がいい。
後席に乗った犬が前方を見やすいようにと前席の背もたれ車両中央側の肩口を僅かに削いだ非対称形状にしたのは犬の立場からすれば嬉しいに違いない。ズバババ……と水平対向4気筒ターボを轟かせていた1997年の初代以来、数えて6代目となる今回の新型は、スバルらしい高水準の走行性能、安全性能を備え、ストロングハイブリッドにより高効率・低燃費もモノにし、幅広いユーザーにおすすめできるクルマに進化を遂げた。
2025年4〜9月の軽自動車の販売ランキングでムーヴは大きく伸長、タントを抜いて軽自動車中3位となった。何はともあれホッとさせられたニュースだった。実車は実に手堅くまとめられた印象。山下達郎+永井博のCMと、スライドドアの採用でより苦もなくクルマを扱えるようになったことで、そういう世代にも響いたのだろう。“手堅く”とは褒め言葉だが、さらにユーザー個々の好みに合わせた仕様への“冒険”もぜひ!
現行クラウン4車型のうち、発表からもっとも時間差があっての発売となったエステート。クラウンというとFRベースのセダンのなめらかな乗り味が傑出していると承知していたが、エステートもセダンに勝るとも劣らない快適で洗練されたドライバビリティが実現されている、と思った。スタイル、プロポーションこそ今風だが、乗ったときの気持ちのゆとり、上質なしつらえや装備など、クラウンのエステートらしさが堪能できる。
15年前の最初の初代リーフの航続可能距離は200km(JC08)。広報車を借り受け、箱根で表示上の走行距離が“あと5km”となり、慌てて心当たりの充電施設に向かうも何と定休日で途方に暮れた経験がも。翻って3世代目となる新型は一充電走行距離は最大702km(WLTC)で、初代に対しもうこのことだけで納得できるくらいだ。冷熱システムを統合、ナビとリンクさせた管理も可能など最新時術の恩恵に預かれる。
試乗後“いつまでもずっと乗っていたいクルマ”と感想を伝えると「最高の褒め言葉です」(山上LPL)、「困ります、週明け月曜には予定どおり返してください」(広報・Mさん)と。“自分たちでも乗りたいクルマ”が企画実現の突破口だったという。結果、プレリュードの名のもと、速さより気持ちよさが存分に味わえる大人のスポーツクーペに仕上げられた。ベテランユーザーのための両席パワーシートが備われば申し分ない。
全幅1800mmのコンパクトさは何といってもこのクルマの価値のひとつ。その軽快な走りっぷりは、初代E21の頃の3シリーズを思い出させられるといっても過言ではない。新型は基本的に先代を踏襲したスタイルながら、細かなことだが、サイドウインドゥ後端のホフマイスターキンクが先代よりも“らしい”形状になったところも腑に落ちた。仕様ごとの性能差はあるがどのモデルでもBMWらしい敏捷なハンドリングが味わえる。
試乗時のどちらかのレポートに“不思議ちゃん”などと書いた覚えがあるが、今どきのAIロボットの顔つきのようなフロントマスクを始め、外観はきわめて個性的で、眉間にシワを寄せて眺めている場合じゃないといったところ。けれどこのクルマの本当の価値は全幅1610mmの、涙が出るくらい扱いやすくコンパクトな実用車だということ。BEVとして一充電走行距離が458〜393kmの心強さも実用車としての資質が十分。
(今さらながらCIマークが以前の2本足でガオ!と立つライオンの全身ではなくなったのが個人的には心残りだが、)ここ最近のプジョー車のデザインは、街中で見かけても、押し出し感強からず、いい頃合いの際立ち方だと思う。最新世代の3008ももちろん同様で、外観と同じく内装も程よく非日常感覚が味わえる(後席にもシートヒーターがつく)。新しいSTLA-Mediumプラットフォームによる快適な乗り味もいい。
試乗車返却時に立ち寄ったVWオフィスにほど近いガスステーションで、一応、洗車機に入れられることは確認済み(大柄なロングだったため“拭き上げ”は大変だったが)。全幅はアルファード/ヴェルファイア(1850mm)、レクサスLM(1890mm)の軽く上を行く1985mm。が、それらにはない大らかなデザイン、清々しく広い室内(ドライバーズシートは疲れ知らず)、VWらしい安定感のある走りなど魅力は多数。
これは例年同じだが、10ベストカーに入っている時点で、どれも間違いなくそこに居る理由のあるクルマだ。実際、それぞれのクルマについてのコメントは200文字ではとても足りないくらい書くことがあり、いずれも何度も何度も削って無理やりそこに収めたほどだった。
それだけに差はわずかであり、選考はとても悩ましい。結果として重視したのは、まず一番には他では得られない独自の魅力があるクルマだということ。多くのユーザーにメリットがあれば好ましいとも考えたし、世界に「日本のクルマの専門家はこれを選んだ」と胸を張ってアピールできる、ひいては「日本からはやはり目が離せない」と世界に知らしめられる選択になるかどうかも、やはり頭の片隅に入れていた次第だ。
1位に選んだのは、スバル フォレスター。スバルが長年磨き続けてきた価値をあらゆる面で一段上のレベルに押し上げ、とりわけ水平対向エンジンについて、電動化によってその魅力を改めて開花させた、まさに他には出来ないクルマの筆頭だと評価した。
ハイブリッドの旨味を活かしながらホンダらしいスポーツスペシャルティカーの姿を描き出したプレリュード、培ってきたBEVに関する知見を総動員して一気に実力を引き上げてきた日産リーフなども、動機はほぼ共通と言っていい。正直、いずれも甲乙つけ難く、断腸の思いで順位をつけた。
ここまで配点の難しさを感じたCOTYは正直に言って久しぶりかもしれない。苦しく悩ましい選考を、しかし大いに楽しんだ。
もっとも強く印象に残るのは、近年のスズキ車に共通する骨太な走行感覚。車体の剛性感は高く、操舵感、足さばきといった部分でも、サイズを意識させない本物感、重厚感といったものに繋がっている。主戦場となるのであろうヨーロッパでの使用環境に鑑みた設定が、日本の特にクルマの運転を楽しみたいユーザーにとっても、若干マニアックではあるが大いに響くものとなっているのが興味深い1台である。
水平対向エンジンの弱点を電気モーターで補い、滑らかな吹け上がりという美点を際立たせたハイブリッドシステム然り、手頃なサイズ感、余裕の室内空間、視界の良さはそのまま存在感を高めたデザイン然り、スバルの独自性を貫き進化させた先に、より情感に満ちた、多くの人に歓びをもたらすクルマが生み出された。全身で統一されたトーンが導く、走り出してすぐに感じる得も言われぬ爽快感は忘れ難く、最高の評価を与えた次第だ。
斬新なメカニズムや飛び道具的なアイディアが盛り込まれているわけではないが、ムーヴにとって大転換となる、ハイトワゴンに両側スライドドアを組み合わせるというパッケージング、自ら提案したカスタムを廃して新しいアピールの仕方を志向したデザインなど、実はその中身は攻めている。主力グレードで150万円切りという廉価な設定もさすが軽自動車の本分を知るダイハツ。今年の日本の自動車界を語る上で欠かせない存在である。
新型クラウン群のトリを飾るエステートは、独特の押し出し感を持つデザインにしても、広くそして完全にフラットになる荷室のユーティリティ性にしても、余裕あるライフスタイルを演出する感がもっとも強いクラウンに仕上がっている。走りについても同様で、特にPHEVモデルの快適なクルージング性能には舌を巻く。正直、価格は安くはない。しかし、それだけの満足感が得られることもまた間違いのない1台だ。
すべてを刷新して登場した新しいリーフからは、量産BEVのパイオニアである日産の意地を感じる。コンパクトになった車体に想像よりはるかに広い室内、そして充実した先進装備に余裕の航続距離と充電性能。そして何より滑らかさをきわめた走行感覚と、全身にBEVの旨味が詰まっている。これらは飛び道具などではなく正攻法のエンジニアリングと作り込みの成果であり、つまり「技術の日産」のプライドでもあるのだと思う。
既存のハイブリッドシステムを用いながらスポーツスペシャルティカーを作り出すべく生み出されたのがホンダS+Shift。小気味良い走りがハイブリッド車の新しい時代を切り拓く先駆者として相応しいという意味で与えられた車名は、軽やかさを表現したデザイン、スマートな走りや使い勝手まで含めた全体に一本の筋が通った存在感にぴったりハマっている。この時代に敢えて2ドアクーペを出してきた心意気も賞賛したい。
全幅1800mmという日本最適サイズが、やはり一番のポイント。外観や室内空間も、隅々に至るまでいかにもBMWというクオリティの徹底ぶりで満足度は高い。走りの面でも同様に、豊潤な操舵感はじめFFプラットフォームだから云々とはもはや言わせない作り込みに、熟成の旨味を実感できる。サイズだけでなく価格の面でも、輸入車は高いという印象が強まっている昨今では十分に健闘している。BMWの良心と言いたいモデルだ。
外装も内装も、とにかくポップなインスター。単なる意匠の問題ではなく、全幅1610mmに対して、全高がそれを上回る1615mmあるプロポーションに拠るところも大きい。BEVの滑らか且ついざとなれば力強い走りもそんなデザインに合っている。視界の良い室内は特に高級、上質ではないけれど居心地が良く、乗っていて心が弾む。あらゆる意味で日本にはライバル不在の個性際立つ1台は、選ぶ意味、乗る価値が大いにある。
内外装ともに際立つ存在感がまず魅力。特に先進感と暖かみが絶妙にブレンドされたインテリアは、プジョーの独壇場だ。斯様にアバンギャルドな雰囲気を醸し出しながら、機構的にはマイルドハイブリッドながら走りに電動感が色濃く出ている新開発パワートレインと、新型プラットフォームの組み合わせがもたらす、どこまでも遠くへと誘う走りの世界は、いかにもフランス車。やはり他では味わえない世界を堪能させてくれるのが嬉しい。
ようやく日本に届けられたID.Buzzの魅力は理屈では語れない。ハードウェアはごく普通のBEVであり、ID.4と大きく変わるわけではない。しかしながら往年のタイプ2をモチーフにしたデザインは見た誰をも幸せな気分にし、そして乗り込めば独特のポジションや視界、更には思いのほか軽やかな走りでこちらも幸せになる。その意味でもフォルクスワーゲンって、そういうブランドだったよねと思い出させる快作だ。
今シーズンは例年以上に豊作といえる1年だったと思う。現に僕の中での“今年の1台”は10ベストに残ることもできなかった。が、さりとてそれに疑問を抱くこともなく、10ベストに残ったクルマたちはいずれもそれぞれの分野で素晴らしい乗り味を見せるモデルばかり。何らかのカタチでモーターが介在してるモデルが多いけど、パワートレーンの種類もバラバラだ。
そうした中で僕が“いちばん”に選んだのがヒョンデ・インスターだったのは、自分でもちょっと意外だった。シンプルに走りの楽しさだけ考えたらほかに“いちばん”の候補は何台かあるのだけど、このクルマを自分の暮らしの中にあてはめたら? と考えて試してみたときの楽しさが勝ったのだ。
今や昔のようにガソリンをバンバン爆発させてサウンドや振動に酔い痴れるような楽しみ方は、なかなかできなくなった。が、ホンダ・プレリュードのS+Shiftの様な擬似的システムあり、スバル・フォレスターのような元々の持ち味を熟成・昇華させるようなモデルあり……と、自動車メーカーはあの手この手で“クルマを走らせる楽しさや気持ちよさ”、そして“クルマと暮らす楽しさ”をカタチにすべく奮闘してくれてるのだな、と感じられた。それが今シーズンを通しての、個人的に嬉しかったこと、である。
スズキ初のバッテリーEVへの期待感は大きかった。サイズも日本にちょうどいいし、尖ってるところはないけど、おおむねよくできてるように感じられた。が、クローズドコースを数周しただけなので、まだまだわからないことも実感できてないことも多い。評価は一般道で確かめてから、とさせていただきたい。
スバルの良さは解る人にははっきり判るけど解らない人には判りにくい。ステアリングの正確さや駆動の素晴らしさなどは判りやすいが、その真髄は奥の奥にあってちょっとやそっとじゃ体感できない。走りは ON / OFF 問わず楽しめるが、それって実は視界の良さや走行モードの緻密さなど地味だけど重要な無数のパートに支えられてる。気持ちよさだけじゃなく、そうしたところへの手抜かりのなさにも敬意を込めて。
新しいプラットフォームの採用はかなり効いている。乗り心地、コーナリングともに、満足感は先代を確実に上回っている。もはや軽自動車の悲哀のようなモノは微塵も感じられない。今、軽ワゴンを選ぶならコレ、だ。さらに、オラオラ系ユーザーが好みそうなモデルを排し、品のあるデザインのみとした英断に敬意を表したい。押し出しの強さや迫力が欲しい人は勝手にカスタマイズすればいいのだ。良識あるメーカーのすることじゃない。
なかなかスポーティな背高ステーションワゴン。車重がある分クルマの動きの軽やかさも若干欠けるのだが、想像以上に気持ちよく曲がる。内装の仕上がりも高得点、乗り心地もかなり良好。何より後席を倒すと長さ2mのフルフラットなスペースが稼ぎ出せるところがよい。それにしてもトヨタは複数のクラウンを上手く作り分けだものだな、と思う。
先代よりも1台のクルマとして数段階、進化を遂げてるように感じた。航続距離702kmというのも、バッテリーEVに乗るうえでの安心感を高めてくれて、ありがたく感じる。が、クローズドコースを数周しただけなので、まだまだわからないことも実感できてないことも多い。評価は一般道で確かめてから、とさせていただきたい。
まずはこの時代に絶対的な数など望めないスポーツ・クーペを企画してくれたことに感謝。実際に走らせても、タイプR譲りのシャシーはクローズドコース全開でもクチがあんぐり開くほどコーナーが速いし、一般道ゆったりでも心地好いクルージングを味わえる。硬軟どちらもいける素晴らしいスポーティカーだ。仕方ないことが、若者にも手が届きそうなモデルであったらさらによかったのに……とないものねだりしらくなる。
M235 xDriveが走らせて楽しいモデルであるのは、ある意味、当たり前。だが。最も廉価にして変哲のないモデル、1.5リッター3気筒+MHEVの220 M Sportですら、かなりの“駆け抜ける歓び”が感じられるのだ。エンジンは回すと痛快、加速も爽快、極めて素直に気持ちよく素早く曲がってくれる。しかも乗り味は引き締まってるけど思いのほか快適。スポーティな小型セダンが欲しい人には刺さるはず。
全長3830mm、全幅1610mmというサイズ。450kmを越える航続可能距離。装備の驚くほどの充実っぷり。補助金を使えば300万円を割る価格。そして速くはないけどキビキビよく走りスイスイよく曲がる。日々の暮らしにあてはめてみて、こんなふうに気持ちが弾んだバッテリーEVはなかった。こういうのって本来は日本の自動車メーカーが得意としてたところなんじゃないか? と思うのだけど……。
スタイリング、よし。インテリア、よし。乗り心地、よし。ハンドリング、よし。実用性、よし。それぞれの美点は高く、そのトータル・バランスもかなりいい。そういう意味では相当に満足感が高い。めちゃめちゃ“いいクルマ”だ。他国のライバルたちと充分に競り合える。その一方で自国の持ち味のようなものが少し希薄になってしまってるように感じられるのが、少し残念。
先祖ともいうべきタイプ2の楽しい世界観を、バッテリーEVといういわば新世代の乗り物に綺麗なカタチで改めて表現しなおしてるのが、ちょっと感動的。大勢を乗せて出掛けたくなるし、出掛けたら出掛けたで乗員もドライバーも満足できる。カスタマイズを考えずに乗れる唯一無二のミニバンにして、ミニバンの中で最もドライブが楽しいモデル、でもあると思う。
今回は偶然にSUBARUとBMWがCOTYの2トップとなった。一位のSUBARUは徹底した安全性にこだわる。そこが差別化の源流。また、二位のBMWは走る楽しさをエンジン横置きでも実現している。アメリカではSUBARUをスービー、BMWをビーマーというニックネイムがつけられ、クルマ好きから敬愛されている。きっと両メーカーにはユーザーに愛されるべきサムシングがあるのだろう。ところで、10ベストはどれも個性的で、差別化されている。全体的には4台のBEVと6台のICE&HEV車がラインアップ。輸入車は4台が10ベスト入りだ。生産国を見ると日本、韓国、インドと多様。もはやメイド・インではなく、メイド・バイの時代に突入した。さらに、今後はA~BセグメントのBEVの競争も激化しそうだ。
トヨタやSUBARUのBEVと同型のプラットフォームで作られたスズキ初のBEV。しかし、ライバルBEVの進化が激しく、eビターラはもっと洗練してほしい。
ストロング・ハイブリット+AWD、さらにアイサイトとサイクリスト&歩行者エアバッグを備える。
SUBARUの安全は思想から現実の価値になった。だが、日本市場にアメリカ向けのオールシーズンタイヤは不向きだ。要改善
しばらく生産が止まっていたことを考えると、ダイハツしては10べストに選ばれたことを喜んでいた。軽カーはもはや40%以上の販売がある以上、登録者と同じ土俵で評価したい。しかし、熾烈な燃費競争のために、ウェットグリップが犠牲になるタイヤの採用は慎むべきか。人の安全を最優先にするべき。
プラグイン・ハイブリットはエンジンを忘れるほど、EV風に走れる。トヨタのPHEVのメリットはバッテリー残量が低下しても、燃費性能は著しく悪化しないこと。ロバスト性では群を抜いている。惜しいのはエンジンがかかったとき、「あれっ」と思う瞬間があった。
パフォーマンスや内外のデザインはモダンで好ましい。先代リーフやアリアからは大幅に進化している。しかし、モーターのトルクに対して、シャシー性能で抑えきれない部分があった。日産のBEVプラットフォームの特徴である前後サブフレーム構造は、さらに煮詰める必要がありそうだ。
S+siftとWアクシスのフロント・サスペンションは秀逸。ホットなクーペではなく大人が楽しめるクールなクーペ。であれば、もう少し車内空間の演出がほしい
エンジンは横置きのトランスアクスル方式だが、その卓越したボディとシャシー技術で、FFのハンディを克服。スタイリング・パッケージ・ダイナミクス・ADASと四拍子揃っている。円安なのでしょうがないが価格は割高だ。
今回10ベストに選ばれたBEVの中では、もっともスムースに安定して走ったのが、ヒョンデの
インスター。クロスインスターのデザインもよく、ダイナミクスでは日本のBEVを量がしている。
ステランティス・グループでは戦略的に1.2Lターボ+48Vバッテリーを使うマイルドハイブリットが主流だ。実燃費もよいが、低速の走りがすこし荒かった。
約2.7トンのボディでも安定して走れるのは流石ドイツ車。だが、VWの商業車グループが開発したこともあり、ブレーキ性能はいま一歩か。
2025-2026の日本カー・オブ・ザ・イヤーに〈スバル・フォレスター〉を1位に選ばせていただきました。日本全国、あらゆるシーンでおすすめできる一台であり、新型フォレスターはニューモデルらしく磨きがかかっています。誰にとっても運転しやすく、実用性の高いパッケージングと高い安全性が最大の魅力です。エンジニアリング先行になりがちなスバル車の中でも、デザインに重点が置れたプロダクトであり、フォレスターの長い歴史とブランドとしての積み重ねを感じさせます。
〈VW・ID.BUZZ〉を2位とさせていただきました。自動車からモビリティへと移行していく中で、どこか味気なくなりがちな乗り物の世界に彩りをもたらしてくれる素質があります。今後、AI技術の発達に伴い、〈ID.BUZZ〉のようなアイコンは、ファミリーカーとして家族の一員になり得たり、社用車としてチームの一員になり得る存在として、モビリティに求められる役割が広がることを予感させる一台です。
3位には〈ホンダ・プレリュード〉とさせていただきました。あくまで乗用車でありながら単なる移動手段でなく「ドライブすること」にフォーカスした車が新車で手に入ることは非常に素晴らしいことと思えます。ハイエンドなスポーツカーでなくとも、ホンダが培ってきたエンジニアリングによって、日本の道路事情や環境下でも運転の楽しさをあらためて気づかせてくれる、希少な一台だといえます。
スズキ初のEVとして登場した〈eビターラ〉。グローバルモデルの「ビターラ」のネーミングで国内導入され、新時代の幕開けを感じさせます。インド生産とBYDのブレードバッテリーにより、世界基準での完成度を持った国産EVとして魅力的です。
誰にでもおすすめできるオールマイティな車。正統派の国産SUVとして信頼性が高く、運転のしやすさや実用性のバランスに優れています。最新モデルではデザインも磨きがかかり、スバルらしい安定感と安心感を備えた一台です。
スーパーハイト系の軽自動車が乱立する国内市場において新型ムーブは新たな存在感を示す一台です。シンプルで扱いやすいインターフェイスが、日常の利便性と運転のしやすさを両立させ、運転支援システムも充実した期待の軽自動車です。
クラウン誕生70周年の年に登場したエステートは、高いユーティリティ性能が魅力のクラウンです。セダンが王道のクラウンでありながら、その時代に求められるパッケージングをクラウンブランドとして市場に投入してきた歴史を思い起こさせる新たなる1台といえます。
3代目に進化し、リーフ史上最高の完成度を感じさせます。絶妙なサイズ感と洗練されたパッケージングで、日産の再起をかけたモデルとして存在感があり、電動化時代の国産EVとして期待の一台です。
往年のモデルに比べて尖り具合は抑えられていますが、走らせると魅力を実感できます。「Honda S+ Shift」による走りの楽しさと、車内の音響の質の高さが特長で、日常でもドライブが楽しくなる一台です。
小排気量の3気筒エンジンながら、BMWらしい味わい深い走行フィーリングを堪能できるコンパクトモデル。軽快なハンドリングと高い走行品質が魅力で、プレミアムコンパクトとしての価値を実感できます。
日本の5ナンバーサイズにぴったりで、日本の道路環境に適したコンパクトSUV。日本市場向けにチューニングされたサスペンションにより、スモールカーでありながらしなやかな挙動と上質な走りを楽しめます。
しなやかな乗り味と未来的なコックピットデザインが魅力のSUV。日本車にはない個性的で洗練されたフランス車らしさを味わえるプジョーのフラッグシップモデルです。
友達のように親しみやすいモビリティ。外部給電機能や専用アプリがない点はやや惜しいものの、ユニークなデザインと居住性、未来感のある内装で、家族やチームの一員になり得る存在感があります。
今年は10ベストの選考からすでに頭を大きく悩ませた。従来までは日本車と輸入車(欧州中心)のジャンルから選ぶことで順当な選択をしやすかった。しかし、今年は輸入車のなかにEVに代表されるアジアンカーや、右ハンドルを採用し完成度の高いアメリカ車が投入され、日本車、輸入車に加えて、EV先進国等が加わるなど、混戦模様を極めた。残念ながら私が10ベストに選んだBYDとGMのEVが選から漏れてしまったことで、世界的視点からのカー・オブ・ザ・イヤーとはならなかった半面、配点をすることに対しては少しだけ肩の荷が下りたことも事実。そんななかでのイヤーカー選びだったことで、走りの本質とコンセプトに対していかに達成度が高いか、そして、社会情勢に即しているかなど、従来同様の視点から評価をした。結果、環境性能にしっかりと対応しつつも、メーカーの持つこだわりと、そのクルマが持つ本質への追究をいかに妥協なく極めたかを真摯に見極めフォレスターを選んだ。ストロングハイブリッドを手に入れたことで、これまで燃費性能に厳しい評価が下されていたスバルにとっては千載一遇の巻き返しのチャンスに違いなかった。しかし、一方でスバルには走りに対する熱い想いもある。燃費に特化するのではなく、燃費向上代をフェアに走りの性能へ振り分け、その熱い想いにもしっかりとフィットさせてきた。同クラスのSUVハイブリッドに比較すると燃費性能にやや見劣りするものの、スバルに求めるもの、求められるものは熱い想いに対する付加価値に違いない。ラバーバンドフィールと酷評された先代CVTから大きく進化しレスポンスと力強さを身につけたのがその証左だ。そして、一時は廃止が噂された1.8Lターボモデルではさらに走りを極めており、私の心を掴んだのである。
スズキのEV化戦略の最適解はインド工場における組み立てと現地EVユニット生産協力体制によるものだった。それを日本に投入することで既存ガソリンSUVモデルを価格射程内に捉えて本格投入を試みる。結果、信頼性の高いeアクスルを動力源にFFと4WDモデルをラインナップした走りは、EVならではの滑らかさと駆動制御技術によりSUVの魅力を向上。中でも4WDモデルの走りはスズキ歴代トップ水準。EV最高評価とた。
ストロングHVを採用したことで燃費向上が可能となったが、その機能のすべてを燃料消費削減に使うことなく、ダイレクト感のある加速性能やレスポンス向上も徹底追求。スバルらしい環境エンジンを完成させた。シャシ性能も路面追従性に優れた強靱で繊細なサスペンションの作リ込みにより、スバル伝統の4WDシステムの性能を余すことなく引き出し、街乗りからオフまで幅広くカバー。日本を代表する最新SUVモデルとして評価した
日本を代表する軽自動車メーカーの正統派モデルの本流を貫くムーブがリアにスライドドアを採用。伝統に縛られることなく、市場ニーズに対応する柔軟さがダイハツのお株を上げた。乗り味も軽自動車としての質感を大きく越え、手に触れるもの身体に感じられるもののすべてに雑味がなく、日本車のクルマ作りの良さを実感出来る。コストと質感とのせめぎ合いの中、妥協せずに作り込みを行なった結果が10ベストに残った理由に違い無い
クラウンシリーズの最後を飾る『エステート』はシャシを共有するこれまでの2モデルが持つ、安定性や操縦性、そして、快適性のすべてをさらに高次元でまとめた1台として評価した。特に操舵に対するリアの追従性の良さによる、ライントレース性と安定感の良さは背の高さを感じさせることが無く、上下方向の小さな動きひとつも後に残すことの無いスッキリとした乗り味は実に上質。今後はリアモーターの高出力化に期待したい。
新開発された3-in-1のEVパワーユニットの採用は正に日本を代表するEVメーカーとしての威信をかけたもの。高効率高性能であるばかりではなく、コンパクトにまとめ上げられたことによってパッケージングにも大きな効果を生み、室内空間は従来モデルとは比較にならないほど広々としていて快適。ワンペダル制御やモード切替による異なる乗り味の演出もEV先駆者としてのメリハリのあるものでモーター駆動の可能性を牽引する
グライダーをイメージした乗り味は精度の高い作り込みと、高度にチューニングされたHVシステムによって無音領域から滑らかな走りを生み出すと共に、機動力を活かそうと思えばタイプRをベースにした高いシャシ性能と、高回転をキープする走行モードによって、多彩な運動性能を見せる。ドライブシャフトには左右で太さの異なるものを採用し、トルクステアを徹底的に解消。数々のこだわりを積み重ねた妥協のない乗り味は秀逸である
手応えのしっかりとしたステアリングフィールとハンドリング性能の良さは正にBMW伝統的なもの。サイズが日本の道路環境に相応しいもので有りながら、上級モデル同様の乗り味を味わえる事が輸入車上位評価のポイント。加えて1.5リッター3気筒ガソリンユニット搭載車は切れ味鋭い操縦性や軽快さを、2リッターディーゼルターボやガソリンターボユニット搭載車では重厚さと更なる安定感を持つなど乗り味も多彩な点が魅力である
街中の風景に埋没してしまうコンパクトモデルの中で、力強いフォルムを躊躇無く採用したことによって存在感をアピールし、モーター駆動によるレスポンスの良さによって街中をキビキビと走る機動力を持つ。乗り味や手応え等にまだ粗さは残るものの、都会にピッタリのサイズ感は日常的な使い勝手の良さが光り、走りの良さと扱いやすさに満足度は高い。大きくなりがちなEVモデルの中で、お手頃サイズ感と実用航続距離が好印象である
クリスマスのイルミネーションのようなフロント回りや、ワイドスクリーンで見る立体映像のようなインパネ回りは異次元体験ゾーンの世界だ。それでいながら走りは至極正統派でステアリングの座り感やボディのフラット感、切り込んでいったときのシャシの追従性の良さは一級品。新開発されたSTLA-Mediumプラットホームをいち早く採用した効果は大きく。走りの良さの中にもシットリさを再現。フランス車の真骨頂を見た
伝統のフォルムをモチーフにしていながら、カドをとった伸びのあるデザインと無駄なラインを排したフォルムは近代的先進ワゴンとしての魅力を持つ。駆動力にはモーターを選び、滑らかで伸びのある走りを生み出すことにより、先進性をさらにサポート。リアにマウントされたモーターユニットによって高い駆動力を維持し続け、大きなボディでながらもフロントの軽さによって正確な走りも味わえる。完全無欠な時代先取りミニバンである
歴代の名前を引き継いで進化したモデルもあれば、完全なブランニューモデルもあり、かつての名前を復活させたモデルもある。名称こそ違うが、かつて人気を博したモデルのイメージを受け継いだモデルもある。お客様に喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい、役に立ててもらいたいという思いは共通しながらも、各メーカー、各ブランド、各開発陣が考え、議論し、悩み抜いた末に商品化に至ったことは想像に難くない。各メーカー、インポーターの方々のクルマづくりに懸ける思いを聞くにつれ、「そこまで考えてくれているのか」と感心させられることしきりだった。クルマづくりに対する思いの強さ、深さに優劣はないと感じている。
日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026は、何年か後で振り返ったときに「2025年は○○の年だったね」と振り返るにふさわしいクルマとの基準で選んだ。ホンダ・プレリュードは単に車名が復活しただけでなく、2025年の段階での、そして今後出てくるホンダ車の高い完成度を予見させるような、たくさんの「良さ」が詰まった1台に感じられる。開発陣みんなの気持ちをひとつにまとめる指揮者のような役割を担う開発責任者がいて、それぞれの演奏者(技術者)がオーケストラの目指す音の方向性を理解しつつ、自らのベストを尽くし、「もっと良くしたい」と知恵を絞って開発した。車両運動性能面で定評のあるシビック・タイプRのシャシーに、効率と意のままの走りを高い次元で両立したe:HEVを組み合わせている。プレリュードは、走り始めたとたんに「いいクルマ」だと実感する。そして、走り続けるほどに「もっと走りたい」と思わせる。出力を追い求めるだけがスポーツカー開発の方向性ではないことをプレリュードは教えてくれる。パワーを使い切りながら走ることの、なんと気持ちいいことか。近年まれに見る傑作だ。
初めて電気自動車(BEV)を作ったにしては、と言っては大変失礼だが、よくできている。いまどき高周波音が車室内に侵入するBEVを探すほうが難しいが、徹底的に対策しただけあり極めて静か。4WDを設定したのはスズキの良心。「4WDは必須」と考える人にとってありがたい設定だろう。「初めてBEVを買う人に選んでほしい」とのことだが、静かでスムーズで扱いやすいBEVの特徴がしっかり味わえる1台に仕上がっている
キープコンセプトだった先々代から先代の「顔」から一変、新型フォレスターはフロントマスクを大胆に変えた。表情は大きく変わったのに、ひと目でフォレスターだとわかるポイントを押さえているのはさすが。ターボエンジン車は「スバルのクルマはやっぱりAWD+ターボ」と思わせるたくましさがいいし、新たに加わったストロングハイブリッドのS:HEVは、フォレスターに良好な燃費と上質な走りという新たな価値を加えた。
スイングドアよりもスライドドアが多く選ばれていることに着目し、先代のスイングドアに別れを告げててスライドドアに変更。スーパーハイト系ほど背の高い軽自動車は欲しくない。スタイリッシュであってほしく、オラオラしすぎた顔は欲しくない。便利で快適な装備は、付いている仕様と付いていない仕様を用意してほしい。こうした現代のニーズを上手に汲み取って開発したのが新型ムーヴの印象。ダイハツが旨とする良品廉価の秀作。
クラウン誕生70年の節目の年にクロスオーバー、スポーツ、セダンと合わせて「クラウン群」を完成させるのにふさわしいバリエーション。真骨頂は荷室ユーティリティの高さだが、単に大きな荷室空間を備えているだけでなく、エクステリアもスタイリッシュ。HEV、PHEVとも多人数・多積載でも余裕の走りを披露するが、カタログ値で89kmのEV走行が可能なPHEVは、さらに「アクティブで上質」な走りが味わえる。
プラットフォームは一新しアリアと共通のCMF-EVを使う。先代までトーションビーム式だったリヤサスペンションはマルチリンク式に。パワートレーンも一新して新世代となり、モーター、インバーター、減速機を一体化した構造とした。加減速時に出がちなモーターやギヤ起因の高周波音を徹底的に抑えた。空気抵抗低減を狙った空力とスタイリングが見事に融合して機能美を生んでおり、これも新型リーフの魅力につながっている。
スタイリッシュな2ドアのスポーツクーペを復活させてくれたことに拍手を送りたい。サーキットを攻めるだけが走りの醍醐味ではないことを、このクルマは教えてくれる(もちろんサーキットを攻めても楽しい)。気分の高揚にひと役買っているのが、有段ギヤのような変速感覚と、エンジン音にスピーカーからの調整音を付加するアクティブサウンドコントロール。ドライブモードSPORT選択時かつS+Shift選択時の演出は圧巻。
横置きパワートレーンだけれども、走らせてみるとボディサイズの大きな縦置きパワートレーンのモデルと共通する、しっかり地に足を付けた重厚な乗り味でまとめられているのは、さすがBMWという印象。ただサイズが小さいだけで、BMWはBMW。日本の道路環境で取り回ししやすいコンパクトなサイズなのはありがたい。力強く燃費のいいディーゼル、軽快な3気筒ガソリンターボ、高性能な「M」と多彩なラインアップも魅力。
軽自動車よりも広くて使い勝手が良く、5ナンバー枠に余裕で収まっている(全幅は1610mm)コンパクトなサイズがいい。狭い道での取り回しでありがたみを実感。シートのアレンジは多彩でさまざまな使い方に対応。全長3830mmの短さながら、前後のオーバーハングを切り詰めることで居住空間はたっぷり確保されており、後席も広々。機能や装備はICONIQ 5やコナ譲りで少しもケチっていないところも好感が持てる。
気分が浮き立つデザインだ。エクステリアも印象的だがインテリアはもっと派手で攻めており、それでいてどぎつくない。機能性をおろそかにせず、先進的かつスタイリッシュに見せている。48Vマイルドハイブリッド化した1.2L直列3気筒ターボエンジンと6速DCTの組み合わせは、燃費と走りを両立。エキサイトメントも提供してくれる。デザインに全振りしていそうで、実は真摯にクルマづくりに取り組んでいるのを感じさせる。
ビートルと並んでVWのアイコン的存在だったワーゲンバスのDNAを継承しながら、電動モビリティの時代にふさわしい電気自動車として復活したモデル。使い手を選ぶが、オーナーやその家族だけでなく、周囲を笑顔にするモデル。ID. BuzzはVWの商用車部門が開発・生産を行う初の日本向け正規輸入モデル。数々の難題を乗り越えて日本導入が実現。見かけるだけで楽しくなるクルマを日本に入れてくれたことに感謝したい。
どのモデルも高く評価できるポイントを持っており、順位をつけるのは難しい。トップにしたフォレスターは、顧客のニーズに正確に回答することと、期待値を裏切らない回答をしている点で総合的に高ポイントが多く、25点を入れました。他のモデルもすべて高評価できます。
クルマを購入するとき、「こうだったらいいなぁ」とか「あれがあればいいな」といった期待に対して、「そうだよね」と納得できる回答があるモデルだと感じました。
公道試乗ができないため、総合評価にならない。一方でEVの次の課題としてPUの振動、ノイズ低減課題が出てきますが、すでにそのフェーズに入り、対策をしている点はEVのパイオニアの1台として高い評価ができます。
この時代にクーペを出し、エンジン車のドライブのように感じさせるS+シフトを開発したことは非常に高い評価になり、特定の人向けのプロダクトという点で高く評価しました。
ある意味、フォレスターと対局にあり「これもできるの?」「これもできるんだ」という想像を超える価値提供をしている未来型の最先端だと感じました。
BEV、PHEV、S-HEV、M-HEVと、10ベストカーすべてが電動化されているところに時代の流れを改めて感じました。機構的な進化もそうですが、空力を考慮しつつデザイン的にもバリエーションが増え、またカテゴリー的にもそれぞれの個性が打ち出されて、クルマ好きとしてはまた楽しみが増えそうな、期待感を再び持てるような流れになってきたことが喜ばしいです。今後の新技術や、驚かされるような新デザイン、思わずポンッ!と膝を打ってしまいそうな目の付け所等々、電動化されたからこそできたことが盛り込まれることを、今後も期待し続けたいと思います。
スズキが初めて世に送り出したEVとして、非常に完成度が高いと思いました。後発なので他車を研究しつくしたと伺いましたが、その成果が素晴らしく、いい意味でクセがなく、多くの方がスッと乗れるのではないかと思います。さらに価格設定が、既存のスズキユーザーにも自分事として捉えられるようなものに抑えられていることも、企業努力が伝わってきました。
水平対向エンジンのストロングハイブリッドモデルは、とても完成度が高いと感じました。元々スバル車が持っているバランスの良さと重心の低さといったメリットを、さらに強められたと思います。さらに、4WDモデルで、アイサイトX等の使いやすい安全装備を備え…etcと考えると、コストパフォーマンスの高さが際立ちます。ターボエンジンモデルの性格づけ等々、今後の展開の広がりにも期待したいです。
1995年に初代誕生。ムーヴと言えばコレという定石を、時代の変化をしなやかに捉えた7代目として、ガラリと変えてきた潔さには拍手を送りたいです。その上で、今まで培ってきた技術を総動員して、多くの方が手に取る基幹車種だからこそ、運動性能も高いレベルでバランスが取れているのは、さすがだと言うしかありません。
2mというインパクトの強い数字を持った荷室には驚かされました。クラウンは4系統車種をラインアップしているため、個性に際立たせ方が難しいと思うのですが、車中泊もできてしまう斬新さは、クラウンの歴史にまた新たな足跡を刻んだように思います。PHEVとHEVの性格も作り分けられているので、単に充電できるか否かになっていないところも好ましかったです。
量産型乗用EVのパイオニアとして、EVと言えば皆がリーフと答える時代を経て、3代目となり機構的にも使いやすさがグレードアップしたのを感じました。スピード感のあるコネクティッド機能も、使いやすいと思います。デザイン的にもスタイリッシュさが増しましたし、ドライビング的にもいい意味でクセがなくなりましたが、ライバルが急増しているなか、パイオニアとしての今後の斬新感を楽しみにしたいです。
乗っていてとにかく気持ちイイ!ハイブリッドを巧く生かした、イマドキのスペシャリティカーとしての輝きを感じました。あえての価格設定だとは思うのですが、多くの方が手に届く感じではないので、是非ともこのクルマの次世代モデルを続けていただいて、中古車になった前モデルを若者が楽しむといったような、世代を超えた文化を作っていただくことを強く願います。
既存車種がフルモデルチェンジ化によって、どんどん大型化する中で、全幅1800mmという数値が光って見えました。かつての3シリーズの数値ではありますが、実際このくらいのサイズ感が日常的には使いやすいように思います。2シリーズは、FF、FR、XDrive、多人数乗りと、さまざまなラインアップがありますが、偶数数字のシリーズとして5ドアクーペの中でもスペシャリティさを打ち出しているのはサスガです。
これまでクルマに興味がまったくなかった人も、思わず振り向かせるようなデザイン力の高さ。軽自動車よりは大きいけれど、いわゆるコンパクトカーよりは少し小さいという、日常で使いやすいクルマとして街中に映えますし、またそういったニーズで値ごろ感が高いのはユーザーメリットとしても高いものがあると思います。今後はインスタークロスとの差別化に期待したいです。
百花繚乱のSUV界に対して、また新しいスタイリッシュな価値観を持ち込んでくれたように感じました。i-cockpitは、体格によって評価が変わるのは承知の上ですが、小柄な女性にとっては非常に運転しやすく、スポーティというプジョー全体のコンセプトを上手く表してくれているもののひとつだと思います。
単にフォルクスワーゲンバスへのオマージュというのではなく、デザインでみんなを笑顔にさせてしまう、包み込むようなパワーを感じました。その上で、四角いボディスタイルは、取り回しのしやすさにも貢献していると思います。静粛性も高いので、楽しいおしゃべり空間が生まれそうなことが想像できますし、多人数乗りとしては大正解だと思いました。
エンジン時代から電動化時代への過渡期ということもあってか、昔のような「大物新車」が出にくくなったと、ここ数年感じていた。しかし今年は比較的キャラクターに富んだ「役者」が集まり、デザイン面でも、テクノロジーの面でもバラエティに富んでいるように思う。実力派ぞろいで選考に当たっては苦労した。クルマは楽しいと改めて感じた年だった。
ユーザーの毎日を支える実用的な電気自動車として、まとまりのいいバランスを持つ。デザインに個性が感じられる。質感にも心配りが感じられる。新しいスズキを見せている。
デザインを大胆に変更し、効率と静粛性、快適性に優れたストロングハイブリッド仕様を加えて走りの幅を広げた。さらに安全性に磨きを掛けて、実用車としてバランスよく、真摯な進化を遂げた。
ステーションワゴン冬の時代に登場した実力派。クラウンらしい静粛性と快適性があり、高い日常性を誇りつつ、休日が待ち遠しくなる非日常性も備えた稀有な存在。
日本における電気自動車のパイオニアが「本気」を見せた。新しいBEV専用プラットフォームと、3-in-1構造のEVパワートレインを得て、一段と高い効率と走行性能を実現したところに共感を覚えた。
かつて一世を風靡したビッグネームを復活させるにあたり、社内外にさまざまな議論があったと察する。単なる懐古趣味に陥ることなく、将来につながる前向きな「令和のスペシャリティカー」を提示してみせた。
運転する楽しみはこのクラスで随一。小ぶりなサイズ感もいい。BMWらしいドライビング・ファンがある。エンジンにバリエーションがあり、選ぶ楽しみもある。
まだ日本では選択肢が少ない小型電気自動車のカテゴリーに、実用性だけではなく、デザイン的にもユニークなクルマが登場した。日本のメーカーもうかうかしていられない。
高いデザイン性に一票。内外装とも新しい表現に果敢に取り組み、見事に成就させている。従来型は欧州市場でも非常に成功したと聞く。成功にあぐらをかくのではなく、挑戦していく姿勢はとてもすがすがしい。
自動車という製品における「デザインの力」をいうものを教えてくれた。かつてのフォルクスワーゲン・タイプ2の印象を現代によみがえらせた外観は、ひと目でそれが何であるのかを見るものに悟らせる。楽しい気持ちにさせる。
今回の10BESTはどの車も優秀で順位づけが難しい中、日本の環境にはハイブリッドが最適だと感じた。プレリュードは内燃機を発電中心に用い、基本はモーター走行、高速のみエンジン駆動と“良いとこ取り”の設計で、充電不要で電動走行が楽しめる。ステアリングはシャープながら扱いやすく、回生感も抑えられ、電動車らしさを過度に感じさせない。乗り心地・操舵感・レスポンスの調和が非常に良く、街中を気持ちよく走れる。遊び心あるギミックも備え、デザイン・走り・利便性すべてに魅力が詰まった、運転が心から楽しい一台。
スズキ初の量産EVとして登場したSUVモデルは、競合他社と比較しても手の届きやすい価格設定が大きな魅力だ。
走りのフィーリングは非常に素直で、特にクセのないごく自然な乗り味に仕上がっている。
水平対向エンジンとシンメトリカルAWDによる高い安定性が魅力の実直なSUV。
視界が広く使い勝手も良い。派手さはないが、自動運転支援を含む安全性と長距離での疲れにくさが光る、質実剛健な一台だ。
正直、すごく素晴らしい車だと思う。走りは軽快で気持ちよく、欲しい装備はほとんど揃っている。
車内空間も広々としていて使い勝手が良く、乗り心地もまったく問題ない。
総合的に見ても、満足度の高い一台と言える。
PHEVとHEVの2タイプがあり、それぞれ魅力がある。PHEVは重さが低重心化に寄与し、安定した接地感を実現。自然なリアステアで気持ちよく曲がり、ハイブリッド特性で低速から十分なトルクを発揮する。乗り心地や快適性、積載性も高く、ユーティリティも優秀。
メーカーの言う「スッ」と出るフィーリングがあり、発進がとてもスムーズ。
モーターの振動が少なく静粛性が高いため、快適な乗り心地。
自動運転機能も進化しており、ビークルとして総合的に優秀。
大きく尖った特徴はないが、欠点が少ないこと自体が特徴ともいえる。
この車は、乗り味・乗り心地・利便性のバランスが非常に良く、街中を走るだけで気持ちよさと楽しさを感じられる。内燃機関とモーター双方の長所が生かされており、張りのある前向きな運転ができるため、気分も運気も上向く。乗っているだけで活力が湧き、若返ったような感覚さえ得られる。
ガソリン車・ディーゼル車など 3タイプが用意されており、どれも魅力的。
車の味付けは 運転の楽しさを重視しており、加速やコーナリングで高揚感が味わえる。
エンジンフィールやサスペンションフィールを意図的に感じられる設定になっていて、昔からの車好きに好まれそうなキャラクター。
以前は弱かった ブレーキの初期タッチが改善され、踏み始めからしっかり反応するようになった。
プジョー3008は、独創的な外装デザインが強い存在感を放つ一台。
車内はコックピットを思わせるレイアウトで、乗り手に高揚感をもたらす。
走りそのものはクセがなく自然で、日常域での扱いやすさが際立っている。
旧ワーゲンバスの魅力を受け継ぎつつ、新しい価値を持つモデル。
モーター化により、重い車体でも力強くスムーズに加速する。
後部座席のアレンジ性が高く、バンとしての実用性(ユーティリティ)が優秀。
全体として、ことしは新型車の「豊作」の年だったと感じる。国内メーカーが多くの魅力的な新型車を投入しただけでなく、輸入車メーカーも注目される新型車を多く発売し、10ベストカーに絞り込む段階で、泣く泣く候補から落とした車種も一つや二つではない。残った10ベストカーの中で何をカー・オブ・ザ・イヤーに選ぶかも非常に迷ったが、最終的に、クルマとしての完成度に加え、初採用の技術を多く搭載し、さらに遅れていると言われる国内の電動化の起爆剤となりうる魅力的なモデルとして今回は日産の「リーフ」を選んだ。
スズキの初めての量産EV「eビターラ」がインドで生産され、世界に輸出されると聞いてその経営判断に驚いた。新技術はまず日本で立ち上げるのがこれまで常識だったからだ。そのeビターラに試乗して、質感の高い室内や、剛性感の高い走りなど、完成度の高さにまた驚いた。ただ、モーターや電池、デジタルコックピットなどの主要部品はまだ「手の内化」されておらず、価格に「スズキらしさ」がない点は今後に期待したい。
SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用した商品も二巡目となり、車体の剛性感や足回りの完成度、さらには4輪駆動システムの制御に至るまで、先代からさらにブラッシュアップされている。トヨタの技術協力を得たストロングハイブリッドの採用で、弱点とされていた燃費も大幅に改善された。ただ、米国市場を意識したと思われる外観デザインは、要素を詰め込み過ぎた印象で、スバル車の良さが損なわれた感がある。
認証不正の影響でダイハツ工業にとって約3年ぶりの新型車となった「ムーヴ」。売れ筋グレードで約150万円という低価格をキープしながら、使い勝手のよいスライドドアを採用するなど、新たな試みも盛り込んだ。試乗してみると、まさに必要にして十分な機能・性能を備えている。ただ、認証不正の影響で発売が約2年遅れたこともあり、他社の最新軽自動車に比べると、外観デザインや内装にはやや古さを感じる。
今回の「エステート」の登場で、新世代「クラウン」シリーズが完結した。最初のモデルである「クロスオーバー」が登場したときには、内装の質感などで物足りない点もあったが、迅速に改良を進めたのはいかにもトヨタらしい手堅さを感じた。エステートは最後のモデルだけあって、走らせた印象はセダンを除けば最も「クラウンらしい」と感じさせる仕上がりとなっている。ただ、最新モデルとして見れば新味に乏しいのも事実だ。
先代と同等の室内スペースを確保しながら全長を短縮したパッケージ、モダンで洗練された内外装デザイン、最新の3-in-1パワートレーン、航続距離を延長しながら先代並みに抑えられた価格など、海外の最新車種と比肩できる国産EVがようやく誕生したという感が強い。今後、バッテリー容量を抑えた仕様が追加されれば、補助金込みで300万円台の実質価格が期待でき、国内でのEV普及に貢献するだろう。
電動化時代のスポーツモデルはどうあるべきか、一つのモデルを提示した。パワートレーンは既存のe:HEVシステムだが、新開発の「S+Shift」を組み合わせることで、運転中の高揚感を大幅に高めることに成功した。もちろん、高剛性のステアリングや、路面に合わせて特性を変える足回り、それに剛性としなやかさを兼ね備えた車体といったハードウエアの進化も貢献している。ただし、ややぼってりした外観デザインは残念だ。
このところのBMWは新世代EV「ノイエ・クラッセ」に経営資源を傾けているため、この2シリーズは全面改良とはいえ、実質的には先代のビッグマイナーチェンジ版である。しかし走らせてみると、その軽快なハンドリングはこのクルマが前輪駆動であることを忘れさせ、まごうことなきBMWであることを伝えてくる。BMW車のサイズが大型化する中で、2シリーズは国内の道路事情に最もマッチするモデルだといえるだろう
ヒョンデのクルマの魅力はドイツ車を模範としたクルマづくりの中に、日本車的な気配りが共存している点にある。インスターもその例に漏れず、国内のEVで最も低価格(軽EVを除く)にもかかわらずがっちりしたドアハンドルや硬めの足回りを備える一方、右左折時に後方の映像をメーター内に映す機能を備えるなど、独特の魅力がある。ただ、内外装の質感がやや物足りないのと、路面によっては強い突き上げがあるのが気になった。
グリルレスでスリークな最新の中国製EVに比べて、このところ日米欧のクルマは古臭く見えることが多かった。新型3008はグリルを備えたエンジン車であっても新鮮な外観デザインを創造できることを示した。加えて湾曲した大型ディスプレイが浮かんでいるようなデザインの「パノラマi-Cockpit」を採用した内装も魅力的だ。もちろん、新開発プラットフォームとマイルドハイブリッドを組み合わせた走りも高水準である。
伝説的な「ワーゲンバス」を現在に蘇らせた「ID.Buzz」ほど街なかを走らせていて周囲の注目を集めた車種は最近では記憶がない。EVならではの重心の低さや、モータートルクの大きさで、車体サイズや車重を感じさせない軽快な走りを見せるのも大きな魅力だ。半面、室内デザインが外観ほどは魅力的ではない点や、900万〜1000万円という価格が割高感を感じさせる点は残念だ。
日本車、輸入車、ICE車、EVとバラエティに富んだ10台が残ったので、順位づけにも大いに迷ったが、自分の直感を大事にして投票させてもらった。クルマはまだまだ新しい挑戦ができると感じさせてくれたのは大いなる収穫。これからもクルマ好きやクルマが必要な人の役に立ちながら楽しませて欲しい。
ストロングハイブリッドを搭載し、新しいフォレスター像を示してくれたが、パワーユニット以外に新しさを感じにくかった。今後の思い切った新展開に期待したい。
日本車のメインカテゴリーとも言える軽ハイトワゴンの中で、一定以上の実力があることは確かだが、競合車を完全に追い抜く魅力があるかというと、少々物足りない面があった。
現行型クラウンは改革に成功した。クロスオーバーの登場から数年が経ち、やや新鮮味は薄れていた感はあったが、エステートの登場でまた魅力を再確認。車中泊もできるパッケージの良さも高く評価した。
日本のEVのリーダーとして、最新型もバッテリーの温度管理に高い技術力を発揮するなど存在感を示した。ただ、やや優等生すぎるような印象もあり、この順位となった。
近年少なくなってきたスペシャルティクーペのカテゴリーに再挑戦してくれたことを高く評価。また、単なるノスタルジーでなく、最新のハイブリッド技術を投入し、環境性能と走りの楽しさを両立しているのも素晴らしい。
BMWは乗るたびに「BMWらしさ」を感じるが、このクルマは、よくできていることは当然ながら、それ以上の「感動」のようなものは得にくかった。走りの良さは間違いないが、その先の魅力を感じたかった。
近年、クルマのサイズがどんどん大きくなって、困っているユーザーも多いと思うが、インスターは手頃なサイズで個性と楽しさを存分に発揮しているところを高く評価したい。
新世代のプジョーを示してくれた。一方で従来のプジョーらしさが薄れていて少し寂しい気持ちにもなったが、これからまた新たな個性を作り上げてくれることを期待したい。
日本のミニバンでは真似できない圧倒的な個性と楽しさを発揮している。EVなのにファンタジーなクルマに仕上げたVW の実力の高さを評価。ただ、日本で乗るにはサイズが大きすぎて、この順位に。
10ベスト中9台が電動車(フォレスターと2シリーズ グランクーペはガソリンエンジンも設定)で、そのうち4台はBEV。電動化時代を見据えた商品が出揃ったなかからのイヤーカー選出となった。現在、BEV市場は世界的に減速モードに入っているものの、BEVの商品自体は最新世代の登場で一充電走行距離や充電性能が確実に向上している。充電のインフラ整備については自動車メーカーの努力だけでは進まないが、クルマの性能については各車がBEVを求めるユーザーの期待をほぼ満足させる実力を備えると言っていい。一方、電動化の当面の現実策として魅力が再認識されているHVも続々登場。イヤーカーの有力候補に挙げられるフォレスターとプレリュードは、ともにストロングタイプのHVだ。しかし、開発コンセプトもメカニズムも対照的。それだけに両車は比較が難しく、どちらが上をいく結果になってもおかしくない商品の魅力を備えている。また、今年はHVが欧州勢にいっそう拡大した点もトピック。そして、日本の軽自動車も時代とともに実力を高めている。
スズキにとって懸案だった同社初のBEV。トヨタと基本コンポーネンツを共用することもあり、すべてが初モノとは思えないレベルでまとめられている。デザインはスズキらしくユニーク、パッケージはBセグメントSUVとして模範的。走りの基本性能も高い。ただ、公道試乗の機会がまだないものの、パワーユニットやハンドリングの特性は非常に無難な味付けで、デビュー当初のbZ4Xを思い起こさせる。BEVの進化は速い。
デザインや価格を含めトータルバランスがもっとも優れ、かつ高いレベルで達成されたSUV。グローバル商品でありながら企画・開発には日本市場にしっかり軸足が置かれている。サイクリスト対応歩行者保護エアバッグの採用も高く評価できる。ストロングHVがスバル独自のシステムなら申し分ないが、この技術供与が総合的な評価を下げる理由にはならない。ミッドサイズSUVの新定番として年齢や性別を問わずお薦めできる。
スライドドア採用で軽乗用車のハイトワゴンに新しい商品価値を提案。子育て世代の主なニーズがスーパーハイトワゴンに移行し、ムーヴのメインターゲットを「いいモノの価値がわかる子離れ世代」とした戦略も秀逸だ。基本メカニズムはムーヴキャンバスと共通だが、シャシーは熟成。走りの基本性能と乗り心地の好バランスは「スーパー」ほど背が高くないメリットも活きている。先進運転支援装備には目立った進化が見られず残念。
「第4のクラウン」は、ステーションワゴンとクロスオーバーしたSUVスタイルと、クラウンシリーズでも実績のある高水準の走行性能が魅力。他メーカー車なら注目される電動パワートレーンがあまり話題にならないのは、ストロングHVやPHEVが当たり前であるトヨタの凄いところであり、それゆえ不運なところでもある。荷室には使い勝手を高める興味深い提案も見られるが、もっと車格にふさわしい造り込みが欲しかった。
量産型BEVのパイオニアとして、BEVの普及に資する手頃なコンパクトハッチを最新技術で提案。公道で試す機会はまだないが、航続距離の短さ、充電時間の長さというBEVに対するユーザーの不安・不満はかなりのレベルまで解消されているだろう。また、新開発モーターの滑らかさと静粛性は出色。それは走りの気持ちよさにもつながっている。一方、クルマ全体としては家電のような感覚もあり、クルマ本来の味わいは今一つ。
電動化の新時代を迎える「前奏曲」として華麗なる復活を遂げた。e:HEVはホンダS+シフトの新搭載によって、HVパワーユニットにおける走りの多彩な個性と、従来と次元の異なる新たな官能性を実現している。シビック タイプRというアセットを上質なスペシャルティスポーツに仕立てたシャシーも見事。ただ、税込み600万円超という価格を考えると、デザインや内外装の質感、装備の点で納得しきれない部分が残る。
2シリーズは体系が複雑でわかりにくいこともあり、同グランクーペはBMWのなかでもどちらかと言えば目立たない存在だ。しかし、大型化した3シリーズなどに比べ、全長が5ナンバーに収まるボディは日本でも使い勝手がいい。ただ、後席の頭上高が若干不足気味な点は、やはりクーペ。プラットフォームをはじめとするメカニズムは1シリーズと共用で非常に手堅くまとめられ、BMWの走り味を存分に堪能できる。価格設定も魅力。
Aセグメントの低価格BEVだが、走りの実力は侮れないどころか相当なものだ。設定の自由度が高く操作しやすい回生制御はヒョンデの上級車と基本的に共通。ここまでの回生機能を搭載するBEVは世界的にも少ない。一充電走行距離は400㎞を優に超え、上級グレードにはシートベンチレーションまで標準装備するなど、コスパも高い。シャシーの日本専用チューンも的を射る。実店舗がない点とブランドイメージについては不透明。
斬新なデザインに脱帽。ファストバックSUVのスタイリングもさることながら、ダイナミックかつ未来的なi-コックピットには清々しい“やりきった感”さえある。1.6ℓマイルドHVのパワーユニットはほかのステランティスグループの搭載車と同じ。ただ、3008はボディサイズや車重が上回る分、加速のスポーツ性がいくぶん犠牲になっている。シャシーの個性がフィアットやアルファなどと明らかに違う点はさすが。
リヤエンジン・リヤドライブの「ワーゲンバス」をモチーフするスタイリングを現在のミニバンと同等以上のパッケージで実現するには、BEVの採用は必然だった。そして、ID.BUZZは指名買いしたくなるデザインだけでなく、動的性能についても完成度が非常に高い。ミニバンとしてキャビンやシートなどに日本車勢のような使い勝手は求められず、普及型ミニバンとも言いづらいが、BEVの新たな可能性を見事に具現化した。
今回の10ベスト車はBEV、PHV、HV、ICEと全てのパワートレインが出揃い、どの車も個性的で魅力があった。その中から最も高い点を配したのはフォレスターで、ユーザーが最も受け入れ易く、安心して走れる完成度と走行安定性、実用性、コストバリューを備えていることを重視した。フォレスターS:HEVは先進性を追うのではなく、実直な車作りとユーザーニーズを見事に捉え、現代のニーズに見事にマッチしたものとした。真に使い勝手がよく、安心して付き合っていける車として、本年を代表する価値ある車であったと言える。
外観デザインは欧州テイストで好感が持てる。室内の作りも質感が高い。このサイズでFFだけでなくAWDがラインアップされたのは降雪地、山岳地ユーザーにとって朗報となる。旋回加速時の前後モーター駆動配分制御にはさらなる改善を期待している。
スバリストのみならず、スバルの走行性に魅力を感じつつも燃費性能で一歩近づけなかった多くのユーザーにとって待望のストロングハイブリッド車として登場したフォレスター。キャビンの広さ、荷室容量、走行バランスと全てが満足できるパッケージに仕上げられた。SUV+電動化+AWDの走行性能+実用性とスバル車の歴史的にも最高の仕上がりになったと讃えられる。
全高1655ミリのハイトワゴンに両側電動スライドドアを装備したムーヴは新カテゴリーを創出したと言える。ただ、スーパーハイトに比べると後席乗降時に頭を下げる必要があり、エクステリアデザインも少し無理な造形を感じる部分があった。ただ燃費は実走行でも20km/lを引き出せ、最新軽自動車の経済性の高さに感心させられる。
AWDの走行性能、PHVの環境性能と実用性、セダンを超えるゆとりあるキャビンにエステート本来の使い勝手の良さ。クラウンを象徴するパッケージングで、4輪駆動制御や後輪操舵など走りの実力も磨き上げられている。質感の高いPHV、軽快な走りのHV。それぞれに魅力があった。
BEV(電気自動車)として世界で初めて3代目にまで進化したリーフ。スタイリングが刷新され、走行性能も、バッテリーマネージメントも高度な進化を果たし、最大約700kmに及ぶ航続距離で存在価値を高めている。あとはAWDモデルが用意されるべきだろう。
初代から試乗記を書いてきた思い入れのあるプレリュード復活は今年の嬉しいトピックスとなった。シビック・TYPE Rの足回りを移植され、サーキットでの操縦安定性は抜群でS+Shiftも、シフトプログラムも高度に仕上がった。しかし、サーキットでは絶対的なパワー不足、一般道の速度域ではS+Shiftの真価を引き出せない。シビック・TYPE Rのエンジンも移植されれば文句無しなのだが。
M235の動力性能は強力で、BMWらしい質感が高く硬質な乗り味が継承されている。一般道を普通に走っているだけでも限界性能の高さやハンドリングバランスの良さを実感し得る点も素晴らしい。一般的なグレードでは剛性感や質感に乏しい部分が感じられたのはマイナスポイントとなった。
遊び心満載のBEV(電気自動車)として登場したインスターは国内ユーザーに大きな関心を呼び起こせたのか。自身の動画サイトの反応を見ると、感心はそれほど高くなかった。走行性能面ではブリーキング時のアンチバイブ強度と旋回時のアンチロールがジャッキアップ力として内輪を持ち上げ、高速旋回は得意ではない。このキャラクターならAWDが必須だろう。
内外デザイン、スタイリングが最高で、質感が高くネコ脚独特の乗り味が魅力だ。FFであるのが残念だが、今後AWDの追加も期待できる。新世代のプラットフォームやパワートレインは発展性に富み、すでに高い完成度を示している。
BEV(電気自動車)のミニバンとして正しい立ち位置を確立していると言える。ショートボディでセカンドシートがセパレートのモデルはウォークスルーが可能で実用的。ロングボディでセカンドシートがベンチシートタイプでは後席のサポート性が悪く、乗員姿勢が落ち着かない。旧車をオマージュしているが、新しいカタチを提案しているのは確かで、これからの進化が楽しみである。
ツブ揃いの年だった。まずは10ベストを選ぶことさえ難しかったのだから、袖ヶ浦に集結したモデルたちはひと通り”専門家のお墨付き”、すべてオススメモデルであると言っていい(裏を返せばそれ以外にも良いクルマは何台かあったので、シャドウCOTYも見せたいくらいだ)。
個人的には最後までプレリュード、フォレスター、クラウンエステートで悩んだが、元来の”最小ドア枚数”好きが、街中から専用道、ワインディング、そしてミニサーキットでと、最も気分良くドライブできたモデルということでプレリュードを1位に据えた。還暦を迎えた老夫婦が旅先で、例えば北海道の空港から支笏湖を目指して走り出すようなシチュエーションにピッタリな一台だと思う。
2位と3位はほとんど差がなかった。パワートレーンの違いによってモデルの個性が変わってしまうという点でもほとんど同じ評価のクラウンエステートとフォレスターだったが、モデルとしての個性を持ちうるパワートレーンでより強く表現したクラウンを2位とした。
フォレスターはデザインとストロングハイブリッドという2つの強力な魅力を得てスバルの主役モデルとなったが、肝心のストロングハイブリッドにスバル味がさほどなく、それでいて燃費も驚くほど良いとはいえない(スバリストはそう思わないかもしれないが!)点が最後まで引っかかった。加えてインテリアデザインの野放図さも気になった点だ。
トップ3を日本車が占める。私にとっては近年ないことだったが、それだけ魅力的な国産車が増えているということだろう。加えて有名どころの輸入ブランドがグローバル(もしくは巨大)市場を意識するあまり、日本人にとって「なんとしてでも欲しい」と思わせる力を失いつつあるようにも思う。走りはともかくデザイン面での迷いが顕著だ。来年以降、輸入ブランドの巻き返しに是非とも期待したい。
リーフ同様、一般道テストが不可ということで評価の難しかった一台。特に実用BEVの場合、リアルなタウンユースでの走りのディテールが最も大事で、それはテストコースやサーキットでは残念ながら判断つきかねる。FFと4WDがあって、サーキットでの乗り味だけでいえば後者の方が圧倒的に良かった。(良い意味で)スズキらしからぬデザインという魅力もあっただけに、かえすがえすも一般道での試乗の叶わなかったことが残念。
スバル車のイメージを大胆に変えたマスクデザインが魅力、だけじゃない。サイズ、性能、機能、全てにちょうどいいファミリィSUVとして一躍ブランドの主役に躍り出た。ターボモデルにはスバルらしい軽快な走りもちゃんと残されている。一方のストロングハイブリッドモデルはスバル味が薄くなったが、落ち着いた乗り味はむしろファミリィカーとして好都合か。スバルファン以外からも評価される一台になる。今後の展開にも期待。
世界でも最も激しい競争市場である日本の軽カーカテゴリー。それゆえニューモデルはいずれも完成度が高い。スーパーハイト系がその主流にあってハイトワゴンの先駆と言うべきムーヴがスライドドアを採用し、あまつさえしっとりとした乗用車らしい乗り味を実現したことの意味は大きかった。個人的にはRS(ターボグレード)の日常域におけるアシの動きに感心した。高騰ばかり目のつく昨今、価格を抑えたラインナップにも好印象。
実をいうとFF系クラウンシリーズの中ではSUVのスポーツが最も好みなのだが、PHEVグレード限定でクラウンエステートも最新世代における一つの完成形であると考える。理想的なステーションワゴンデザインとは思い難かったのだが、よくできたグランツアラーとして新たな形の提案だと受け止めることもできる。(エステートに限らず)パワートレーンの違いでクルマのキャラクターが大きく変わる点は是非の分かれるところか。
デザインも乗り味もまるでミニアリア。バッテリーの制御や温度管理といったBEVの最重要項目をみっちり仕上げてきた感と、新たな領域に挑戦する内外デザインに好感を持った。それゆえ願わくば公道試乗でその実力の程を確かめてみたかった。一般道で試せない実用車の評価は、他のモデルとの常用域比較が難しく評価を抑え気味にせざるを得ない。そういう意味ではスペック的にもポテンシャルの高いモデルだっただけに残念だった。
2(3)ドアクーペを数十台乗り継いできた者からすると、当初からそのスタイリングには不満があったものの、実際に乗ってみれば実に”爽やかな”ドライブフィールの持ち主で、ドライブするうちに不恰好なスタイルも個性だと思えるようになった。タイプRのような汗臭さがまるでなく、還暦を迎えたクルマ好きの期待にむしろ大いに応えてくれるモデルだと思うように。とにかく日常域と非日常域の繋ぎ方が上手いクルマだと思う。
間違いなく袖ヶ浦フォレストレースウェイでは最も楽しかった一台。BMWはこの世代でFFを”らしく”走らせることに成功した。動的な質感の高さはこのクラスのFF車のなかでも群を抜いている。ディーゼルとガソリンの両パワートレーンも、新しさこそないけれど、安定のパフォーマンスを発揮する。惜しむらくはデザイン重視の4ドアクーペスタイルを採用するにあたって、このサイズ内での表現には限界のあったことだろうか。
ポップなデザインセンスが光っている。普段使いのクラスだからこそ必要十分な性能とデザインの個性でパートナー感を演出するあたり、よくできたBEVだ。なかでもクロスの遊び心あるアクティヴ感覚は本来、日本メーカーが得意としてきたところだけに”やられた”感さえあった。日本人の好みなども入念にリサーチされているが、常用域での乗り心地にやや難があった。これが改善されればさらに日本ウケするモデルになると思う。
とにかくインテリアデザインに度肝を抜かれた。近年、座った瞬間にこれほど驚いたロードカーは、超高額のハイパーカーを含めてもなかった。しかも使い勝手は悪くない。決してデザイン優先ではないのだ。対してエクステリアデザインは顔つきで程よく目立たせるという手法で、独善的でないのもプジョーらしさか。フル電動モデルが間に合わなかったのは残念だったが、MHEVながら電動走行も可能というハイブリッド仕様も悪くない。
流行りのレトロモダンに陥ることなく、それでいてヘリテージを感じさせながら今風でもある。絶妙なデザインセンスでまとめ上げた。試乗中も声をかけられることしきり。スーパーカーよりも注目度は高い。ロングが人気というが乗り味的には圧倒的にショートが良かった。ミニバン先進国である日本市場において、積極的なオルタナティヴになることはないが、そこは輸入車らしく特定のこだわり層にウケるだろう。育ててもらいたい。
「価格に対する感動や驚きはあるか?」「その価格を出してどれだけ幸せになれるか?」これらを主軸として選考させていただきました。これらの主軸をベースに次いで動的質感や走行性能を加味してきましたが、そういった総合評価の中でフォレスターは個別コメントにも書いたように新規ファンや既存ファン、多くの人が嬉しい進化をしながら実質的な値上げ幅が少ないことが最も高い点数を投票させていただく理由となりました。
ムーヴも同じく、軽自動車ユーザーに寄り添った厳選した装備内容で価格を抑えながら、電動スライドドアをリーズナブルに提供できたことが高評価のポイントです。 プレリュードに関しては価格だけを見てしまうと割高感がありましたが、実際に乗ってみるとこれまでになかった新しい世界観をしっかりと創造していて、その金額を出すだけの価値があると感じられるモデルでした。
総評ということで、1台1台を振り返ると長くなってしまいますが、思えば10ベスト車の選考からとても悩んだのを覚えています。悩んだ時に国産車、インポートカーと入り混じる中で「日本のユーザーがその価格を出すときに幸せなれるか?」と今一度考え直して選考させていただきました。立ち止まって考えなおし、投票上位とさせて頂いたのがインスターです。動的質感で若干気になる点はありましたが、個別コメントにも書いたようにコンパクトなサイズとV2H・V2Lの装備が「日本」カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員として評価したいと思わせてくれたポイントでした。
冒頭でお伝えさせて頂いた選考基準で考えると価格はもちろん、質感や走行性能、世界観、そして日本ユーザーが望むであろう装備を有しているか否か、といった部分もかなり重要でした。これらの要素を総合評価させて頂き、投票いたしました。
BEV後発のスズキがしっかりと準備をして商品コンセプトを作り上げてきたのを感じた1台です。ただ、初のBEVモデルであるため、ステアリングの重さをはじめとした、重たいクルマへの細かな部分の煮詰めで気になるポイントがありました。また価格設定も難しい部分があったと思いますが、インスターやリーフの存在を考えると購入検討者目線では割高感を感じてしまいました。
ストロングハイブリッドは燃費にも貢献していますが、モーター駆動によるオフロードでのトラクション性能などフォレスターらしいタフな性能向上にも影響しているのが好印象。また価格は高くなりましたが、各種標準装備化が進み実質的な値上がり幅は小さい。低燃費かつオフロード性能も高く、装備が充実したモデルが400万円台前半から狙えること、そして何よりこのモデルが売れてスバルが活気づいていることが素晴らしいです。
現代の軽自動車として市場が欲しいと思う要素をキッチリと詰め込みながら、軽自動車らしい価格で登場したのが嬉しいポイント。最量販グレードとして狙ったXは、電動スライドドアを装備しながら150万円を切る価格設定となっていて、厳選された装備内容を見てみると軽自動車ユーザーの実態をしっかりと考えているのが読み取れます。ユーザーに寄り添ったクルマ造りを絶賛したいと感じました。
これまでの日本車にはなかったような新たな移動の世界観を提案してくれた1台。実際に運転してみると不思議と「まったりと行こう」と思わせてくれる乗り味となっていて、今年一番リラックスする車内空間だと感じたモデルでした。価格帯を考えればエンジンサウンドの主張をはじめ、静粛性で気になる部分はありますが、落ち着きのある上質な移動体験を提供してくれるのは間違いありません。
電気自動車(BEV)メーカーの先駆者として、多くの人に勧めやすいBEVを目指した1台。特にバッテリー管理に関してはBEVを実際に日常生活で利用することを理解したものになっているのが見事です。価格もBEVとしての性能を考えるとリーズナブルな設定なのも絶賛したい点。残念ながら今回は公道試乗が叶いませんでしたが、公道でBEVとしての使い勝手が実感できれば、より投票上位とさせて頂いたかもしれません。
電動化時代でも運転の楽しいクルマを…そんな思いが感じられて、それに共感できる1台です。この時代に「速さではない」2ドアクーペを登場させ、新しい世界観を創造したことは素晴らしいと思いました。今回プレリュードで初採用され、今後ホンダのハイブリッド車に広がっていくという「Honda S+ Shift」は、これからの時代にホンダファンが増えていくのではないか…そう思える乗り味を実現しています。
ずば抜けたインパクトはないものの、実直にクルマを煮詰めてきていると感じさせるモデルでした。FFらしからぬハンドリングフィールは公道でもドライバーが楽しいと思えるものでしたし、クラスを超える質感もよく、3種のパワーユニットも各々の需要に応えられる素晴らしい完成度です。ただ、クラスを考えると少し価格に割高感を思うところがありました。
日本の道路環境でも運転しやすいサイズ、V2H・V2Lの装備、コンパクトながら優れた航続距離、充実した運転支援システム、こういった優れたポイントをいくつも持ちながらリーズナブルな価格を実現しているのが好印象を抱いたポイントです。なによりサイズとV2H・V2Lの装備は「日本」カー・オブ・ザ・イヤーとして評価したいと感じました。
市場から高くデザインが評価されている1台であり、「多くの人がクルマを買う理由にデザインを挙げる」というのを再認識させられたモデルでした。エクステリアデザインはもちろんですが、インテリアの独創的な世界観は個人的に惚れ惚れして好印象を持ったのを覚えています。ただ、車格と価格帯を考えるとパワーユニットと動的質感に不足感を思ってしまいました。
VWにとってブランドの顔となる存在になっている点は称賛したいです。クルマそのものはスライドドアMPVとは思えない高い走行性能が好印象。特に中高速コーナーでの安心感と安定感はこの車形随一。ただ、日本市場での評価を考えるとV2H・V2Lに対応していないのはウィークポイントと感じました。難しいのは理解していますが、アジア系インポーターが対応していることを考えると、欧州勢にも頑張ってほしい点です。
今回の日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、走りで圧倒的な優位に立つモデルがなかったように感じています。技術的にも、ポルシェのT-Hybridやステランティスの各ブランドとアウディから投入されたモーターで走れるマイルドHVなど、注目できるシステムが日本メーカーからは投入されませんでした。
ただ、エクステリアやインテリアのデザインと質感では日本車の位置づけが復権しつつあるように思います。ホンダのプレリュードや日産のリーフがその好例です。10ベストには残りませんでしたが、日産のルークスは軽自動車では群を抜くレベルの達しているのではないでしょうか。
スズキ初の量産BEVとして誕生したにもかかわらず、いきなりの完成度の高さに驚きました。2700mmというBセグメントでは比類なきホイールベースの長さがもたらす、極めて効率が高いパッケージングにも好印象を抱いています。ただ、サーキットでの試乗しかできていないのでタイヤノイズの抑制や乗り心地など走りの質感とかかわる評価ができませんでした。
際立つ特長はないのですが、総合的な完成度の高さを評価し1位に選出しました。ロードノイズなどの抑制による優れた静粛性と高剛性ボディによる快適な乗り心地がもたらす走りの上質感は、かつてのスバル車では実現できていないレベルに達しています。
軽ハイトワゴンとしてスライドドアを採用したことで、使い勝手は向上しています。ただ、それ以外には特長が見出しにくいと思います。インテリアのデザインや質感も、競合メーカーを超えていないのではないでしょうか。
一連のクラウンでは最後発となるだけに、走りの洗練度に磨きをかけています。特に、タイヤノイズの抑制が効いていそうです。ただ、PHEV仕様の場合はHVモードで走行するとエンジンの出番がわりと多め。その際に、こもり音を発することが気になります。また、路面にもよりますがボディは微妙に縦横に揺れことがあり落ち着きません。
従来型と比べて全てにおいて大幅な進化を遂げていることを評価しました。デザインの洗練度やインテリアの上質感は、Cセグメントでは世界最高レベルに達しています。走りの質感も同様で、優れた静粛性はBEVの素質を引き立てています。モーターの制御も最適化され、力強さの立ち上がりは滑らかさを重視していることも好印象。B7 Xで702kmに達する一充電走行距離の長さも注目です。
デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーの1位に選出した通り、エクステリアとインテリアの洗練度は世界に誇れるレベルに達しています。価格設定はかなり強気ですが、市場はスペシャルティクーペとしての価値を見出しているのではないでしょうか。ただ、いくら何でもタイヤが発するノイズの抑制が不十分です。この点が対策されていれば、より高い評価になったと思います。
進化版のプラットフォームを採用して誕生した1シリーズの派生モデルですが、走りの洗練度が向上しています。特に、ステアリングに切り始めにわずかに認められたフリクション感を改善。操作に対する応答性の正確さが一段と際立ち、BMWにふさわしい操縦性を獲得しています。
韓国の最小カテゴリーである軽車に属しているモデルから派生。にもかかわらず、BEVで課題になりがちなエンジン音でマスキングができないことによるタイヤノイズを十分な対策により抑制していることを公道試乗で確認しています。ステアリングの切れ味の滑らかさからも、走りの質感に対する志の高さが伺えます。
モーター走行が可能なマイルドハイブリッドを採用していることを評価しました。走行条件は限定的ですが、電動化の新たなシステムとして注目できます。さらに、エクステリアとインテリアのデザインが個性的で洗練度が高いことにも好印象を抱きました。
モーターの制御は、走りの滑らかさを重視する設定になっています。乗り心地の快適さも、好印象につながります。ただ、価格に対してインテリアの仕立てで満足感が得ていません。床が高く乗降性の妨げになることは、ミニバンとしては致命的ではないでしょうか。
革新的な走りがあるか否かを中心にクルマを見ているのだが、その中で特に心に刺さったのが今年はプレリュードだった。シビック・タイプR譲りのシャシーを公道に合わせると、これほどまでに贅沢な乗り味になるのかと感心した。それだけでなく、ハイブリッド化に伴いリアの低い位置にバッテリーを備えたことも効いているのだろう。FFながらもアジャイルハンドリングアシストなどを使い、安定しながら爽快なハンドリングマシンに仕立てたところが驚きだ。またS+Shiftなどの新たなる試みも本当に楽しめる。公道をそれほどペースを上げずに走って楽しい、そんなところが魅力的だ。それ以外のクルマについては個別のコメントをご覧いただきたい。
近年、どのクルマを選んだとしても良いクルマばかり……、なんて話をたまに耳にすることがある。たしかにそれも一理あるとは思うが、実のところはそう単純じゃないと思える事象が再び多くなってきているように感じる。
航続可能距離、燃費、グランドクリアランスなど、あらゆる数値が売りになる昨今。それを追い求めるがためにどこかに無理がかかっていることがある。性能が出なければ最後はタイヤに頼めとばかりに、転がり抵抗、通過騒音、静粛性、悪路走破性重視で、ウエットグリップをはじめとする安定性を疎かにしているクルマがあり残念だ。EVをはじめ、クルマが重くなって行く傾向があるから、タイヤだけはケチらないで欲しい。
革新的な走りや航続可能距離をはじめとするウリ文句は、やはり安全性がしっかりと担保された上でやっていただけたら幸いだ。「日本仕様はこのタイヤであっちは違うんですよ」とか「コストの問題もあってこのインチはあのクルマのものをそのままもってきたんですよ」という話はもう終わりにして欲しい。アベレージスピードが低いとはいえ、日本にだって危ないところは数多あるのだから……。
コンパクトながらも上質に仕立てた内外装に好感が持てるeビターラ。スズキが初めて仕立てる量産EVということもあってかなり気になる一台だ。取り回しについてはステアリングのキレ角や見切りの良さもあり扱いやすそう。走ってみるとうねる路面でダンピングが悪く、コーナーリングをすればリアの安定を失うシーンが見られる。セルフアライニングトルクも薄く、コラムアシストの電動パワステが応答遅れ。扱い難さが気になる。
S:HEVはクロストレックと変わらないセッティングだというが、100kgほど重くタイヤ外径も大きくなったおかげか、マイルドで扱いやすくなっていたところが好感触。静粛性も高く高級SUV感が出てきたようにも感じられる。ただ、クロストレックと同様としたオールシーズンタイヤの仕様は、ウエットにおける安定感が薄く、リアが発散することも。グランドクリアランスをクロストレックより20mm高めたことも難しそうだ。
スライドドアへの移行を図り、使い勝手を大きく進化させたムーヴ。けれども価格アップをできるだけ抑え、基本性能を追求してきた姿勢が逆に新鮮に見える。おかげで飛び道具はないし、室内はかつての軽自動車とさほど変わらないのだが、それが高齢者などには逆に使いやすく感じられ好評だというから面白い。何が何でも革新的でなければならないわけじゃないことを教えてくれた一台。走りも必要十分な仕上がりでバランスがいい。
PHEVの仕上がりがとても興味深かったクラウンエステート。なかでも惹かれたのは可変ダンパーのAVSや後輪操舵のDRSを使い、リアコンフォートモードを与えたところだ。ピッチ変化をあまり起こさずしなやかな足のセットとした上で、リアタイアをフロントタイヤと同位相で切り込み、リアのパッセンジャーをできるだけ動かさないようにしたことと、ドライバーズカーとしての最低限の操りやすさを両立したサジ加減が絶妙だ。
回転振動や静粛性が高まった3-in-1パワートレインを新たに採用。アリア譲りのプラットフォームでセッティングを変更し、しなやかに走れるようになったところが魅力的。また、SUVスタイルになり大きく見えるが、サイズをそれほど拡大しなかったことで使い勝手も良好そうなところも嬉しい。航続可能距離702kmも魅力のひとつだが、転がり抵抗を気にしたタイヤが転舵時の加速ですぐに悲鳴を上げるところが気になる。
Honda S+Shiftによりハイブリッドのe:HEVでモーター駆動ながらも、有段ギアのように走れるところが革新的。回生量をゼロにすることでコースティングさせられるところも面白い。一体どう走れば効率的なのか否か。それを探ることが新たなるスポーツドライビングとなりそうな気さえしてくる。一方でシビック・タイプRをベースとしたシャシーやアジャイルハンドリングシステムの強化で爽快な走りも良かった。
フルモデルチェンジながらもサイズアップや価格アップにならなかったことが嬉しいポイントのひとつ。それでいて走りはまさに正常進化といった雰囲気。剛性感をこれでもかと感じるステアリングにはじまり、パワーユニットはどの領域もリニアに応答。それでいてシャシーはガチガチではなく、しなやかにコーナーリングをこなしてくれる。およそ500万円台でここまで従順な立ち振る舞いをしてくれることを評価したい。
日本の道路事情にも合う5ナンバーサイズのコンパクトカーでありながらも、あらゆる部分に納得できる妥協なき仕立て方評価したい。それは注目される航続可能距離だけでなく、安定感高く駆け抜けるシャシーの仕上がりもまた特に感心できたところ。日本の道路事情に合わせたリセッティングを行った成果はたしかに感じられ、コンパクトカーであってもロングドライブで疲れ知らず。コーナーリングの安定性も良かった。
内外装のデザインはいかにもプジョーといった斬新な仕立てと質感の高さが嬉しいポイント。相変わらずの超小径ハンドルを採用しながらも、敏感になりすぎていない扱いやすさがある。走り味は新たなプラットフォームになっても、しなやさを忘れずにフランス車らしさを展開。ゆったりとした乗り味を実現。パワーユニットはやや滑らかさやパワーに欠けるところ残念。ブレーキマスターが左にあるせいかブレーキコントロールが難しい。
ファニーなデザインに目が行きがちだが、実は走りが洗練されていたことも好印象。プラットフォームはID.4と同じものを採用しリアを駆動させているが、これがかなりフラットにも走るし、コーナーリングも狙い通り動いてくれる。すっきりとしたハンドリングも魅力のひとつだ。大きさはかなりのものだが、ステアリングのキレ角がかなりしっかりとしているところも嬉しい。これもまたBEVならではといっていい世界観のひとつだ。
スバル・フォレスターとホンダ・プレリュードでどちらをトップ投票するか、かなり悩みました。車好きに届けたい、完璧なまでのハードウェアと、脳みそを刺激するフィーリングに拘ったソフトウェアを持つプレリュード。結果は私が買いたい、運転して山奥のキャンプ場に行きたい、と運転した瞬間に思ったスバルのフォレスターに軍配が上がりました。他にもEVと内燃機構車両が入り混じったトップ10は、時代を反映する素晴らしい車が並び、試乗、投票できる立場であることを光栄に思います。
電動車らしい静けさの中に、日常での扱いやすさをしっかりと組み込んだ一台。派手に未来感を主張するのではなく、忙しい毎日の移動をすっと軽くしてくれる“生活電動車”としての完成度に注目すべき。
純粋に、この車でアウトドアに出かけたいと思った。EVのトルクフルな発進加速に軽快な運動性能、地を掴むようなトラクションはスバルのお家芸でもあり、安心安全にカントリーロードを移動できる。
上質な乗り心地と高い静粛性を備えた実用的なステーションワゴン。落ち着いたデザインは成熟したユーザー層にフィットし、室内および荷室の広さは日常からビジネスシーンまで活躍できる。
自分が90年代に乗っていたCR-Xのフィーリングが蘇ってきた。作り込まれたエンジン音やエンジンフィール、可変ステアリングレシオで常にキレのあるステアリングフィールも得られた。実用的な車両が目立つ昨今、2ドアクーペでフィーリング重視な車は◎
M SportはBMWを象徴するような、機敏で快適なクルマ。峠道を走り始めたら目的地についても走り続けてしまいそうなfun to driveなクルマ。
このクルマで迎えに来てもらったら、目的地を問わずテンションが上がる。明るい気持ちになれる雰囲気をクルマが演出してくれる。キャプテンシートの6座は実用的。
ストロングハイブリッドに生まれ変わったフォレスターを今回、一番高く評価します。つまり、新型フォレスターは安全性、効率性、アイサイトを備えた高い安全性、オフロードとオンロードの走破性、そして日常の使い勝手をバランス良く備えており、ファミリー層、冒険家、そして信頼性と汎用性に優れたSUVを求めるあらゆる人にとって、頼りになるオールラウンダーと言えるだろう。
パフォーマンス面では、2.5L水平対向エンジンを搭載したパワフルなハイブリッド、またはよりパワフルな1.8Lターボエンジンと4WDの組み合わせが、オンかオフロードでも楽しい。
ストロングハイブリッドで、ついに問題だった燃費を解決している。また、スバルの有名な4WDは、高速道路でも荒れた路面でも、トラクションと安定性を損なうことなく優れた燃費性能を実現した。
実用性に関しては、フォレスターは60/40分割可倒式リアシートによる多用途のラゲッジスペース、ハンズフリーパワーテールゲートなどのスマートなユーティリティ機能、そして路面の凹凸を滑らかに吸収する剛性と軽量性を兼ね備えたボディ構造を備え、車内は快適な乗り心地で、特に良好な視界を高く評価する。
手頃な価格のeVitaraは、タフなSUVのDNAと最新の電気自動車技術を、緻密なエンジニアリングによって巧みに融合させたことを高く評価します。高効率のe-Axle(モーター+インバーター)とリチウムバッテリーを組み合わせることで、力強い加速、確かな信頼性、そして安全性を実現している。
もう一つ、軽快なオフロード走りを可能にするALLGRIP-e電動4WDシステムも大きな特徴。
フォレスターの走り、乗り心地、実用性、クラス1の安全性、オフロード性能は非常に幅広い客層にアピールするところを高く評価します。ついにストロング・ハイブリッドを採用した新型は問題だった燃費性能を解決し、従来のフォレスターと比較して燃費を最大40%向上させ、1回の給油で1,000km以上という長距離走行を可能にしています。また、オフロードの軽快な走りを可能にするデュアルモードX-MODEは実物です。
ダイハツ・ムーヴの魅力は、軽自動車でありながら高い安全性と快適性を両立している点。具体的には、先進の安全技術、広々とした室内空間、燃費の良さ、そして運転しやすさなどを高く評価する。また、両側パワースライドドアなどの利便性が高いこともファミリー層にも人気であることも頷ける。
クラウン・エステートは、高級感、効率性、実用性という稀有で魅力的なバランスを実現していることを高く評価します。トヨタのTNGA-Kハイブリッドプラットフォームをベースに、防音ガラス、強力な遮音材、そして洗練されたハンドリング性能により、スムーズで静かな乗り心地を実現しています。2.5Lの4気筒ハイブリッドシステムと3つの電気モーターを搭載することで、パワフルな240馬力を発揮。これらを評価!
3代目リーフを高く評価するのは、日産がいくつかの改良点にとどまらず、現代のEV市場に合わせてリーフを徹底的に見直したところです。デザインはより洗練され、空力性能も向上し、モダンになりました。一方、満充電で航続距離702kmが出るというパワートレインは最先端技術を駆使し、綿密にパッケージングされたことで、パフォーマンスと効率性を両立させています。
目にやさしいデザインを持つプレリュードは、シビックタイプRのシャシーとサスペンション、ブレーキを採用していることが、非常に楽しいスポーツ走行を可能にします。また、2Lハイブリッドの走りを面白くしてくれるのが、ホンダが特別に開発したS+シフトです。この技術は、気持ちの良い時に自動的にシフトしてくれるので、運転を楽しくしてくれます。
新2シリーズの魅力はスタイリッシュなデザインと非常に安定した軽快なハンドリングだけではなく、4種類のエンジンが用意されていることです。ガソリン仕様は3種類と、燃費抜群のディーゼルターボの220dがこのクラスで一番充実したラインアップだと思います。特に驚いたのは、220dは満タンで1100km以上の航続距離で驚異的です。
280万円から買えるインスターは、コンパクトで街乗りに最適なパッケージながら、EVとしての高い価値を提供する点を高く評価。AセグメントのサブコンパクトEVでありながら、そのサイズと存在感以上の性能を発揮し、42kWhの標準バッテリーを搭載しながらも、航続距離は327km、オプションの49kWh「ロングレンジ」バッテリーを選べば、1回の充電で最大370km走行可能な
ことを評価。
3008は、スタイル、革新性、実用性を兼ね備えた、実にバランスの取れたコンパクトSUVとして高く評価します。最大の魅力の一つはi-Cockpitインテリアで、小型のステアリングホイールと、高めに配置された12.3インチのインストルメントパネルが、高級感と未来感が漂う。パワートレインは、高効率のガソリンエンジンとディーゼルから、ハイブリッド車やPHEV車まで、多様なラインナップを揃えた点が魅力。
ID. Buzzは、象徴的なノスタルジアと最先端のEV技術、そして現実的な汎用性を巧みに融合させていることで高く評価。レトロなツートンカラーと親しみやすく時代を超越したプロポーションを備えているが、その中身は徹底的に現代的なEVで魅力的。
床下のバッテリーのおかげで、ID. Buzzは非常に低い重心を実現し、走行安定性と操縦性を向上させた。1000万円近い値段だけがネックかな。
そもそも別々のジャンルのクルマですし、スポーティカーとSUVとEVとセダンなどが交りあう中で、一番を決めるのは難しい。特に今年はそう感じました。なので、自分の中で各ジャンルの1番を決めて、その中から自分の趣向とのマッチングで決めさせてもらっています。その趣向性も時々で変わるので、メーカーには申し訳ないが、色々なクルマを色々な見解で評価させてもらうのがCOTYだと勝手に解釈して、何日も悩みながら順位を付けさせていただきました。結果、自分が運転していて楽しい部門が最上位に来ることになり、「ホンダ プレリュード」を選ばせていただきました。このクルマはS+シフトを含めたモード切替でクルマの表情が変わることと、強靭な足回りやフルブレーキングの時の姿勢など、走り好きにはたまらない要素を沢山もっています。対して、自分の実用車部門1位だった「スバル フォレスター」は、高い安全性能や見切りの良さ、悪路や雪道での安定した走行性能、静粛性の高さ、荷室の大きさなど、なんにでも使える万能車が欲しい人に、胸を張っておススメできるクルマでした。他にもEVの世界では「日産リーフ」や「ヒョンデ インスター」、「スズキ eビターラ」はどれも僅差で、買う人それぞれの価値観で見れば損しないクルマだし、デザイン性では日本のクルマにはない輝きを「フォルクスワーゲン ID.BUZZ」や「プジョー 3008」で感じました。高級感は「トヨタ クラウン エステート」が突出していたし、軽自動車のコストパフォーマンスの高さでいくと「ダイハツ ムーヴ」は間違いなくお買い得です。さらに小柄なセダンが欲しいなら「BMW 2シリーズ グランクーペ」は間違いのない選択。ということで、毎年COTYの10ベストカーはどれもおススメできるクルマなのです。
スズキ、初めてのBEVではあるもののBEV専用プラットフォーム「HEARTECT-e」を開発し、モーター・インバーター・トランスアクスルを一体化した 「eAxle」、そして61kWh のバッテリーモデルは2WDで520kmの航続距離、さらに「イージードライブペダル装備」と「NORMAL/ECO/SPORT」の3モード装備などのスペックということで、技術力の高さはさすが!
様々なクルマが横一線に並ぶCOTYは、どのクルマもその分野のトップだから採点が難しい。フォレスターは私の中のSUV実用車部門トップ。悪路での安心感があり、実用的で静粛性も高く、デザインもスマート。荷物も積めて特に降雪地帯や道路が整備されていない場所などで日常の移動手段として最高の出来だ。さらにサイクリスト対応歩行者保護エアバッグ、アイサイトなどの安全性能もぬかりなく、開発陣に拍手を送りたい。
1980年代に青春を過ごした世代にささる広告戦略は見事。実際にそういった年代に売れているようだし、商品コンセプトもピタリとはまり、現在大ヒット中である。NAエンジンのグレードに3人で乗車したが、アクセルをべた踏みにした時のエンジンの唸り音も少なく、こんなクルマが100万円台前半で買えることに改めて驚く。
上質な感じはいたるところから漂い、高級車「クラウン」の面目躍如といったところである。特にPHEVの静かさ、滑らかさは格別。21インチの大径タイヤは、乗り心地と上質かつレベルの高い走りに応える。ドライブモードでリアコンフォートは興味深く、後席の乗り心地に配慮したところはクラウンの指向性では正しい。ラゲッジスペースも大きく、社長車としても、親孝行にも貢献する「日本の高級車は健在だった。
CMF-EVプラットフォーム採用、3-in-1電動パワートレインなどで乗り心地と操縦性が大幅アップ。液冷式バッテリーなど様々な工夫の成果で702Kmを謳う航続距離を手に入れている。デザインも上級車アリアとのイメージ共有化で、日産のEVラインアップが強固になった。ドアハンドルが格納、フラットボトムなど、空力性能にもこだわっているが、実用面で必要なルーフレールを備えるなど、商品価値は高い。
抵抗感がなく、スーッと走るコースティングモードが気に入っている。そもそもクラシックカーで運転を覚えた自分は普段からエンブレを使わない。クラシックカーはプラグが被るからだwwその他強靭なボディ、S+シフトも含めバラエティ豊かな走行モード、シビックTYPE-R譲りの走りなど、運転手から見た魅力が満載である。どこまでも走りたくなるクルマに久々に出会った。
BMWの一番コンパクトな4ドアセダン。立体駐車場でも扱いやすいサイズ感が、日本に合っている…というか、このサイズのセダンの操縦性は反応が良く、楽しく走れるクルマである。特に走りに振ったM235 xDRIVE グラン クーペはFFを感じさせないコーナリングを楽しめる。アンダーステアがストレスを生みがちなFFの常識を超えた制御は先代以上。さすが「駆け抜ける喜び」とでも書かせていただこう。
軽自動車より少し大きいボディで中は広く大人4人が普通に乗れる。そして49wHhのバッテリーモデルは、477㎞と軽EVをはるかに凌駕。このバランスは日本の国内では超魅力的である。ただし、スタイルは個性的でヤングな感じ。クルマにうるさい男性熟年層とのマッチングは少し気になるところではある。今後、そういった落ち着きを求める層へむけたグレードもあれば、もっとマーケットを開拓できる可能性を秘めている。
今年は輸入車のデザイン力に驚かせたが、そのインパクトを感じた1台。独立メーター+ 21インチパノラマディスプレイの最新i-Cockpitは斬新で、乗った人を驚かすに十分。ハイブリッドシステムが生み出すパワーを受け止める脚は、フランス車の方程式通りで期待にたがわぬソフトで当たりが柔らかい。エクステリアも個性的で久々に異国の世界観を感じた。こういうクルマは日本ではお目にかかれない。
とにかくおしゃれで、街中で振りかえってみてしまう。道具以上のクルマの魅力を久々に感じることで、購入後の生活が楽しみになるだろう。走りはEVならではの活発なもので、意外に大きさは感じない。また、乗り心地もよく、91kWhのバッテリーモデルで554kmの航続距離は使い勝手もいい。ただしV2H、V2L、AC100Vコンセントに未対応なのがあまりにも惜しい。
多くのノミネート車の中から選ばれた今年のトップ10台のうち、私が最も秀でたモデルだと考えたのは『ホンダ プレリュード』。少量生産は乗れる人が限られるため、選ぶべきか大いに迷ったが、いざハンドルを握って走り出すと、モータードライブを活かした滑らかで快適な走りを披露。一方で、SPORTモードにして、S+SHIFTのスイッチをオンにするや否や、意のままに駆け抜ける走りが私の心を躍らせ、理性では語り尽くせない充実感をもたらしてくれた。グライダーをテーマに企画したユニークな発想、その実現を支えた技術、走行性能を磨きあげた点にホンダの底力を感じた。先行きが見通せない変革の時代。このクルマにはブランドの価値を次世代に繋げるヒントが備わっていると思う。
スズキがグローバルモデルとして世界の100以上の国や地域に投入する電気自動車『eビターラ』。電気自動車専用のプラットフォームにSUVの力強さを塊感をもってダイナミックに表現してみせたスタイリング。しなやかな足取りによって、乗り味の良さと快適性、気持ちのいいハンドリングを満喫させてくれるモデルに仕立てられていた。
スバルのキャッチフレーズである『安心と愉しさ』をスバル独自の技術をもって、新世代のモデルに進化させた『フォレスター』。シンメトリカルAWD技術は操縦安定性をもたらす一方で、燃費面でメリットが得られるストロング・ハイブリッド仕様をラインナップ。トヨタ・ハイブリッド・システムに振動を打ち消し合う水平対向エンジンを組みあわせ、高い次元の快適性、これまでスバル車の懸念事項だった燃費面も両立させてきた。
日本で最も売れている乗用車はの背高系軽自動車のスーパーハイトワゴンで、スライドドアは便利なも反面、車重が重く、重心も高くなって走行性や燃費面で不利になりがち。今回のムーヴは高価格化する軽のスライドドア車にすることで、手が届きやすい軽スライドドア車として提案。シンプルながら洗練されたスタイリング、実用的で使いやすいインテリアに仕立てられている。
クラウン第4のモデルとして登場した『クラウン エステート』。荷物を積んで家族と出かけることまで想定したモデルらしく、ゆとりのある動力性能を確保。アクティビティにも、フォーマルなシーンでも乗りこなせる洗練されたスタイリング、クラウンらしい悠々とした走りで快適な移動を叶え、大人の洗練をまとえる雰囲気もいい。
量産タイプの電気自動車として、いち早く登場したリーフは3代目にフルモデルチェンジ。電気自動車に乗る上での不安(航続距離、充電性能など)を解消すべく、上位モデルでは満充電での航続距離=702km(WLTC)を実現。充電口はフロントフェンダーに移設されたことで、フロントフェイスとサイドシルエットが格段に洗練された。
本格的な電動化時代に相応しいスポーツ性を絶滅危惧種のスポーツクーペで復活させた『プレリュード』。シビック タイプRのシャシーをベースに e:HEVに搭載された燃焼効率に優れた2Lエンジン、各走行モード×S+SHIFTがもたらすドライブフィールは同乗者と快適な旅を楽しむだけでなく、ドライバーを走りに没頭させる凄さを感じた。
最近のBMWは押し出しの強いデザインが多かったが、このモデルは端正なBMWのデザインが施されている。日本の道で扱い易いサイズのボディに最新世代のADAS、デジタルキーなどを搭載。BMWに期待するハンドリングの気持ち良さ、洗練されたブレーキフィールなど、ハンドルを握り、使って嬉しい機能が満載の一台だ。
全長3830mm×全幅1610mmのコンパクトなボディに42〜49kWhのバッテリーを搭載し、満充電で走れる航続距離は最大で477km(WLTCモード)。それでいて、画期的なシートアレンジによって、車内を広く使いこなせる点が凄い。284.9万円〜というコストパフォーマンスに優れた車両価格で提供されている上に、日本市場に適応した外部給電機能を搭載しているところもいざという時の安心に繋がる。
ステランティスグループのモデルにおいて、新世代の電動化プラットフォームを採用した第一弾。全長・全幅・全高が全て従来よりもかなり立派になっているが、その分、ゆったりくつろげる室内空間と快適な乗り心地を提供し、高いレベルの快適性を実現。ドライブしながら癒される。運転支援機能が充実し、デジタル化も進んでいるが、何より、フランスメーカー・プジョーならではの攻めたデザインに目を奪われる。
歴史的な名車のワーゲンバスが遂に電気自動車として復活。『ID.Buzz』には標準タイプとロングホイールベースの2種類を設定。多人数乗車を叶える3列シートは見晴らしのいいパノラミックな視界を楽しみながら、ゆったり快適にドライブすることができる。乗る人からすれ違う人まで、みんなを笑顔に変えるデザイン。カラフルなカラーリングが元気をくれる。
10ベストカーはどれも誰にも勧められるクルマたちです。(とはいえ、それは用途によって、ですが)今回の物差しは3つと半分くらい用意しなければなりませんでした。毎回書きますが、意義のあるクルマ、というのが僕の選考基準ですが、今回は少し違いました。歴史をどう残すか、という気持が勝ったように思います。
ハイライトはストロングハイブリッドシステムなんでしょうが、その新鮮さに関する評価は置いておいて、どのモデルもスバルファンを裏切らないクルマだと思います。
どこをとっても、もう日本を代表するクルマと言っていい乗り味です。おもてなし感、作りの良さ、そして動力源のバリエーション。10位にしたのは、発売のタイミングによるもの、としておきます。
クルマの変革期の中にあって、パッケージといい、動力源といい、特に新しいという訳ではないけれど、まさに今を感じさせるクルマということで1位に選びました。過去と未来のちょうど真ん中にいる感じでしょうか。個人的にはホンダらしいクルマが久々に出てきたな、という感じです。
デザインのユニークさもさることながら、コンパクトで見切れもよく、航続距離もほぼ満足の出来るもの。価格まで考えるとライバルはなかなかいないと思いました。
全てのモデルを通してナンバー付きの販売モデルで評価をしたいことが本音です。量産モデルをプロトタイプで評価するのはナンセンスなのではないでしょうか。おそらく販売モデルであってもさほど変わりはないでしょうが、量産における生産ライン精度も評価の一つといえます。スズキeビターラを公道で乗れなかったことで公平な得点がつけられなかったことは携わったエンジニアの方々にはとても申し訳ない気持ちです。日産リーフも同様です。プロトタイプのモデルとしては非常に良かったです。どのモデル共に同様のコンディションで試乗してジャッジしたいですね。私が付けた順位のそれぞれのモデルについては上位3位まで拮抗していたのは言うまでもありません。そのなかでも臆することなく新しい提案をしたホンダプレリュードの完成度は高かったです。300㎞のロングドライブも快適ですしワインディングのハンドリングもスタビリティが高く本気のスポーツモデルと甲乙つけがたいセッティングになっています。またボディのパッケージングも大きくもなく扱いやすいです。左右エンジンフードの盛り上がりもいい感じで感覚が掴みやすいです。フォレスターは力強い装いとは別に乗り味は大人の深みがあり、滑りやすい路面での安定感はさすがとしか言いようがありません。特にストロングハイブリッドモデルオススメです。BMW2シリーズグランクーペはあらゆる質感の高さに驚かせられ得ました。奥深いサスペンションとハンドリングは世界がベンチマークするだけはあります。
本来はこの順位ではないことを初めに伝えておきたい。デザインやその性能は素晴らしいものがある。想像をこえた価格も非常に魅力的だ。BEVとしてとても良質な乗り心地と素晴らしいハンドリング。初のBEVでここまで作れるのかととても驚いた。しかし残念のは発売前のモデルという点である。こればかりは如何ともしがたい。
ダイナミックな安全性に対して非常に真摯的な考えで造られている。常に熟成させてきたシャシーは様々な部分で改良されている。特にグラベルにおけるS:HEVの走りは成熟感がある。下りにおける滑りやすい路面状況のコーナリングは誰しもが怖い思いをしたはずだが負荷をかけずともターンインを可能としたセッティングはスバルの4WDの良さを理解できるシチュエーションの一つである。
新しいダイハツムーブはとても乗り心地が良好になった、また以前は弱いと感じたプラットフォームも相当改良が加わり、シャシーの動きに対したサスペンションセッティングもとてもいい。満を持してお披露目した感じといったところだろうか。
無骨なSUVが多い最中、これから求められているエフォートレスな高級なエッセンスを加えたエステートモデルである。特にPHEVモデルはおすすめの仕様で走行距離が長く走行安定性も高く静粛性に優れバランスのとれた仕様と言っていい。遠くに行きたくなる要素が詰まったモデル。
デザインや走行性能、元祖BEVの日産だけにネガな部分がとても少ない。高級感あるモーターの静粛性と加速、乗り味が扱いやすく印象的であったが、試乗した時はこれまたプロトタイプで量産モデルではないところが非常に残念である。
新しい感覚のFFスポーツカーツーリズモを作ったホンダのエンジニアは素晴らしい。シビックタイプRのシャシーを使って他のメーカーではないサスペンションセッティングは長年FFのスポーツモデルを作っているノウハウは計り知れないと感じます。またエンジンとミッションのマリアージュによるATにおけるMTのような自己実現は楽しさを倍増してくれることは間違いない。
4ドアの新しい価値観と質の良さを教えてくれる1台。特に3気筒1.5リッターモデルはバランスがいい。しかもエンジンメーカーだけにターボの中間加速は他社ではないレスポンシブでリニアなトルク特性は素晴らしい。コンパクトプレミアムモデルであるがヒエラルキーを感じさせない雰囲気でもある。きっと走りも含めた全ての質感に満足を得られることでしょう。
5ナンバーサイズで力強いデザインは非常に愛嬌がある。新しさと懐かしさが融合したスタイリングは若い方には新しさを感じるだろう。価格と質感のパフォーマンスは非常に高い。
非常に前衛的なデザインが特徴で堂々としたフォルムが特徴的である。内装の質感にこだわりを感じさせる。ゆったりと楽な気持ちで乗りたい1台であり燃費にも自信を伺える。
VWの商用車部門が作ったID.Buzzは本当はデザインだけでなく中身で勝負できるモデルだ。少々樹脂の動きに精度が高すぎるのか硬い部分もあるがVWのクオリティを知ることができる。動力も全盛期を踏襲したリアから動力を得るスタイルである。スタビリティの不安定な要素は皆無であった。内外装のカラーの組み合わせのチョイスは楽しみが増す。強いて言えばもう少し走行距離が増えると気持ちにゆとりが出る。
10台のうち4台がBEVで、純粋なガソリン車は軽自動車のダイハツ・ムーヴだけという、電動化時代を色濃く映した10台になったと思います。
もはや電動化技術が当たり前のものとなり、さまざまな方向性が見られるようになった今、それをどうユーザーのために活用しているのかが興味深いところです。
選考において大切にしたのは、「ワクワク」「挑戦」「満足感」の3つが感じられるかどうか。1位に推したホンダ・プレリュードは、この3つがすべてダントツでした。このままずっと乗っていたいと感じたほどで、乗ってワクワクしただけでなく、新たなハイブリッドの可能性を見せてくれたことで今後の電動車への期待もふくらみました。
トヨタ・クラウンエステートも最後まで悩んだ末の2位ですが、70周年の重みを背負いつつ新たなクラウンに挑戦して実現した懐の深さ、後席への優しさといったところに感銘を受けました。
インスターやID.Buzzなど独自の世界観が楽しいモデルも多く、手に入れたらきっと毎日がもっと豊かになると想像させてくれる10台が揃ったと思っています。
クローズドコースのみの試乗なので評価は控えめですが、既存のBEVユーザーの声に耳を傾け、外気温の高低に関係なく性能を発揮する寒冷地バッテリー昇温機能やバッテリーウォーマー機能の採用など、使いやすさを追求したことは伝わってきました。走りの熟成にはこれから期待したいところですが、悪路走破性のみならずオンロードでのよりパワフルな走りを提供する、電動4WDの「ALLGRIP-e」も見どころです。
ど真ん中の正統派SUVとして、安心感・扱いやすさ・悪路走破性を磨き上げていおり、大きすぎないサイズと大容量ラゲッジを両立。どんな人にも、どの地域でもおすすめできる1台で、とくにさらなる進化を遂げたX-MODEでオフロードや雪道の安心感、楽しさがアップしています。後席にもシートヒーターがあって快適性が高く、安定感のある乗り心地も好印象でした。
両側スライドドア装備や、カスタム廃止といった思い切った決断で生まれ変わった新しいムーヴは、停車中の乗り降りなどにスライドドアの恩恵を感じる一方、ひとたび運転席に座って走り出すと、いつの間にかスライドドアであることなど忘れるくらい、歴代ムーヴらしいキビキビとした走りが体感できます。ハイトワゴンとスライドドア車、2つの良さがバランスよく溶け合っているところに惹かれました。
クロスオーバー、セダン、スポーツと登場して、最後にクラウンシリーズに加わったエステートは、どのクラウンとも違う新しさと懐かしさが同居する乗り味にすっかり心を掴まれました。頭上のゆとりまでしっかりある後席は、リヤコンフォートモードで走行するとさらに安定感が増して極上の乗り心地。往年のクラウンをふと思い出す、「お父さん」のような懐の深さが魅力だと感じます。
まだクローズドコースしか試乗する機会がなかったため評価は控えめですが、航続距離700km超えをはじめ、コネクテッド機能の大幅な拡張、充電性能アップなどでEVライフがさらに便利に快適になるような進化はさすが。ボディがすごく大きくなったような存在感がありながら、実際には全幅が少し広がったのみで市街地での取り回し性能は確保しているところも、BEVの基準車と呼ぶに相応しいと思います。
どんな速度でも、どこを走っていても、音や乗り心地までこんなに気持ちのいいクルマはいつ以来でしょうか。プレリュードという名前よりも、2010年にHondaが発売した世界初の量産ハイブリッドスポーツカー、CR-Zの生まれ変わりと言われた方がピンとくる、Hondaにしかつくれない新感覚の走りに感動しました。乗り降りへの配慮や広いラゲッジルームで、シングルやカップルで使うなら実用性も高いと思います。
全幅1800mmは多くの機械式立体駐車場が利用できるサイズで、大きすぎない4ドアモデルを探している人にピッタリ。クーペというだけに後席の頭上スペースはややタイトですが、ラゲッジは大容量なのでファミリーでも必要十分。ガソリン、ディーゼル、スポーティなMモデルと好みに応じた選択肢が用意されていて、ハンズオフ機能など先進技術がしっかり装備されつつ、500万円台からというコスパの高さも魅力的です。
個性的で愛着が湧きそうなデザインの魅力はもちろん、日本でのテストを繰り返し行い、凹凸路でも快適なダンパー、低速から高速まで安定した挙動を得られるサスペンションといった日本専用のチューニングを行ったという走りや乗り心地は想像以上の出来栄え。簡素なベースグレードなら200万円台という驚異的なコスパにも脱帽です。
プジョーとして初めてサイドウインドウモールが表に見えないように設計されたエクステリアデザインは、プジョーにしか出せない個性と美しさの競演。よりモダンで落ち着いた空間へと進化したインテリアは、いろんな曲線が重なり合う独特の空間です。1.2ℓのマイルドハイブリッドモデルは、頻繁にモーターアシストが入る上質な加速フィールが味わえ、新たなプジョーファンに響きそうな印象でした。
オシャレでガンガン使える実用車として、90年代くらいまでは日本でも大流行していた「ワーゲンバス」。あのいい意味でゆるい雰囲気を受け継ぎながら、よくぞ令和にBEVとして復活してくれました。ちょっとボディサイズは大きいし、お値段も張ってしまうけれど、唯一無二の世界観はやっぱり魅力的。撮影をしていたら今まででいちばん多くの人に声をかけられ、写真を撮られて注目度も抜群です。
今回EVが4台も10ベスト入りしたことには、時代の流れを感じます。しかし各メーカーともにその立ち位置は別々であり、まだEV時代が到来したとは言い切れません。生産車だけでなく、ディーラーのインフラも含めてその市場は整っていくはずです。
そんないまを支えるのは、間違いなくハイブリッドです。もはやEVに迫る静粛性と優しい乗り味があり、だからこそ動的性能やシャシー性能に個性を発揮しようと努力している状況が今回も多く見受けられました。
そんな中にあって、ダイハツ ムーブとBMW2シリーズ グランクーペが高い評価を得たことも、“今”を表していると思います。
私がこの日本カー・オブ・ザ・イヤーで大切にしているのは、ユーザーが一台のクルマを選んだときに得られる感動です。それを性能のひとつとして加え、真のコスト・パフォーマンスを追求した結果、フォレスターを選びます。
リーフと同様一般道でのテストドライブが開催されていないため、私は10ベストに選びませんでした。その上で評価すれば、まず内外装ともにデザインが若々しく、力強さがあります。既存のスズキユーザーが乗り換えても違和感のない、アジリティを抑えたハンドリングは特徴的。コストを考えながらも3リンク式としたリアサスの安定性も好印象だっただけに、早く公道試乗でその真価を試したいと思います。
ミドルサイズのコンパクトSUVというボリュームゾーンに、現実的に手が届く価格帯にして魅力的なパッケージングをまとめあげたことを評価します。これまでにない新しいデザインの提案、待望のS:HEV投入。シャシーとAWD制御の理想が高過ぎ、攻めすぎている部分は今後の検討課題ですが、没個性になりがちな電動化時代の乗り味に、運転の楽しさを本気で追求したモデルです。
この時代に電動化をせず登場したムーヴはしかし、だからこそコンパクトカーの本質を捉え、軽自動車の枠を超えた仕上がりとなりました。両側スライドドアを持ちながらもボディはしっかりしており、ゆえにブレーキのタッチもよく、スーパーハイトよりも低いその重心で、走りに楽しさと安心感があります。特にターボモデルは、これ一台で多くをこなせる実力の持ち主です。
新生クラウンシリーズの取りを務めるエステート、正直にいえば「もうお腹いっぱい」という印象があるものの、やはり実物を目にすればその姿は現代的で美しく、実用的にもシリーズで一番使い勝手が良く、走らせればその乗り味とハイブリッドの制御にはうならされます。
アリアのリアサスを改良し、先代モデルに対してピッチングを抑制した乗り味の良さ。コンパクトかつモーターマウントの高剛性化を実現しながら、拡張性も考え3-in-1としたパワーユニットのドライバビリティ。上級モデルとの住み分けや日本の道路環境を考えて、むしろ全長を縮めたボディサイズ。テストコースでの印象は上々。一般道での試乗会が間に合わなかったのはとても残念です。
低重心なクーペボディにタイプR仕込みの足周りをインストールし、しなやかにまとめ上げたシャシーワークは極上。主力PUであるe:HEVに有段フィールを与えたS+シフト、そのエンジン協調制御も見事という他ありません。あとはここに、「楽しいね」を通り越した「ワクワク感」が備われば、言うことなしです。2リッターe:HEVはあまりに完成度が高く余地は少なそうですが、ホンダならできると期待しています。
ドアを閉めたときから感じる圧倒的な剛性感。走らせれば込み上げるエモーショナルさ。しかめっ面が似合うドイツ車の中にあって、BMWにはラテン寄りな陽気さや明るさも感じられ、その気質がクルマ作りに色濃く出ているところを評価します。このモデルに限っては電動化面が弱いものの、4つのドアでクーペスタイルに利便性を与えた周到さと、圧倒的なドライビングプレジャーの高さをこの価格帯で実現した底力にも驚かされます。
日本の軽自動車よりちょっと大きいけれど、2ボックスとしては実にコンパクトなボディ。これをポップながらも可愛すぎないデザインでまとめたインスターは、走っている姿を見ているだけで楽しい気持ちになれます。実際の走りもEVならではの静粛性と快適性に対して、走安性もバランスは思った以上に整っており、さらに価格も魅力的。素直によいクルマであり、国産車とお互いに高め合う、よきライバルです。
エクステリア/インテリアともにエッジの効いたデザインセンスの鋭さと攻め具合は、プジョーのフラグシップモデルと呼ぶに相応しい出来映えです。特にテキスタイルを上手に使ったインテリアは、高級素材じゃなくてもプレミアム感を出すことに成功していて好感度が高く、これからの自動車の在り方をリードして行くと思います。1.2リッターのMHEVは、ボディサイズに対してもう少しパンチが欲しいところです。
まだインフラが整わないBEV市場において、「ワーゲン・バス」でEVミニバンの可能性を楽しく表現する手法は時代を先読みした一手だと感じます。価格は一般的ではないものの、まずこのデザインでインフルエンサーやアーリーアダプター層を取り込んで、来るべきEV時代へのステップを踏んでいると感じます。ID.Buzzそのものにはまだ熟成の必要を感じますが、それも含めてフォルクスワーゲンの今後に期待します。
今年のカー・オブ・ザ・イヤーを一言で言うと「多様性」です。様々な価格帯、様々なボディサイズ、様々なカテゴリー、様々なパワートレインを持つ10台を評価するのはとても難しく、採点は例年以上に悩みに悩みましたが、逆にユーザーにとっては様々な選択肢がある時代に戻ったように感じています。選考はいつもの車両評価と同じで、作り手の想いと乗り手の想いがリンクしているクルマを、感情的にならず、でも理性的でもないフラットな評価で採点しました。
スズキ初の量産BEVかつ新フラッグシップとなるモデルですが、キザシ譲りの重厚さとスイフトスポーツ譲りの軽快さが上手に融合した走りを評価しました。BEVらしからぬゴツ系のデザインもスズキらしくて良いです。ただ、期待値が高かったので価格や細部の仕上がりが気になってしまったのも事実です。
誰にでも安心しておススメができる「総合性能」を高く評価しました。「乗る前からいいね!!」と思わせる内外装、オンオフ問わず安心して上手に走れるハンドリングに加えて、今までスバルの弱点だった環境性能・燃費性能はストロングハイブリッドで大きく飛躍しています。正式発売以降の累計販売台数は歴代最多とユーザーの関心の高さも踏まえて、今年を象徴とする1台にふさわしいと判断しました。
ハイト系だけどスライドドア、カスタムをやめてシンプルなグレード構成と、極めて直球勝負で開発された1台で、「おっ、値段以上」と思えるバランスの良さを評価しました。ただ、コンセプトを含めて従来の延長線上から抜け出せておらず、次世代に向けた強い意思・メッセージ性が欲しかったです。
70年の歴史を一度も途切らせずに重ねながらも変革を恐れない姿勢は16代目共通ですが、その中でもエステートは一番自分事になれるクラウンである事を評価しています。大柄ボディを感じさせないフットワークは16代目最良ですが、パワートレインはもう少しクラウンらしい静粛性が欲しい所。個人的には背の低いエステートも期待しています。
見た目のインパクトが注目されがちですが、メカニズムは極めてロジカルかつ真面目に開発されている直球勝負なモデルである事を評価しました。パワートレインは他のBEVと比べても、滑らかさ・静かさはトップレベル。優しいけど骨太なフットワークは「技術の日産」が戻ってきた感じです。欲を言えば、BEV先駆者としての+αの提案も欲しいですが、生まれ変わった日産を代表する1台だと思います。
この時代に背の低い2ドアクーペを世に出した事を評価しました。S+シフトによりハイブリッドに感応性がプラスされたe:HEV、スポーツ一辺倒ではない絶妙な味付けのフットワークなどメカニズムは申し分ないですが、もう少しスぺシャリティを感じさせる要素・装備は充実させて欲しかった。この辺りはしっかり継続させて育ててほしいです。
BMWの中でニッチな存在ですが、全幅1800mmとまるで日本のために開発されたかのようなパッケージを高く評価しました。FFベースとは思えないハンドリングとBMWらしからぬ優しい乗り心地のバランスは兄貴分以上のお手前ですが、ガソリン/ディーゼルのパワートレインは次の一手が欲しい所です。
5ナンバーのコンパクトサイズながらミドルクラス並みの航続距離を備え、価格も含めて多くの人が「これ1台で全てを賄えるかも?」と思える最適解を持つBEVである事を評価しました。街乗りに振り過ぎたフットワーク、雑多なレイアウトのインパネ周り改善の余地がありますが、ハードに関しては脅威だと思ったほうがいいと思っています。
内外装デザインだけでなく、ほぼフルハイブリッドと呼べるマイルドハイブリッドやしなやかでカーペットライドなフットワークなどメカニズムを評価しています。ただ、パワートレインはもう少し余裕が欲しい所や装備面の物足りなさなどは、独自性を持ちつつも日本のユーザーに寄り添ってほしいと思います。
思わず微笑んでしまう、振り返ってしまう内外装デザインは、厳つい系ばかりの日本のミニバン市場に一矢を報いた存在である事は評価しています。ただ、いかんせんサイズが大きすぎで取り回しが厳しい事と、価格を考えるとシートアレンジや装備などで不満が残ってしまったのが残念な所です。
今回も「私(I)のクルマ選び」ではなく、「私たち(We)のクルマ選び」という「みんなが幸せになれるクルマ」という目線で選びました!今年は、まさに’クルマがどこに向かうのか?’という時代の転換点を象徴するラインナップだと思います。使い勝手の良さ、快適性、走りの良さは当たり前。そこに「未来への答え」をどう示すかが問われた1年だったように思います。今年、登場したクルマのラインナップは幅広く、選考には苦労しました。「クルマが生活の中でどう存在するか」を重要視し、技術や話題性はもちろん大切ですが、最終的には毎日乗って心地いいかどうか。その意味で、ユーザー視点に寄り添いながら、未来を見据えた2025年らしいクルマを高く評価いたしました。
スズキ初の本格EV&SUVとして登場。電動化の時代に’生活を共にする’という観点から見ると、「eビターラ」は日常でも、レジャーでも活躍してくれそう。スズキらしい軽快さとEVならではの性能を人気のSUVスタイルに詰め込み、未来への期待もバッチリ。ただ、残念なのはこの投票の前に公道試乗ができなかったこと。一般道で、たっぷり味わいたかったです。
スバルの人気SUV「フォレスター」。「フォレスター」はスバルのコアであり、スバルらしさの象徴とも言えるAWDや水平対向エンジン、安全技術を時代の要求に合わせて進化させてきました。’実用SUV’としての完成度は高く、走る、使うの信頼感も抜群!安全性能や使いやすさがさらに磨かれて、日常使いからアウトドアまで幅広く活躍が期待できそう。派手ではありませんが、堅実な一台だと思います。
ダイハツ「ムーブ」は、‘気軽に、ちゃんと良いクルマ’という感覚を軽自動車の領域で実現してくれています。乗るたびに、‘あ、これいいな’と感じる、乗り降りが楽ちん、安心機能の充実、デザインもスッキリという3拍子で、軽自動車だからと妥協するのではなく、むしろ‘軽だから快適’という選択肢として魅力的です。
トヨタの高級セダンだったクラウンが大胆に変身。新型クラウン4兄弟の中で、最後に登場した「クラウン エステート」は、クラウンというブランドの信頼感を背景に、高級セダンの質感をステーションワゴンのスタイルで実用に落とし込み、日常から長距離ドライブまで、’移動’を上質に変えます。日常的な実用性と上質な移動体験を見事に融合。ハイブリッドとPHEVも含めたパワートレーンの選択肢が増え、魅力も増し増し。
新型リーフは、ハッチバックからクロスオーバーSUV風のスタイルへと大変身。流れるようなルーフラインと先進的なフォルムが魅力です。そして‘次世代EVの日常車’という位置付けをしっかり意識しつつ、デザインや走りもスマートにまとめられています。また、走行性能や充電、バッテリー性能なども進化し、‘EVのハードル’を下げてきた!という感じがしました!
’元祖デートカー’が令和に復活!’デート’という言葉自体が死語となっているかもしれませんが、ホンダらしい操る喜びやドライビングフィーリングを大事にしており、走ることそのものを楽しみたいユーザーにはスタリングを含めてスポーティな魅力。刺さる一台だと思います。
車内に乗り込むとインテリア類の質感が高く、’ザ・輸入車’的に「日常+少し上質」を好む日本のユーザーにドンピシャ。ドライブフィールもBMWというブランドイメージを裏切らない全方向にバランスよく完成度が高いモデルです。
魅力的な価格攻勢とデザインの秀逸さ、装備の充実が光ります。輸入車なのに、日本車や日本市場を徹底的に研究し、輸入車としての挑戦的ポジションで、「コストパフォーマンス重視」の人たちにも強力なアピールとなっていると思います。エクステリア、インテリアデザインが抜群に可愛い!
プジョー3008のデザインには、‘見られる喜び’があります。街中で振り返られるような
インパクトのあるスタイルは、大きなフロントグリル、プジョーらしいライオンの爪痕をイメージしたライト、クーペSUVらしいシルエットで乗る前から‘特別な空間’を予感させますが、ドアを開けた瞬間に広がる上質でスタイリッシュなインテリアが最高!i-Cockpitも、運転席に座るだけでワクワク体験を上手に演出してくれています。
街で見かけたら思わず振り返ってしまうようなノスタルジックで未来感たっぷりの「ID.BUZZ」は、‘ワーゲンバス’のDNAを継承しながらEV専用のプラットフォームや現代設計で再構築。家族で使えるE Vとして、‘デザイン?趣味のクルマ’ではなく、デザインも使い勝手もどちらもOKというバランスが魅力。広い室内にミニバンEVとしての実用性、EVならではの走りでさらに魅力倍増。
今年は、価格を含めた「商品力」について考えさせられる選考でした。個人的には、商品力とはその価格に対するバリューが妥当か高いか低いかで判断するものだと考えています。価格が高くても期待以上の性能や機能やデザインや存在意義が伴っていれば商品力の高いクルマであり、それがフォルクスワーゲンID.Buzzを選んだ理由のひとつでもあります。いっぽうで、150万円以下で両側スライドドアを成立させたダイハツ・ムーブも商品力は極めて高いと思っています。クルマの価格は全般的に高騰傾向にあります。その主たる要因は為替や世界情勢の不安定などで、もはや自動車メーカーだけではどうにもならないところまで来ています。買いたくても高くて買えない、売りたいけど高くて売れないという、誰も得をしない現状はしばらく続いてしまうかもしれません。ただ、もしそういった要因が消滅する時が訪れたなら、自動車メーカーにはあらためて価格の適正化(つまり値下げ)を積極的に行って欲しいと願っています。
スバルの基幹車種として、デザインから動的性能の細部に至るまで徹底的にこだわって作った痕跡が随所にうかがえる。実際に運転してみても、動力性能や操縦性にクセがなく、誰が乗ってもしっくりくる乗り味が達成されていた。個人的には、0次安全という考え方とその実現に感銘を受けた。良好な視界など、目立つような技術ではないところにまで配慮が行き届いていた。
軽自動車のさまざまな規格を遵守した上で、「両側スライドドア」を持つモデルを設計開発するというのは、いくつもの過酷な困難をクリアしなくてはならなかったはずであり、それを「150万円の壁」を超えずに実現した開発チームの技術力と粘り強さは高く評価されてしかるべきだろう。ユーザーに寄り添うクルマ作りのお手本のようだと思う。
クラウン名義で4モデルを展開しながらも、それぞれに独自の個性と乗り味をしっかり付与している。今後さらに熟成されるであろうことと新しい兄弟が誕生することにも期待したい。
日本の電気自動車のパイオニアとして15年に渡り改良と進化を繰り返してきた経験と実績が、特にパワートレインの進化に現れている。700km以上の航続距離を達成しながらも、滑らかで気持ちのよい走りも兼ね備えている。
往年の名車に新しい価値観を付与して見事に蘇らせた。「S+シフト」は仮想のトランスミッションではあるものの、ここまで(いい意味で)騙してくれるなら痛快であり、ずっと運転していたくなるような楽しさがあった。
コンパクトな4ドアセダンが減少の一途をたどる中で、たとえ多くの販売台数が見込まれないとしても走る/曲がる/止まるの基本性能を高水準でまとめ上げている。こういうクルマがきちんと作れる自動車メーカーが持つ技術力は底知れない。
5ナンバーサイズというコンパクトなボディ、クラス最長の航続距離、そしてアフォーダブルな価格設定の電気自動車を、日本の自動車メーカーよりも先に実現した。
電気自動車ならではのパッケージは、フラットなフロアと広い居住空間が求められるミニバンとの相性がよく、それを日本市場ではこのID.Buzzがどこよりも早く投入した。何より、日本で購入可能なミニバンの多くは威圧的にも見えるフロントフェイスばかりであるのに対し、フレンドリーで人なつっこいデザインである点も評価した。きっと、「こういう顔のミニバンを待っていた」という方が少なくないはずである。
2025年は、いまひとつ新型車の決め手に欠ける年だったと思う。多くの日本のユーザーが「待ってました!」と喜ぶ車種が少なかった。しかし環境対応では注目できた。フォレスターはストロングハイブリッドのS:HEVで優れた走行性能を実現させ、電気自動車のリーフ、eビターラ、N-ONE e:も登場した。若い頃に憧れたプレリュードも復活して、名脇役が出そろった。そしてジャパンモビリティショー2025は、市販を前提にしたプロトタイプで大盛況だった。来年は期待できますよ!
ボディはコンパクトで運転感覚も満足できて、価格は安い。一見すると、どのメーカーのクルマか分からないが、運転するとスズキらしさが見えてくる。問題は今後のスズキが、どれだけ軽自動車や安価な小型車の電気自動車を充実させるかだ。
ストロングハイブリッドハイブリッドには、燃費性能を追求したタイプが多いが、フォレスターのS:HEVは、2.5Lエンジンの搭載で動力性能にも余裕を持たせた。スバルらしい取り組み方だ。また他社がなかなか実用化しない歩行者保護エアバッグをフォレスターでは自転車にも対応させた。フォレスターの車両自体は新鮮味に欠けるが、メカニズムと装備が決め手になった。
ダイハツの認証不正問題が発覚する前、新型ムーヴが2023年5月中旬に予約受注を開始した時は、最も安いLの価格は129万2500円だった。2025年に改めて登場したLの135万8500円よりもさらに安かった。また今のムーヴキャンバスも、ムーヴに比べて装備を充実させて割安だ。ムーヴは後席にも改善の余地があり、6位になったが、走りの素性は良い。割安な特別仕様車の投入などに期待したい。
クラウンの本質は、日本の生活や道路環境に適した高級車であることだ。そこを踏まえるとクラウンエステートは大きすぎて価格も高い。日本ではなく海外向けのクルマになってしまった。従って5位としたが、クラウンの海外指向は、車種の廃止を避けるには不可欠の選択だった。そしてクラウンシリーズを並べると、エステートの持ち味が歴代クラウンに最も近いことも確かだ。
プラットフォームから電動システムまで、さまざまな機能を刷新させた。全幅が1800mmを超えるなど、欠点も散見されるが、電気自動車としての進化は注目される。居住性や運転感覚の満足度も高めている。
ハイブリッドにエンジン車のような疑似的な運転感覚を与えるクルマ造りは、ムダとも受け取られる。しかし優れた環境性能と走る楽しさの両立は、初代シビックから繋がるホンダ車の本質でもある。ホンダの国内販売ランキングが、上からN-BOX、フリード、ヴェゼル、ステップワゴン、フィットになった今、プレリュードが同社のブランドイメージに与える影響は大きい。今後のホンダは、プレリュードの価値を生かせるのか?
セダンは重心が低く、後席と荷室の間に骨格があるからボディ剛性を高めやすい。後輪の位置するトランクスペースは、居住空間から隔離され、後輪が路上を転がる時に発するノイズも抑えられる。海外でもセダンが減っている今、コンパクトな2シリーズグランクーペを発売したことには価値がある。
コンパクトな電気自動車は、充電設備を設置できる一戸建ての世帯が、街中を移動するためのセカンドカーに最適だ。インスターは上質なクルマとはいい難いが、オシャレな雰囲気があり、買い物などに使いやすい。電気自動車の本質を突いている。
デザインは優れていて、空間効率も高い。ただしボディが大きすぎる。全長を4600mm以下、全幅を1800mm以下に抑えたコンパクトな仕様を用意したら、電気自動車の人気商品になるかも知れない。今後の開発に期待したい。
